有り得ない写真

週寂

短編その4

【ファンタジー】

 写真にある女性は30代、肌が白く、色素薄い系メイク、エレガントにパーマをかけられ、ローヒール、ジーンズ、カジュアルウェアを着て、バス内の座席に足を組んで腰掛けていた。ゴージャスな身なりではないが、少し粗末な背景から外れたように見える。明らかに、彼女は一人であり、おそらく夫や恋人を持っている、ひいては母親であるが、撮られた時は一人だった。その瞬間、彼女が車の外を見て、車窓外でカップルは親密さを見せていた。彼女がそれを見ているかどうかは定かではない。

 写真中の女は無表情だった。


【思い出】

 大学時代、私はバスで市内中心部と学校の間を行き来した。揺れる騒々しい車に座っていたら、隣に女の子が立ち、私はあえて見上げることはしなかった。最初は30代かなと思ったが、印象中の30代の彼女と一緒に7〜8駅を通過したが、もう一度見たところ(横目で一部を睨んだだけ)、その印象は覆された:彼女はとても若いよ。この真新しい印象がしばらくの間続いた。彼女が電車を降りる直前に、私は思わずに再度一瞥したら、ああ、いや、やっぱり若くはないだろう。

 しかし、今回は確信が持てなかった。


【現在】

 当時は写真を撮らなかったが、ただ混沌とした印象が残っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

有り得ない写真 週寂 @Zhouji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