第10話 心理、別離
付き合って1ヶ月、私達は相変わらずだった。
彼は、私に手を出す事もないまま時々
"付き合っているのだろうか?"
とか
"恋人として見てくれているのだろうか?"
そんな疑問が過る。
付き合って1ヶ月、キスもないままなんて流石におかしいと思う。
「ただいま……」
「おかえり。彼氏とデートどうだったんだ?」
「……別…に……」
「………………」
「佳音、ご飯」
私はリビングに行く。
≪オムライス≫
「何があったかは知らねーけど、元気ないみたいだし、元気付けにと思ったけど、無理に食べなくて良いからな」
「食べるよ!オムライスは!」
「そうだろうな!」
私はオムライスを食べる。
「ねえ、雄真。男の子ってさ、告白して付き合ってどれ位で関係持ったりする?」
「えっ?それは人各々だからな」
「そうか……」
「でも、大事にしてるなら手出せないかな?」
「大事?いや絶対大事にしてないよ!相手は女好きでやるだけやったらポイッ!の男だよ?色気がないか他に理由あるとしか……」
「そうだもんな」
「恥ずかしい話、キスもしてくれないのって……どう思う?」
「……お前……余程、色気ないんじゃねーの?」
「やっぱり……そうなのかな?」
「………………」
「可愛いのにな」
ドキッ
「えっ?」
「……なーんて!」
「今、ドキッとしたろ?」
「し、してませんっ!」
「ふーん」
私を見つめる雄真。
「見つめんなっつーの!」
「何?照れてんの?」
「う、うるさいなっ!」
私達は騒いでいた。
そんなある日の事だった。
「なあ、今の彼女とはどう?もうやる事やっちゃった感じ?」
「まだ!」
「うっそ!お前にしては珍しくね?」
「彼女、可愛いんだけどさ純すぎて。それに付き合っていくにつれて性格が分かってきて案外キツい性格で…友達みたいでさ」
「へぇー、じゃあ今まで出会った事のない女?」
「そう!可愛いけど色気がないし…手出したいけど…」
「押し倒せば?」
「いや…押し倒したくなるレベルじゃないんだよなぁ~これが。純すぎて!」
「色気ないからやる気失せるってやつ?」
「それもある!やっぱ女は色気だよなー」
バシャッ
水をぶっかける私。
「うわっ!冷てっ!何すんだよ!」
「ごめんなさぁ~い!」
ガンッ
コップをテーブルの上に叩き付けるように思い切り置いた。
「おいっ!俺までふざけんなよ!」
と、友達の人。
「一人よりも二人が良いだろうと思って~」
「はあぁぁっ!?マジムカつく!俺は関係ねーだろ!?最・悪……」
「つーかさ、やっぱ、そういう事だったんだ!あんたの事、噂で聞いていたけど良い奴だってときもあれば、コイツ計算してんのかな?とか思っていたけど、色気ないとか性格悪いとか…本気になった私が馬鹿だった!そうやって沢山の女の子騙して傷つけて来たんだね!最低!」
「………………」
「どれだけの女の子泣かしたの?色気なくて悪かったなっ!やってらんないからこっちから別れてやるわよ!」
「………………」
「つーかさ、あんた痛い目に遭わなきゃ絶対分かんないんじゃない? その女好き、女癖辞めた方が良いんじゃないの!? あーでも、あんたの場合、女なら誰でも良いんだもんねぇ~。やるだけやったらポイッ!なんでしょう?」
「黙ってりゃふざけた事言いやがって!」
「ふざけてんのどっちよ!あんた可愛い子じゃなくても良いんじゃないの?だってH出来れば良いんだもんね?」
「てめぇ…マジムカつく!」
「人を見た目で判断するからじゃん!だって私、性・格・悪いからぁ~。あんたが言・う・よ・う・に!女を騙して楽しい?傷つけて楽しい?本当…最低野郎だよ!あんたっ!」
「……………」
「お前、マジムカつく女!恥かかせやがって!」
「あんたの日頃の行いが悪いんでしょ!?」
「はあっ!?」
「恥かきたくないなら、その女の子に対する考え辞めたらどうなわけ?あんたが沢山の女の子と楽しい時間過ごしている中、あんたに騙されて傷ついてる女の子達は沢山いるの!どんだけ汚い訳?女の子代表して言ってやるわよ!あんたに恋する権利ない!あんたこそ今まで騙して傷つけてきた以上に女の子達に騙されて傷ついちゃいなよ!」
「てめぇ…」
拳を振り上げられた。
ヤバイ!と思うのと同時に、私は父親からの暴力がフラッシュバックし脳裏に過り、恐怖で目を閉じた。
「佳音っ!」
「………………」
「女の子騙しまくって女に暴力って……お前の脳みそマジヤバイんじゃねーの?」
「あ?何だと?」
ゆっくり目を開けると私の前に立ち塞がる雄真の姿。
≪雄真…≫
「彼女も言い過ぎた部分あるかもしんねーけど、女に手を挙げるって犯罪だよなぁ~責任取れんの?あんたの噂、俺の学校でも有名人ですよ?女好きだって!モテてるって勘違いされてるのか知りませんけど……調子に乗るのも大概にした方が良いんじゃないんですか?」
「野郎っ!二人してマジムカつく!運の良い奴だよなー。あーあ、こんな恥かかせる女なんか、さっさとヤっときゃ良かったかなぁ~。どうせ初めてなんだろうし!」
「……は!?今、何つった?もう一辺言ってみろ!」
雄真は、相手の胸倉をつかんだ。
「あー何度でも言ってやるよ!この俺を恥かかせる女、さっさとヤっときゃ良かったって言ったんだよ!傷付けた方が良かっ……」
バキーーッ
殴る音が店内に響き渡り騒然となった。
「大した高校生だねー」
「……荘…兄……」
「……荘史…さん…」
「君こそ俺の大事な妹に恥かかせないでくれるかな?妹をそういう目で見るのも扱うのも辞めてもらえるかな?人間としてどうなの?妹には、今後一切、二度と近付かないでくれるかな?勿論、この店にも!君みたいな男にこれ以上、心や体に傷付けられる事されると困るんだけど!?」
「……………………」
「他の女の子も傷付けるの辞めるべきだと思うよ?君、本当に相手されなくなるよ」
「………………」
「お引き取り下さい!お代はいりません!帰って もらって良いですか?」
彼と彼の友達は渋々帰って行った。
私達は店内にいるお客様に頭を下げ謝ると、私は崩れ落ちる。
「佳音っ!」
抱き止められた。
ドキン
「大丈夫か?」
至近距離にある雄真の顔に胸が大きく跳ねる。
「……ごめん…大丈夫……」
「お前無茶しすぎだから」
「本当、ヒヤヒヤしたよ。佳音は素直な所あるんだけど、たまに爆発しちゃうと止まんなくなるから」
「……ありがとう…それから…ごめん…」
頭をポンポンとする雄真。
ドキン
「あの男はろくな男じゃねーぞ!あっ!荘史さんありがとうございます」
「えっ?」
「まさか荘史さんが殴りかかるなんて思わなくて」
「実の妹をあんな風に言われたら殴りたくもなるよ。家族として、兄貴としてやった事だから。例え警察沙汰になったとしても正直に話して捕まったら佳音の居場所は、ここがあるから安心して警察にお世話になるよ」
その後、お客様は変わりなく来てくれて、逆にお客様が増えたかもしれない。
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