第17話 居場所、自分の想い

それから雄真は、彼女を何度も連れてきた。


私は辛くて仕方がなかった。


隣で笑う彼女の姿。


元々、私の居場所はなかったけれど、正直辛いのだった。




ある日の休日 ―――



お店が休みで私も友達と出かけていた。



昼過ぎ戻って来て私は雄真の彼女が来ている事に気付き、とにかく音を立てないように部屋に行く途中、二人のキスシーンに遭遇し、雄真の洋服がはたけ、彼女も脱がされつつある光景が隙間から見えてしまった。



私はすぐに外出した。



「前の家に戻ろうかな?私の居場所…もうないし……」



私は涙がこぼれ落ちた。




雄真は彼女が出来て


真里絵さんは荘兄と付き合っている。



ただ、ただ、辛いだけの日々に、私はいられないし、耐えれない。




「あれ?姉貴、佳音は?」

「佳音ちゃん?朝見掛けた時、友達と出かけるって言ってたわよ」

「それにしても遅くないか?」

「それもそうね」



「………………」





俺は連絡してみた。


留守電に切り替わり繋がらなかった。



「アイツ何処に……」



一応、部屋に行くと、携帯が置いてある事に気付いた。



「……まさか……アイツ……一回帰ってきたのか?それとも……姉貴っ!」

「何?どうしたの?」

「アイツ……一回帰って来たかも……俺……彼女来てたし……荘史さんに連絡して!俺、ちょっと探しに行く!」


「ちょっと!行く宛あるの?」

「ねーよ!ねーけど、取り合えず出かけて来る」



すると、近くの公園にいるのを見掛けた。



「佳音っ!」

「雄真?どうし……」



グイッと抱きしめられた。



ドキン



「ゆ、雄真?どうしたの?」

「お前に連絡つかねーから!そうしたら携帯置いて出かけてるし!」

「あー、ごめん……昼、一回帰って来たとき彼女が来てたみたいだから慌てて出かけちゃったから」



昼間の光景が脳裏に過る。



バッと引き離すように離れる私。



「佳音?」

「ご、ごめん……えっと、か、帰ろうっ!ごめんね?心配かけて、私、おなか空いちゃった!」



私は帰り始める。



「ねえ、今日のおかず何?」

「えっ?」


「つーか、彼女にも食べて帰ってもらえば良かったじゃん!あーでも、のろけ聞かされるのもなぁ~。ほらっ! 何してんの?雄真。帰るよ!」



グイッと背後から抱きしめられた。



ドキン



「ちょ、ちょっと!ゆ、雄真っ!辞めてっ!彼女いるんだからっ!」



何とか引き離した。



「駄目じゃん!」

「…佳音…」



振り返る私。



「誰かに見られたら大変でしょう?ただでさえ、同じ高校生の女の子が1つ屋根の下で居候してるんだから、彼女、良い気しないって!私だったらそうだよ」



「………………」



「行動気を付けなよ」


「……そうだな……」


「………………」



≪真里絵さんに話そう≫

≪このままじゃ駄目だ≫

≪私は辛いだけ≫





その日の夜、私は真里絵さんの部屋に訪れた。




「真里絵さん、ちょっと良いですか?」

「うん、どうかした?」

「…今日は心配かけてすみません」

「良いわよ。無事ならそれで」

「後…私…前の家に戻ります」

「えっ?」


「明日、学校から直接家に帰ります」

「やけに急なのね」

「ごめんなさい……突然で…この事は雄真には言わないで下さい。余計な心配かけたくないので」


「そう…じゃあうまく言っておくわね」

「はい……すみません」



部屋を出て行こうとする私。



「ねえ、佳音ちゃん……もしかして……雄真の事……」



「………………」



私はゆっくりとタテに頷いた。



「本当……参っちゃいますよね……おやすみなさい……真里絵さん」



私は自分の部屋に戻った。



「……本当……私……馬鹿だ……」




私は雄真との思い出や色々な事が蘇る。


ひたすら泣いて荷物の整理をしていた。





――― 次の日 ――――




「全然……眠れてないや…こんなに泣いたのは…お母さんが亡くなった時以来かもしれない…」




私はリビングに行こうとしたけど、既に雄真の姿がキッチンにあり、真里絵さんは店の準備をしていた。


私は自分の部屋に戻る事にした。




その日、荘兄に迎えを頼み家に戻る事にした。




「佳音、大丈夫?」

「えっ?」

「雄真君の事」

「取り合えず距離おこうと思って……彼女といる所とか見たくないし」


「佳音…」

「だけど……本当……馬鹿だよね……全然その気なかったのに……」


「そういう事あるよ。佳音は当たり前のように一緒に過ごしていたからじゃないかな?」


「荘兄……」


「元気出せー」と、髪をワシャワシャとした。

「……うん」


「もしかすると彼女いるとしても雄真君も自分の想いに気付くかもしれないよ」


「だと良いけど……きっと……無理な話だよ」
































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