第2話 恐竜のボス現る?!

合成鬼龍に乗り込んだ一同は、行先について話を進める。


「恐竜と言えばゾル平原に行けば何とかなりそうだな。」


「しかし問題は、ゾル平原に巨大な恐竜がいるかどうかでござるな。」


「隅々まで探す必要があるかもしれんな。」


「ソコは私に任せてくダサイ!近くに大きな生体反応がアレバ見ツケ出せマス。ノデ!」


「流石リィカちゃん!これで、大きいお肉の調達は、なんとかなりそうだね。」


「そうね期待してるわよリィカ!それと花火の件についてなんだけど、私に考えがあるから任せてくれないかしら?」


「ん、考えがあるのか?なら、エイミにまかせるよ。合成鬼龍!」


「うむ。意見がまとまったようだな。行き先は、ゾル平原でいいのだな?」


「ああ。よろしく頼む。」


「ならば出発だ。航時目標点AD500年ゾル平原。」


びゅうううッと大きく風を切り疾風怒濤のこどく空を駆け抜けた。

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__AD500 ゾル平原___


青々と生い茂る草原に肥大化したキノコ類や花々の地に降り立つ一同。


「着いたな。よし、早速巨大な恐竜を探し行こう!」


と計画もなしに歩み始めるアルドをエイミは「待って!」と服の襟を掴んだ。


「流石に、同じ所を六人で探すのは効率が悪い気がしない?」


エイミの言葉に留まるアルド。


「それもそうだな。止めてくれてありがとうエイミ。」


エイミに礼を言う。彼女が止めていなければ、きっと日が明けていただろう。

腕を組むアルドは、ピコンと頭の上に閃きマークを浮かばせた。


「、、、よし、二人一組になって探そう。俺とリィカ。エイミとフィーネ。サイラスとギルドナで。もし、見つけたとしても戦わず一度この場所へ戻り皆で向かおう。二人で挑むのは危険かも知れないからな。それと、捜索するエリアなんだけど俺たちは、右端から、、、」


淡々と話すアルドに一同は、ぽかんとした顔で見つめた。その顔に気づいたアルドもぽかんとした顔で見つめ返す。


「ん?な、なんだよ。なんか、俺おかしな事を言ったか??」


「いや。アルドにしては珍しく、真面目に仕切っていたので驚いただけだ。」


気にするなと付け足すギルドナ。はたからすれば明らかに馬鹿にされているのに、言葉の意味が全く理解が出来ないアルドは、ただただ笑うしか無かった。その後、途中で終わっていた話の説明を再開し、捜索するエリアが決まった一同。


「よし。捜索開始だ!」


「おう!!!」」


アルドのかけ声と共に、各々の捜索場所へと向かった。

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平原の右端から隈無く捜索するアルドとリィカ。リィカは、自身に付いてる一見ただのサイドテールのようにしか見えない機械パーツをくるくると回転させながら周辺に、生体反応がないか探す。一方のアルドは、生体反応を探せるアイテムなんて持ち合わせて居ないため、肥大化したキノコの後ろやため池の中を覗いていた。


「ここの茂み高い草が生い茂ってるから、居るんじゃないか?」


「アルドさん、そのヨウナ茂みに大きな恐竜ハ隠れられマセン。ノデ!」


「それもそうか。、、一通り見たけど、このエリアにはいなさそうだな。」


「ソウデスネ。近くにも大きな生体反応ハありませんデシタ!」


「もしかしたら、誰かが見つけているかもしれないし、ひとまず合流地点へ戻ろう。」


二人は、他のみんなが見つけていると信じ、来た道へと引き返した。

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合流地点に戻ると既に、捜索が終わったのであろう二組の姿があった。


「遅かったな。」


木の幹に背中を預けていたギルドナが、2人に声をかけた。アルドは少し疲れたのか、芝生の上へと腰を下ろす。ふと後ろから視線を感じ振り向くと、サイラスが眉間にシワをよせながらジッと見つめていた。


