第9話 告白、噂

ある日の学校帰りの事。



「あの……お話があるんですけど…」

「はい?」

「これ、俺の連絡先です。都合の良い日に連絡下さい」


「えっ?あ、はい…分かりました」



とは言ったものの正直異性に連絡するのは初めてであり緊張して出来ない。




そんなある日の学校帰りの事だった。



「すみません」

「はい」

「連絡待っていたんですけど……」

「あっ!すみません!えっと…」

「せっかくなので移動しませんか?」

「はい」



私達は近くの公園に移動した。




「あの……単刀直入に言います!あなたが好きです!俺と付き合って下さい!」



ドキッ

初めての告白に胸が大きく跳ねた。



「えっ?」

「ゆっくりで良いので」

「私…男の子…苦手…なんです」

「えっ?」

「緊張して話せない部分あって…」

「そうなんだ。じゃあ、ゆっくりで良いんだ!苦手なら尚更」





慣れていない告白に緊張してうまく話せない。


本来のギャップの違いに自分自信も驚いている。


取り合えずゆっくりと付き合う事にした。




彼の名前は


諏木 鉄広(すぎ てつひろ)。17歳と付き合って1ヶ月。


彼の良さが分かり始めた今日この頃。


日に日に彼への思いが変わりつつある日の事だった。




「佳音さん、聞きたい事があるんですけど」


と、真那美ちゃんが尋ねる。



「何?」

「諏木 鉄広という方とお付き合いしてらっしゃるというのは本当なのでしょうか?」


「うん、そうだよ。まあまだ正式じゃないけど…友達?かなぁ~?」


「マジ(本気)になる前に別れて下さい」


「えっ!?」


「あの人、女好きで有名なんです。やるだけやったらポイッ!ですよ!」

「…や、やるだけやったら…ポイ…えっ!?つまりそれって関係持ったらって事?」

「他に何が有るんですか?」


「…いや…そうなんだけど…」


「知ってる人は知ってるけど、知らない人は知らなくて…情報不足で傷ついている人が沢山いるんですよ!」


「有名な割には…そういう事あるんだね…」


「女の子を知り尽くしてて、皆さん騙されるんですよ!だから早く別れて下さい!それとも、もしかして既に遅しですか?」


「…微妙…かな~?」


「じゃあ今ならまだ間に合います!」



「いやいや、この際、付き合って罰を与える方法もありますよ!」




女子の会話に割って入る男の子の声。



「浩志っ!」

「浩志君!?」


「こっちから利用しましょう!」

「いや…それは…流石に…」

「あっ、でも佳音さんなら大丈夫かもしれませんね!」


「えっ!?…いやいやいや…」


「おい、おい、お前ら、コイツを利用すんなよ。確かにコイツ性格悪いけど、こう見えても傷つくぞー」


「こう見えてって…雄真、どういう意味?」

「俺的には勧めねーな!」



≪えっ?雄真…≫




ドキン

雄真の以外な言葉に小さく胸がノックする。




「じゃあ先輩、何かあったら慰めてやって下さい!」



「そうですよ!そうしましょう!そうすれば佳音さんも頑張って付き合ってくれて皆さんから憧れの眼差しで、お店も大繁盛!」


「いやいや、逆だろう?」


「でも先輩、結構傷付いている女子いるんですよ!」


「あの人は一回、厳しく懲らしめてやらないと駄目ですって!同性の俺も許されないですよ!」


「そんなに酷いの?私と付き合っている人」


「はい!」



≪またハッキリと≫



「………………」


「泣き寝入りも良い所ですよ。責め立てたら開き直るタチの悪ーーい男です」


「…そう…なんだ……」


「うまい言葉並べて傷つけないように言ったり、向こうから別れを告げさせる手段なんです。相手からも別れ告げられる事もあるみたいですけど別に気にしない。騙して騙し続けて、相手傷つけて……犠牲者、沢山いるんですよ!」



「変な奴に好かれたなぁー、お前」

「えっ?」



私を見つめる雄真。



ドキッ




「あの人は可愛い子狙いなんで佳音さんも可愛いって事ですよ。ターゲットにされたんですから」



「………………」



「どうすんの?お前」

「……それは…」

「まあ、お前次第だからな。良く考えた上で結果教えな。マジで付き合うっていうなら…俺もそれなりに対応してやるよ」



ドキン

雄真の意外な返事。



「先輩、案外優しい所あるんじゃないですか?普通そんな事言えませんよ」

「いやいや、同じ働く仲間として言ってるだけだし、コイツがヘコむとお店も評判悪なるし、調子狂うから」




≪だとしても雄真の意外な言葉におかしくなりそう。私も調子狂う≫




その結果、彼と付き合う事にしたんだけど―――


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