第4話さぁ祭りの開催だ!

クタクタになりながらも、無事調達出来た一同は急いでバルオキーへと向かった。


__バルオキー村__


村に着いた一同は、おじさんを探しながら道を進む。数時間前とは違い、沢山の人達が外へと出でいた。村の所々では、キレイな灯りをつけ始め屋台のような催し物も既に開かれていた。


「あ!お兄ちゃん。あの人おじさんじゃないかな?」


フィーネが指さす方を見ると、村の中心部で一際目立つ衣装を来て、ウロウロしているおじさんを見つけた一同。「おじさん」と声を上げる。アルドの声に気づいたおじさんは、

「アルドぉぉぉ待っていたよぉぉ!!」と叫びながらこちらへ向かってきた。


「おじさん、な、なんなんだ?その衣装は。」


聞かずには居られなかった。彼のかぶっている黒い帽子には、うさぎの耳と赤い大きなリボンが付いており、肩に大きな赤いマントを羽織っていた。中のワイシャツには、色々な鉱石から出来ているのであろう星やハートや丸の形を型どった小さなアクセサリーが無数に付いている。ズボンや靴は、さすがに普通あって欲しいと懇願したが、その願いは叶わなかった。まず、ズボンには白と赤のストライプと疎らに動物の骨?らしきものが付いており、靴はキラキラと青や金色で輝いていた。


「ん?これかい??今回私の衣装はどんな物がいいかと聞き込んで見た結果。おじさんは、普段服装が地味だから、今日ぐらい夢を見ていいんじゃないかと言われてな?皆の心に残るような派手な衣装にしたんだよ。」


どうだい?!と両手を広げ見せつけてくるおじさん。夜に近づいているはずなのに、こんなに明るくていいのだろうか。


「お、おじさんに頼まれていた品物なんとか調達出来たよ。」


調達した品をおじさんに渡した。大きな袋に入っていたため、中を覗くおじさん。


「おおおおおおおおおお?!締まりもとても良く、きめ細かな淡くもなく濃くもない赤色の肉は、まさか本物の恐竜の肉なのか?!」


「ああ。本物だよ。」


「結構大変だったんだから。」


「そうだったのか。無理難題を押し付けてしまって申し訳ない。、、ん?この隣にあるやつは、、。」


ガサゴソと再度袋を漁ると、中には肉ともう一つ丸い球が入っていた。おじさんは、その球を取り出しアルドに問う。


「こ、この綺麗な玉はまさか、、」


「花火の玉だぞ?」


「うっっ!こ、これが花火の球だって?!」


おじさんは花火の球を持ちながら膝から崩れ落ちた。


「ど、どうしたんだ?!まさか、気に入らなかったか、、?」


「__み____るよ。」


「ん?なんて言ってるんだ?」


「君達は最高すぎるよ!!」


ガバッと起き上がるなり目から滝のような涙を流しながら、一同に抱きしめる。


「うわっ!」


「わっ!」


「キャッ」


「ぐうぇ!」


「ハッ!」


「、、、っ?!」


突然の事だったため理解が出来ない一同。その間おじさんは、うわんうわんと泣いていた。ギルドナは抱きしめられた事に少しずつイライラとしていった。


「、、貴様いい度胸だな。」


「ちょ、ギルドナ何をする気だ?!」


「この腕を切りおとs「「ダメだからな!!頼むから剣をしまってくれ、、、」」


「お、おじ殿も抱きしめてる時間なんてあるのでござるか?!」


「むむむむ?!それも、そうだな!!」


アルドはギルドナをとめ、サイラスはおじさんに遠回しに離すよう促した。

おじさんは、抱きしめていた手をぱっと離す。そして、ズボンポケットから木製でできたメガホンを取り出すとスゥゥと大きく息を吸いこんだ。


「みなさぁぁん!これよりバルオキー祭開幕です!今夜は喉が枯れるまで、体が動かなくなるまで楽しみましょう!!」


「「うおおおおおお!!」」


おじさんの声とともに祭りが始まった。村の人々は、食べたり飲んだりダンスを披露したりと祭りを楽しんでいる。屋台からは、肉の焼ける匂いが煙につきながら空中を泳いでいた。