「そんなに怖い顔をしてどうしたんだよ。」


「、、その様子では拙者達と同じ結果であったのでござろう?」


「同じ結果って、、、そっちにもいなかったのか?」


「残念ながら。あてが外れたでござるな。」


再びスタート地点へと戻された一同。段々と重くなる空気。そんななか、フィーネがガサゴソと懐からサンドウィッチの入ったお弁当箱を、取り出す。


「恐竜探しは、一旦休憩にして。お腹減ったでしょ?私お昼ご飯作ってきたの。皆で食べよう??」


フィーネの言葉で、重かった空気が和らぐ。お弁当の蓋を開けてみると、定番の物から様々な食材が入った具沢山のサンドウィッチが入っていた。


「美味しそう!これ全部フィーネが作ったの??」


「うん。料理するのが大好きで毎日作ってるの。お口に合うか分からないけど。。」


「何言ってるんだ。フィーネの作る料理は全部美味しいぞ?」


「フフ。お兄ちゃんに褒めてもらえて嬉しい。さぁ、皆沢山あるから遠慮しないで食べて!」


一同は、元気よく「「いただきます!」」と言い口にほおばった。


「この魚のフライが入ったサンドウィッチなかなか美味いな。」


「木苺と蜂蜜の入ったサンドウィッチも、ものすごく美味しいわ!」


「むっ?!拙者が食べているこの「さんどうぃっち」とやらはなにやら、少し辛くて鼻がツーンとするでござる!しかし、それもまた美味い!!」


「わたしの食ベテイル“サンドウィッチ”は、トマトとハムが挟まってイテシンプルなものナノニ、本格的な味がシマス!!」


「俺の食べている、この卵サンドも相変わらず美味いよ。さすがフィーネだ!」


皆がべた褒めすると、フィーネは手で顔を覆い隠す。だが、時すでに遅し。頬が、熟れたイチゴのように赤くなっているのが見えてしまった。その頬をみて、クスクスと笑うアルド達。急ぎながらも、ピクニック気分を味わっていた。

楽しかった昼食も終わり、一同は次なる場所はと話し合う。


「さてこれから、何処を探しに行くか決めるか。」


「そうよね。ゾル平原にいないとなると、、、ダメだわ。全然思い浮かばない。」


「ぬうう?!拙者、いい案を思いついたでござる。この辺りで、大きな恐竜が居ないかラトルの人達に聞いてみるのはどうでござるか?!」


その言葉に一同が頷く。確かに、この地形の事を誰よりも理解しているラトルの人達なら、大きな恐竜の居場所も知っているかもしれない。そう思い一同はすぐさまラトルへと向かった。


___ラトル___


村につき早速聞き込みを始める一同。まず初めに、村の入口にいた女性に声を掛けた。


「なあ、ちょっといいか?聞きたいことがあるんだけど。少しいいかな?」


「ええ。私に分かることなら何でも聞いてちょうだい?」


「助かるよ。実は俺達、大きな恐竜を探しているんだ。なにか情報とか居場所とか知らないか?」


アルドの言葉に、一瞬目を丸くし驚くが、彼らが冗談で言っている訳ではないと分かると女性は、落ち着くなり口を開いた。


「恐竜ならゾル平原に沢山いると思うけど大きいな恐竜となると話しは別だね。、、私も噂でしか聞いた事が無いんだが、ナダラ火山の一番最奥に、ボスと言われる恐竜がいるって聞いた事がある。気性もとても荒く、並の人間では歯が立たないらしいんだ。村のみんなも怪我するのは、ごめんだから手を出さないと言われてるよ。」


「ナダラ火山の最奥にそんなに大きな恐竜がらいるのか。ありがとうとても、参考になったよ。」


女性に一礼をし聞き込みへと再度身を運ぶ。次に、目を付けたのが家の前で、かけっこをしていた男の子だった。アルド達が近づくと、かけっこをやめ首を傾げた。


「お兄ちゃん達どうしたの?僕になにか用?あっ!さては、僕が楽しそうに遊んでるのが羨ましかったんだな?、、よしっ!特別にお兄ちゃん達も、仲間に入れてあげるよ!」


エッヘンと胸を張りドヤ顔をする男の子。アルドは、「仲間に入れてくれるのか?ありがとう。だけど俺たち少し急いでいて、、ごめんな?」と断る。男の子は頬をプクーとさせた。


