第12話 彼女の本音
「アハハ……やだー、彼カッコイイからー。本気な訳ないじゃーん」
雄真の彼女と思われる人が店に現れた。
店の中で大声で近い声で雄真の名前を出していたからだ。
彼女の言葉に私は ――――
バシャ
腹が立ち、つい水を女の人にぶっかけた。
「きゃあっ!」
「すみませーーん」
「何なの!?あなたっ! お客に対する……」
ガンッとコップを置いた。
「お客!?確かにそうですけど、人として最低っ!店の評判悪くするの辞めて下さいっ!」
「お客に水をかける店員なんて、十分評判悪くしてるじゃない!?」
「例えそうだとしても、同じ人間として私は代表して罰を与えているだけです!第一、本人を目の前にして良く平気で文句とか自分の恋愛語れますね!そっちの方が恥ずかしいと思わないんですか?」
「えっ!?」
「これ以上いてもらうと他のお客様に御迷惑になりますので帰って下さい!お代はいりません!」
二人は帰って行った。
「……佳音…お前なぁー……」
「……ごめん…お代は私のバイト代から引いといて……」
「………………」
「ごめん…頭冷してくる…」
そう言うと店を出て行く私。
「あっ!おいっ!佳音!」
「雄真も穴に入りたい気分でしょう?」
「えっ?…いや…」
「行っておいで」
「でも…」
「雄真君、行っておいで。店、俺が手伝うし」
「荘史さん…」
「先輩、私達も手伝いますよ」
「真那美ちゃん……浩志」
雄真は店を出た。
「佳音」
「雄真っ!」
「追い出された」
「えっ?」
「つーか恥ずいってやつ?」
「そっか……」
クシャクシャと髪をした。
「ちょ、ちょっと!髪クシャクシャなるじゃん!」
「大丈夫だって!」
「大丈夫じゃないよ!」
「見るのは俺しかいねーし!」
「いや…そうだとしても…」
言い終わる前にグイッと抱き寄せられた。
ドキッ
私の胸が大きく跳ねた。
「サンキュー」
「えっ?」
抱き寄せた体を離す。
私の頭をポンポンとすると、のぞき込む雄真。
ドキンと胸が高鳴る。
「な、何?」
「お前、やっぱ凄いな!」
「えっ?」
「あれだけハッキリと言えるのってお前しかいなさそう」
「性格悪いから」
「性格悪くても、お前はお前だろう?俺、お前と言い合ったりするの当たり前になっているから気にしなくなってる。お前は、そのままで良いんだよ」
「…そうかな…だけど……」
「だけど、何?」
「ううん。何でもない」
「………………」
「気にしてんの?」
「えっ?」
「また、店で騒動起こしたって」
「それは……」
「気にすんなよ!」
「気にするよ!」
「佳音?」
「あー辞め、辞め!店に戻ろうっと!」
「えー、もう少しトークしようぜ?」
「店あるでしょう?」
「みんな手伝ってくれてるから大丈夫だし」
私達は騒ぐ中、店に戻る事にした。
私が気にする事は今後の事だった。
また店の中で騒動起こして私の性格は更に有名になったと思う。
恋愛しようとは思わないけど、私の存在は良いイメージがなくなる。
そんな私も自分の性格に正直嫌気が差していた。
そして、自分自身に自信をなくし始めていくのだった。
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