第13話 お互いのきょうだい

それから数ヵ月が過ぎ、荘兄は真里絵さんと付き合う事にしたみたい。


どうやら荘兄は、真里絵さんに尋ねられ心の傷を正直に自分の口から話をしたらしく、真里絵さんは力になりたいからと心を開いて欲しいと伝えたという。


私も真里絵さんの言葉に嘘はないと思っているから荘兄と向き合ってくれると思った。



そんなある日の事だった。

テーブル囲んで3人で話をしている時だった。



「ええーーっ!荘兄と真里絵さん一泊旅行とか羨ましいです!私も行きたい!」

「二人の邪魔してどうすんだよ!」

「じゃあ雄真も一緒に行こう♪」

「おいっ!」


「えー、でも4人で出掛けるのも楽しそうじゃないですか?荘兄と真里絵さんはラブラブで過ごせば良いし、私は雄真と馬鹿しあってますから」


「おいっ!馬鹿しあってって……」


「そうね。荘史に頼んでみようか?いつか4人で出掛けたいって妹の佳音ちゃんが言ってたって」


「はい!是非、お願いします!」

「お前なぁー」

「良いじゃん!たまには雄真も羽延ばしてゆっくりした方が良いよ!」


「クスクス……本当二人って兄妹のような幼なじみのような……ずっと昔から一緒にいたいみたいな関係みたいね」


「そうですか?」

「そうよ」


「だけど、絶対、恋愛に進展しない感じ。多分、友達以上恋人未満みたいな」


「それはそれで良いんじゃないの?」


「多分私なら年上が良いような気がする」


「あー、お前ならそっちの方が良いかもな。我が儘言っても快く、 "良いよー" とか言ってくれる奴。まあ…多分…愛想尽かされそうだけど」


「酷っ!だけど、私……我が儘言うかな?どっちかっつーと色気よりも食い気だし、そっちの方で愛想尽かされそうじゃん?」


「えっ!?自分で認めてるし!」


「私は多分、恋だの愛だの私には向いてないと思いますよ。真里絵さんみたいに美人じゃないし、色気ないし、人を好きになる事も、好かれる事もあるのかなぁ~って…最近、思うんですよね」



「…佳音ちゃん…」


「性格も良いわけじゃないし、喧嘩して、すぐ別れるか浮気されるんじゃないかな?浮気されて全く気付かなくて」


「佳音ちゃんは、ありのままの自分出せる相手が良いんじゃない?」


「えっ?」


「まあ…それが恋愛なんだろうけど……喧嘩して別れて……その繰り返しだけど本当の自分を受け入れてくれる人」


「現れますかね?」

「もう出会っているかもよ?」

「えっ?」

「ねえ、雄真」

「何故、俺に振る!」

「二人似てるから」


「いやいや、似てない!」と、雄真。


「そうですよ!絶対、喧嘩が絶えないですよ!」


と、私。



「だけど、ありのままの自分を出せる相手って、そういないんじゃない?まあ、恋に落ちる落ちないにしろ自分を曝け出せるって事はとても良い事じゃないかしら?」



「まあ…俺、喧嘩したらすぐ謝るかな?」


「えっ?」と、私。


「好きだったら手放したくないって思うし、自分の嫌な部分見せるって事は大事だろうし。お互いの意見ぶつけて相手を知っていくしかない訳だし」



「雄真」と、私。


「本当に心から嫌気が差したりとか、合わないって思ったらマジで別れるかもしれないけど、付き合って間もない時って、やっぱ色々あるわけだし」



「確かに価値観は違うし、お互いの事知って仲育んでいくのが恋愛だからね」


と、真里絵さん。



「だけど、自分は悪くないって思ったら絶対謝らないと思う俺」


「雄真らしい」と、真里絵さん。


「本当」と、私。


「だけど、普通じゃね?」




私達は色々話をしていた。




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