「ちぇっ。じゃ今度絶対遊んでよね!約束だからね?!」


「わ、分かったよ。約束する。」


「ならいいよ!所でお兄ちゃん達、僕になにか用でもあるの??」


「ああ。この辺で大きな恐竜の話しとか聞いた事ないか?」


「大きな恐竜??それならナダラ火山の一番最奥に大きくて凶暴な恐竜が居るってパパが言ってたよ!その恐竜は、色々な獲物を食べて大きくなったんだって。村のみんなもその大きさにビックリしたあげくに気絶しちゃったんだったさ!面白い話だよね。」


「ふむ。先程言っていた、女性と同じ事を言っているでござる。」


「ああそうだな。教えてくれてありがとうな。助かったよ。」


「うん。何かに役立ったならそれでいいや!お兄ちゃん達頑張れー!」


男の子は、手を大きく振りアルド達を見送りアルド達も男の子に手を振る。


「ナダラ火山の最奥、、。」


「行ってみる価値はありそうね。」


アルドは縦に首を振る。一同は、ナダラ火山の最奥に向かうべくヴァシュー山岳をかけぬけた。

□□□□

山岳の中間部へとたどり着いた頃、アルドが少し複雑そうな顔をしているのに気づいたエイミ。アルドに優しく言葉を投げかけた。


「そんな顔してどうしたのよ?何か悩み事?」


「いや。もしこれで大きな恐竜がいなかったら、きっとおじさんは悲しむなって、、さ。」


普段なら絶対に弱音をはかないアルドが、珍しく落ち込んでいた。そんなアルドの背中をエイミは撫でる、、、訳ではなく、力いっぱい叩いた。バシン!と大きな音が山岳に響き渡る。それと共鳴するかのようなアルドの叫び声。アルドの目には微かに、涙が浮かんでいた。


「?!な、何するんだよいきなり。。」


「なーに弱音はいてるのよ!アルドらしくない。普段なら、そんな事考えずにすぐさま行動するじゃない。今回は、噂でしか話しは聞けなかったけど、あの女の人や男の子の言葉を信じましょう?」


「そうデスヨ信れば必ズ出現シマス!ノデ!」


「アルド。貴様が、信じなくてどうする。」


「拙者は、居るって信じているでござる。」


「私も!絶対にいるって信じてるよ!!」


「ありがとう皆。、、俺も必ず見つけるぞ!!」


いつも通りのアルドに戻るとエイミは、もう一度、アルドの背中を叩いた。しかし先程よりも力強く叩いてしまったため、アルドの目に浮かんでいた一粒の涙が頬を伝った。

その涙を見たエイミは、やりすぎたと思い頬に汗が伝っていた。


「ア、アルドごめん。ちょっとやりすぎちゃった。」


「いや、、、大丈夫だ。おじさんの為にも、先へ急ごう。」


エイミの力で、軽く意識が飛びそうになるのをなんとか抑え、頬を伝った涙を左腕でぐいっと拭い走り出す。

ゴツゴツと道の悪いヴァシュー山岳をぬけると、ナダラ火山の入口が一同を出迎えた。


「入口なのに熱風が凄いわね。」


「ああ。ここに立っているだけで汗が噴き出そうになるよ。」


「ぐぬ、、拙者中に入ったら干からびないか心配でござる。」


「もし干からびたら、私の水筒のお水あげるね。」


「フィーネ殿そこは「人間だから、干からびることなんてないよ」って言って欲しかったでござる。。」


「あっご、ごめんなさい!そうだったね。。」


(((フィーネは、悪くない。俺/私だって同じ事言ってしまうよ。)))


「む?皆して、何故目を瞑っているでござるか?なにやら悩み事でも、、?」


「な、悩み事なんてないよ。あははは。」


サイラスの言葉の返答を濁らせアルド達は、ナダラ火山へと立ち入った。

中に入ると、入口とは比べ物にならないほどの熱気が滞留し、足場は狭く両端にはマグマがグツグツと音を立てて煮えたぎっていた。

数歩進むだけで、全身から汗が滲み出る。


「やっぱりここ暑すぎない?!」


「当然だ。マグマの近場にいるのだから、仕方ないだろう。」


「相変わらず、ギルドナ殿は無愛想でござるな。」


「サイラスさんソレは思ってイテモ口にだしてはイケまセン。ノデ!」


「お前達、、思っているんだな。」


ギルドナは腰にある刀に手をかける。アルドは慌てて止めに入ろうとしたが、ギルドナも、本気では無かったらしく「フン」といいそっと刀にかけた手を戻した。その様子にほっと胸を撫で下ろすアルド。