「ようし花火師の皆さん。この花火を打ち上げてくれ!」


「了解っス!!」


ガタイのいいお兄さんに、花火の玉を渡すおじさん。一同が、調達してきた花火の玉をセットする。火をつけ、発射台から飛び出た玉はヒュゥウと空高く打ち上がり

ドーーーン!と大きな音とともに咲いた。


「おいおいおい!嘘だろう、、これが花火なのか?!」


おじさんは、落ちるのでは無いかと思うほど目を見開き空をみた。

その花火は、一つの表現では例えるのは難しいほど美しい花火だ。宇宙に数々の宝石を散りばめたかのようにも見え、世界に一輪しかない花のようにも見える。


「想像を遥かに超えていたよ。」


「私も。」


「見事だな。」


「拙者感動のあまり涙がとまらないでござる。」


「ワタシのデータベースの中でも一番綺麗な花火デス。ノデ!」


「みんなとこんなに綺麗な花火が見れて良かった。」


一同も、また空に釘付けとなっていた。


「ありがとう。本当にありがどう、、、グズッグズ」


おじさんは、うるうると涙を流しはじめる。


「いやおじさんにも俺達から礼を言わせてくれ。こんな楽しい祭りを開催してくれてありがとう。皆の要望を叶えてくれたからこそ出来たんだ。」


「確かにそうでござるな。」


「おじさんが、祭りノ主催者でワタシはとても良かっタデス!」

「ほら!おじさんもメソメソ泣いてないでよ〜。まるで私達が泣かせているみたいじゃない。」


アルドの優しさに倍泣いてしまうおじさん。一同は、やれやれと呆れながら毎度泣くおじさんをみてクスクスと笑い出す。おじさんも一同が笑っているのが嬉しいのか笑い出す。そして、その場にいた村の人々も笑いだした。


「おじさんに渡せた事だし、俺達も祭りを楽しむするか!」


「アルドー?私達に奢る事忘れてないでしょうね?私、恐竜のお肉食べてみたかったの!」


「拙者は早く酒が呑みたいでござる!」


「俺もサイラスに同意だ。一番高い酒を貰うことにしよう。」


「ワタシはオイルが欲しいデス!」


「お兄ちゃん、、」


次々と要望をしてくるエイミ達。フィーネはアルドの顔をチラッと覗く。アルドは、悪夢を見ているのか目を瞑り、顔全体を萎ませていた。


「お、お兄ちゃん?!顔が、、、」


「だ、大丈夫だ。俺が奢るんだったな。忘れていたよ。」


その会話を隣で聞いていたおじさんは突然、目をメラメラとさせアルドの肩をガシッと掴んだ。


「アルド!今回の祭りで使うお金は全額おじさんに出させてくれ」


目をパチクリとさせるアルド。


「え、え??」


「おじさん君達にお礼をしていなかったからね。飲食物や雑貨全て奢らせてもらうよ!」


「いいのか?」


「いいに決まってるじゃないか!寧ろこれぐらいしか出来なくてすまないね。」


十分すぎるよとアルドは笑みをこぼす。


「それならお言葉に甘えさせてもらうよ。」


「うおおおおおお!それならまず初めに、君達が調達してくれた恐竜の肉ステーキを食べに行こうじゃないか!その後は、お二人さんの口に合う村自慢のお酒を飲んでもらうよ!お嬢さんには、知人の調達で手に入れられた高級オイルをプレゼントするよ!」