「お兄ちゃんも大変だね。」


「、、、、」((全くだよ、、。))


声に出せば、またギルドナが怒るに違いないと思ったアルドは、心の声を呟いた。

一同はからかい合いつつ、スタスタと進んでいくと、中間部まで何事もなくたどり着いた。魔物が一匹も出ないことに、少し違和感を抱きながらもスムーズに進めるため悪い気が全くしない。だからといって、気を緩める訳には行かない。アルドは、ぐっと手に力を入れ、辺りを警戒し最奥へと進んでいく。

数分後、最奥の一歩手前のエリアまで辿り着いた一同は、熱風やマグマによって滲み出た、汗を服の袖で拭い前に前にと進んでいる途中で、自身等の進む方向からなにやらドタドタドタとこちらに向かってくる多数の足音が一同の耳に入る。目を凝らして見ていると、無数の魔物達が一斉に迫り来ていた。


「ちょっと!なによあの魔物の量、いくら何でも多すぎるわよ!!」


「くっ?!面倒な事になったな。。」


「皆!くるぞ!!」


アルドとギルドナとサイラスは剣や刀を抜き、エイミとフィーネとリィカは拳と杖とハンマーを構え、正面から迎え撃つ。魔物達の距離がみるみるうちに、縮まる。その距離100、、、50、、、10、、。アルドは、先頭に立っている魔物の一匹に剣を振る下ろす。


「はぁっ!!、、、ってえ???」


しかし、魔物はくるりと交しアルドに攻撃もせず出口へと逃げてゆく。この一匹だけでは無い、無数の魔物達が一同に目もくれずひたすら出口へと急いぎその場を立ち去って行った。一同は、唖然とする。


「い、一体何だったんだ??」


「私にもさっぱり。」


「あの魔物達怯えながら逃げてたね。どうしたんだろう。。」


「魔物も恐れる何かがあるに違いないでござる。」


「気を付けて下サイ、コノ先に膨大なエネルギー反応ヲ確認シマシタ。」


「本当かリィカ。教えてくれてありがとう。それと、あの魔物には悪いことをしたな。」


「、、、無駄な戦闘をしなくて済んだんだ。行くぞ。」


各々は、武器をしまい魔物達とは正反対の道を進んで行くのだった。

そして、一同は最奥への入口前に到達した。奥から、おぞましい鳴き声が一同を包み込む。


「今の声は?!恐竜らしくなかったぞ?!」


「なにか恐ろしい魔物の声に聞こえたでござる。」


「この声に見合った主なのだろうな。」


「ちょっと怖い、、かも。」


「私も怖い、、、。」


エイミとフィーネの手が少し震えていた。リィカは、二人の手をそっと握る。


「フィーネさんエイミさん大丈夫デス。私達がついてイマス!ノデ!!」


「リィカ、、ありがとう。そうよね大丈夫よね!!」


「私たちには、みんながいるもんね!!」


「ハイッ!!!」


二人は、リィカの手を握り返す。アルドは、その情景を暖かい眼差しで見つめていた。エイミは、最奥を指差して声明する。


「皆心の準備は出来た?いくわよ!!」


「ああ!」


一同が最奥を進むと、ジュワァァと所々で音がする。マグマが活発に動いており、時折シャボン玉が弾けたかのようにマグマの粒が跳ねていた。

しかし、その音とは別に何かを食いちぎる音がその空間に響いていた。


「嘘だろ。」


驚愕する事しか出来なかった。なぜなら、一同の目の前には、自分たちの身長を遥かに超えた恐竜が一匹、魔物を食っていたからだ。そして、魔物を平らげると野太くも甲高い声で鳴き叫ぶ。


「「ぐぉぉぉおおおお!」」


「っ凄まじい鳴き声だ。」


「うっ。あ、頭が痛くなるでござる!」


「皆できる限り耳を塞ぐんだっ!」


鳴き止むのを待つことしか出来ない一同。しかし、耳を塞いでいても、鼓膜が破れそうになるほどの声量で鳴く恐竜。

数分鳴いたところで、アルド達をギョロリとした目で睨みつける。恐竜の口からは、ダラダラと涎がつららのようにのびていた。


「拙者達を餌だと思っているでござるな。」


「さっきまで、食べていたんじゃないのか、、。」


ゴクリと唾を飲む一同。恐竜から餌だと思われているんだと感じて一瞬にし緊張感が漂う。喉をグルルルと唸らせた恐竜は、闘牛が助走をつけるかのように地面を蹴りはじめた。


「来るぞッ!」


アルドの声と共に、恐竜は物凄い速さで突進してきたが、ぶつかる寸前でかわす一同。


「みんな大丈夫か?!」


「アルド前!前!」


エイミの言葉で、前を見ると恐竜の長い尻尾がアルドを薙ぎ払おうとする。剣で受け止めることに成功したが、力が強く吹き飛ばされてしまう。


「ぐっ!!」


「お兄ちゃん大丈夫?!」


「ああ。問題ない!!」


今の攻撃で頬が切れたのか親指で擦ると血がつく。恐竜の方へと視線を送ると、次にエイミが狙われていた。足をドンドンと動かしエイミを、踏みつけようとする。


「くっコイツデカい癖に動きが素早いわね!」


「エイミ!後ろへ避けろ!」


アルドの指示通り後ろへ回避するエイミ。恐竜は、足でその場を踏みつける。その隙に上から斬りかかるアルド。


「はぁぁぁ!!」


「「ぎゅぁぁぁぁ!!」」


思いのほか効いたのかその場で倒れ込む。アルドは、はぁはぁと息が乱れている。


「やった、、か?」


「、、むっ!アルドまだでござる!!」


恐竜は、頭から血を流しながらもむくりと立ち上がりしっぽをばたつかせ先程よりも大きな声量で鳴き叫ぶ。アルドの一撃を受け怒ったようだった。恐竜は、地面に転がっていた岩を口で咥え勢いよくアルドに投げつける。


「うわっ!!」


運良く避け、岩の後ろへと隠れる。まだ体力は結構ありそうだ。呼吸を整え岩の後ろからでると、リィカが背後から思いっきり、ハンマーを振り下ろしていた。衝撃で、地面がひび割れた。


「コレは効いたハズ、、、デ、、?!」


、、、なぜか恐竜はいなかった。どこにと思っていた時、リィカがどんどんと影に覆われていく。


「リィカ避けろ!」


「?!」


「ま、まさかあの巨体でリィカの攻撃をジャンプして回避したの!ありえない!」


リィカは、無事かとみると力を出し過ぎてしまったせいか、その場から動けないでいた。


「す、すみません。体が動かナイデス、、。」


「くっそ!!、、リィィィカァァァ!!!」


全力で走り出しリィカに手を伸ばす。リィカもアルドの手を掴むため手を伸ばすが間に合わない、、、と思ったその時。恐竜の足元に二つの影が出現した。


「ふん!!!」


「せいやっ!!!」


恐竜の両足を斬った瞬間、砂埃がアルドの視界を遮った。どうなったのかが分からない。必死で安否を確認にする。


「リィカ無事か?!返事をしろリィカ!」


「アルドさん私なら大丈夫デス。お二人が助けてくれマシタ!ノデ!」


ふわぁと消えていく砂埃。そこにはリィカを担いだサイラスとギルドナがいた。担がれているリィカほ、二人にペコペコと頭を下げていた。


「フィーネ殿、治療をお願いするでござる。」


「うん!リィカちゃん大丈夫??!」


「私は異常ありまセン。心配をおかけシマイタ。」


「無事なら良かったよ。今から治療するから安静にしててね!」


「はい。お願いシマス!」


フィーネは杖を持ち、岩の隙間でリィカの治療をはじめた。その横でエイミは、仲間が傷つけられ、虫の居所が悪いのか拳と拳をゴツンと合わせながら、恐竜をキッと睨みつけた。両足に深手を負い今までの攻撃が後から効いてきたのか、恐竜はフングルルルと鼻息を荒くたて足で地面を蹴り始めた。この一撃で決めようとしているのだろう。蹴る度に、地面がグラグラと揺れだす。