「おじさん太っ腹!」


「自慢の酒、、楽しみでござるな!」


「ああ。」


「高級オイルとても楽しミデス!ノデ!」


「アルドとフィーネちゃんは何が食べたい?」


「俺は、周りを見て決めるよ。」


「、、そうか?フィーネちゃんは、なにがいい?」


「私もお兄ちゃんと一緒で欲しいのがあったら言うね!」


「、ま、さか、二人して遠慮をしているのか?遠慮は、ダメだぞ、おじさんまた泣くぞ!?」


「え、遠慮なんてしてないよ?色々見てから買ってもらいたいだけだよ?」


「信じる?気になるのがあったら即言う話だぞ?絶対だからな!」


「あ、ああ。絶対に教えるよ。」


エイミは、早く食べに行きしょう!とおじさんの服をグイグイと引っ張る。

サイラスとギルドナも自慢酒が飲みたいのか靴をコツコツと鳴らす。


「よし皆おじさんに着いてきなさい!」


おじさんの後ろをゾロゾロとついて行く一同。五十メートル進んだ先に、恐竜の肉を焼いているお兄さんは、汗をかきながらアルド達を待っていた。


「お!アルドとそのお仲間さん。こんなに大きな恐竜の肉を調達してくれたんだってな!」


これは、そのお礼な!と鉄板の上で一kg近くあるであろう、肉を焼きはじめる。


「こ、こんなにいいのか?た、食べ切れる気がしないよ。」


「ははっ!アルド、漢なら一口で食べれるさ。」


そんな無茶な事いいだす屋台のお兄さん。


「む、むちゃな事を言わないでくれよ。」


「やってみないと分からないぞー?おーし!皆の分が焼けたからほれ、食いな!」


一人ずつステーキの、のった皿が配られた。

匂いだけでも美味いとわかるほどだった。


「いただきます!」


エイミは、一口サイズに切った肉をモグモグと食べる。


「なにこれ!今まで食べたお肉の中で、一番柔らかくて油もほどよくのっていて美味しいわ!」


「これなら一口でペロリと食べれそうでござる。」


「肉を剥がず、まるまる一匹持ってくるべきだったな。」


「ギルドナ、食事中にやめてよ。不味くなるじゃない。」


「、、フン。」


本当に美味かったのか、数分で一同の皿の上にのっていたステーキがなくなった。


「お兄さんサービスしてくれてありがとね!屋台を全部見て回ったら、また食べに来るわ!」


「ぇえ!また食べるのか?!」


「当たり前じゃない。こんなに美味しいのに1回だけなんて勿体ないでしょ!」


「アルド覚悟を決めるでござる。」


ポンとアルドの肩に手をおくサイラス。アルドと同様顔が引きつっていた。彼も、一皿で十分らしい。


「嬢ちゃん、女の子なのに男より食えるなんて漢だねー!」


「お兄さんそれって褒め言葉?」


「当たり前よ!嬢ちゃん、次ここに来た時は、出血大サービスしてやるよ!」


ヘラを持ちながら右手でグッとポーズをとる屋台のお兄さん。


「本当?!お兄さん期待してるわよ!」


エイミもフォークを握りしめていた左手でグッとポーズ。二人の間には熱い友情らしき絆が芽生えていた。


「、、、なにを見せられているのだ、俺達は。」


珍しくギルドナが静かにツッコむ。


「ほ、ほらまだまだ屋台はあるんだ。君達が見たときのない物もあると思うから、次は行こう!」


「次は、酒でござる。酒!」


「、、早く連れて行け。」


「そう焦るな屋台は、あの赤い旗を立てているところだ。ちなみに、その屋台に高級油もあるからな!」


「本当デスカ!胸ガ高鳴りマス!」


期待大の三人は、アルド、フィーネ、エイミ、おじさんまでも置いて、驚くべき速さで屋台の前へと到達していた。


「、、大好物なんだな。三人とも。」


「、そ、そうらしいな。((あんなに好きだったなんて。特に、ギルドナが三人と同じ行動をとるのが以外だった。))」


早く行かないとぶつくさ言われる気がしたので急いで屋台へと向かった。

屋台内では、沢山の種類のお酒が陳列していた。


「おっアルドにフィーネちゃんじゃないかい!ここに来るなんて珍しいね!どれが飲みたいんだい?」


おばさんがヒョコと屋台から顔をだし、酒を勧めてくる。


「いや。俺達は、飲まないんだ。飲むのはこの三人、、かな?」


「拙者は、辛い酒が飲んでみたいでござる!」


「俺は、香りがないが濃い味のする酒が飲みたい。」


「ワタシは、ここにしかないと言われている油ガ飲みたいデス。ノデ!」


「こりゃたまげたね。二人は酒だけど、アンタは油を飲むのかい?!」


「大好物なんデス!」


「、、宇宙には様々な人種がいるんだね驚いたよ。ちょっと待っていておくれ?確かここに、、。」


酒の入った樽をどかす。四個どけたところで、おばさんが、小さい樽を持って戻ってきた。


「これはね?幻の油と言われている貴重な物なんだよ。本来の用途は物を動かしたりとかに使うんだが。」


コポポポとコップに油を注ぎ、リィカの前に置かれた。


「ほら油だよ!腹壊しても知らないからね!」


「イタダキマス!」


グイッと一気に飲み込んだリィカ。反応がない。アルドは、異変を感じ声をかける。


「お、おいリィカ?大丈夫なのか?、、、やっぱり油なんて飲んだら壊れるんじゃないか?!」


慌てふためくアルドだったが、どうやら心配はしなくても良さそうだ。おばさんの手を掴むなり、その手をブンブンと振り出す。


「こんなにもコクがあり、ヌルッとシテいながらモ喉を通りぬけるト、風味が増すなんて感激デス!」


「満足してもらえたなら嬉しい限りだよ。」


もっと飲んでもいいよ!とコップに並々注ぐ

おばさん。


「水を差すようで申し訳ないでござるが、おば殿拙者達にも、酒を注いで欲しいでござる。」


「あらやだ!ワタシったらごめんなさいね!今注ぐわ。まず、カエルのアンタは村で一番辛い"鬼地獄"。目つきの悪いツノの生えてあるアンタは、村で一番コクのある"達磨毫"。さぁ御賞味あれ!」