「俺達もこれで決めるぞ。」


「当たり前よ。手加減なんてしないわ。」


「拙者怒らせるとは、阿呆でござるな。」


「見かけだけは褒めてやろう。かかってこい。」


スタートは両者どちらも同じだった。突進をしながらも近くに落ちている岩や溶岩を投げつけてきた。


「きゃぁ!!」


溶岩の破片がエイミの太ももを掠めた。白い肌からはその色に似合わない赤い血が流れ出ていた。


「エイミ無理はするなよ!」


「こんな傷、朝飯前!サイラス敵の動きを止めることは、出来る?!」


「容易いでござる!」


サイラスは後ろへと回り込み、動きを止めるため尻尾に斬りかったが、それは逆効果になってしまった。痛みに耐えきれず暴れる恐竜。尻尾を上下に動かしている。間髪いれずにエイミが足におもいっきり拳を振るわせた。


「す、すまんエイミ殿。」


「大丈夫何とかなったから!それより、アルド、ギルドナ!」


「フン。行くぞアルド!」


「ああ!これで終わりだ!!」


二人の剣が恐竜の頭を突き刺した。


「「がぅぅぅぅ。。」」


喉から絞り出すかの様な声を最後に発し倒れる恐竜。また、むくりと立ち上がるかもしれないという一末の不安があったが、そんなことは無くようやく倒すことの出来た一同。

巨大な恐竜を倒した一同。


「「お、終わったァ〜〜!」」


声を揃え叫ぶ。思っていた以上の大物が来てしまいその場に尻もちをつく。エイミは、フィーネにリィカの容態は?と近寄る。フィーネの隣で寝込んでいたリィカはエイミに気づくと、体起こした。


「エイミさんお疲れ様デス。私はたいした事ありまセン。ノデ!」


「それなら良かったわ。フィーネもお疲れ様!」


「ううん。、、ってエイミちゃん足怪我してるよ?!早く治療しなきゃ!」


「こんなのほっといたら治るわよ。」


「ダメなの!私に任せて。」


幸い傷は、浅く処置を施しガーゼを巻くだけで良かった。そう言えば、お兄ちゃん達も怪我してるんじゃない?と呼ぼうとするが、男だからなのかピンピンとしており、恐竜の肉を剥いでいた。


「このくらいで大丈夫かな?」


「ここの肉の方が美味そうだ。」


「ギルドナ殿、いい所に目をつけたけでござるな!」


「よしそこの肉をもらうか!」


聞きたくもないのに聞こえてくる。なんとも生々しい会話だろう。げぇと舌を出す女子達。女子らは、なるべく耳に入れないように、ガールズトークで場を凌いだ。

調達を終えた三人がエイミ達に話しかける。


「フィーネ、エイミ、リィカお疲れ様。怪我は、大丈夫なのか?」


「ええ。リィカもフィーネも大丈夫みたい。アルド達も無事、、って聞かなくても分かるか。」


「な、なんだよその言い方は。まぁ、三人が無事なら良かったよ。こっちは、肉の調達も終わったよ。」


見るでござるか?と肉を取り出そうとする動作を必死で止める。今見せられたら絶対に吐いてしまうと思ったのだろう。女子達の顔が青ざめていた。エイミは、会話の流れを変えるために話の話題をふる。


「つ、次に調達するのは、花火よね!」


「エイミに任せればいいんだったよな?」


「ええ。宛があるからね。みんなの体力が戻りしたい出発よ。」


「俺なら大丈夫だぞ?」


「俺がこの程度で疲れると思うか?」


「拙者も今ここで素振り千回は余裕でござるよ!」


「バカ。リィカとフィーネの、心配をしているの。」


「ありがとう。私も大丈夫だよ!」


「体力の心配ナラ入りマセン。ノデ!エイミさんこそ休まれナクテいいのデスカ?」


「私は、全然平気。寧ろ今は、動きたい気分なの!それに、早く行かなきゃ祭りに間に合わないかもしれないしね!」


エイミは立ち上がりズボンについた砂をふり払う。フィーネやリィカも早く動きたいのか、スっと立ち上がりアルド達を見る。


「お兄ちゃん達行かないの?」


「まさか体力があるナンテ嘘をついたのデスカ?」


男三人はお互いの顔を見合わせズバッと腰を上げるなり、次の目的地へと向かうエイミ達の後ろを慌てて駆けつけるのであった。

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