リィカ同様、二人の前に酒の入ったコップが置かれた。


「頂くでござる。」


「、、頂く。」


ゴクゴクと飲む二人にアルドは((変なあだ名つけられてるのに、怒らないのか?!))と思っていると先に、酒を飲み干したサイラス。度数が強いのか、顔がほんわかと赤い。


「カァァッ!この辛さ尋常ではないでござる。酒が通ったすべての器官が火に包まれているようだが、これこそ地獄でござる。美味を通り越しているでござるぅぅ!」


「俺の飲んだ"達磨毫"は、匂いが全くしない。

傍からみたら、ただの水だ。だが、飲んでみると濃厚なんて生温い言葉では、納まりきれぬほどのコクが身体中に広がる、、この酒気に入ったぞ。」


二人は、おばさんの選んだ酒がドストライクだったらしい。樽ごと売れないかと交渉をしだす。


「樽ごとだって?構わないがアンタらまだ、屋台を見てくるんだろ?邪魔になるんじゃないのかい?」


「ぬぅ?それもそうでござるな。おば殿、ここでその二つの樽を預かってはもらえないでござるか?」


「、、頼む。」


「しょうがないわね!この樽達は、私の家の中で預かっておくよ。酒が飲みたくなったらまたよりな!」


「かたじけないでござる!」


「礼を言う。」


おばさんは樽を屋台から出し、自分の家へと運んだ。


「これで誰にも飲まれることはないから安心して、祭りを楽しんできな!」


「行ってくるでござる!おば殿も祭りを楽しむでござるよ!」 


おば殿に手を振られながら、一同は屋台から出た。

リィカは、油が飲めて嬉しいのか顔がほころんでいる。サイラスとギルドナは酒が手に入ったのが嬉しいのか、いつにもまして上機嫌だった。


「おじ殿、素晴らしい屋台でござった!」    


「アンナに美味しい油は、中々ありまセン。ノデ!」


「貴様のおかげで満足できた。」 


「気に入ってもらえておじさんも、教えたかいがあった。よし、次はアルドとフィーネちゃんが、欲しくなる物買いいくか!」


おじさんは、あたりをキョロキョロと見渡す。


「あっちから行くと甘味ルート。こっちから行けばガツガツルート、、、どっちから行きたい?」


一同に進路を決めてもらおうとするおじさん。アルドとフィーネが考えている中エイミが、目をキラキラさせながらあっちと指差す。


「ガツガツルートから見てまわりましょう!お腹減ってきたし!」


先程も、ガッツリしたステーキを食べたはずなのに。


「みんなも、ガツガツルートからで大丈夫か?」


もしエイミに逆らったら、何をさせるかわからない恐怖でコクリとうなずくアルドとサイラス。

リィカとフィーネは、「エイミちゃんが食べたいならついて行くよ」と笑っていた。ギルドナは、普段通り鼻をならす。


「よーし!じゃガツガツルートから進んで行こう!!」


おじさんにまたしてもついてきなさいと一言おき。一同は、屋台通りをすすんでいく。

おじさんと一同は、屋台を見ながら話をはずませた。

進んでいく道には、提灯を灯した家々の前で村の人が歌っていたり踊っていたりとなんとも祭りらしい光景があった。

アルドはふと立ち止まる。アルドの隣を歩いていたフィーネも数歩前で立ち止まった。


「お兄ちゃん?行かないの?」


「、、、」


「、、なにが考えているでしょ?」


「ああ。また、来年も皆とバルオキー祭にこれたらな。ってさ。」


そう言うアルドの顔は、悲しげな顔をしていた。


「これるよ、きっと。」


フィーネは、祭りの暖かい提灯の光に照らされていたため、表情が汲みとれなかった。

一方のエイミ達は、アルドとフィーネの、姿がない事に気づく。振り返ると、二人の姿があったため手を振りアルドを呼ぶ。


「おーい!なーに立ち止まっているのよ!置いていくわよ?」


「アルド、フィーネ殿早く、くるでござる!」


「いまいくよ!ほら、行こう?お兄ちゃん。私より後に着いたら、おじさんにじゃなくてお兄ちゃんに奢ってもらおうかな?」


クスクスと笑い走り出す。アルドは、驚いた目をして


「フ、フィーネ?!ずるいぞ!ま、まてー!!」


とフィーネを追いかけるアルドであった。

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盛大な祭りを! @ponponten

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