第7話 兄妹の絆、空白の時間 ~16年間の人生~
「あれ?佳音さん、こっちに真那美来てないですか?」
真那美ちゃんの幼なじみ。
天都木 浩志(てんつき こうじ)君。14歳。
「真那美ちゃん?今日はまだ見てないよ」
「浩志、どうしたの?」と、雄真。
「あっ!先輩、真那美来たかな?と、思って。連絡あったりしました?」
「連絡?いやねーけど」
「そうですか」
「急用?」と、私。
「急用まではないんですけど…」
「もし来たら一言言っておく」と、雄真。
「はい!すみません、お願いします!」
浩志君は帰って行くのだった。
――― ある日の事 ―――
「あれ?佳音、姉貴は?」
「お姉さん? 真里絵さんなら、さっき出掛けたよ」
「出掛けた?珍しい。だから店休みなのか。店休みとなれば男だろうな」
「真里絵さん、美人なんだし彼氏いるんでしょう?」
「いや、ここしばらくいなかったからなぁ~」
「そうなんだ。じゃあデートかぁ~…。羨ましい。私、彼氏出来た試しないからなぁ~」
「16年間、彼氏いないんだ。まあ、お前の性格じゃ有り得るよな?」
ムカッ
雄真の一言に腹が立つ。
「あー、そうでしょうね!?悪かったな!性格悪くて!そういう、あんたも負けてないと思うけど?」
「じゃあ、お前のせいで悪くなったかもなぁ~」
「酷っ!私は何も悪くないよ!第一、私は今迄、色々あったんだから!」
「色々ねー…だろうな。要約、お兄さんの荘史さんと仲直りした感じだったし。俺が時間作らなきゃ今も仲悪かったんじゃ?」
「………………」
「なぁ…お前の16年間……一体何があったんだ?」
「…それは……」
私は下にうつ向く。
「今だから言うけど、荘史さん、お前がここにいる事知って相当心配していた雰囲気から一変して、すっげー安心した顔した感じだったし。お前がここに来る前、 家を出たくなる位嫌な事があったって事だろう?」
「………………」
「違うか?」
「………………」
「なぁ…佳音……」
歩み寄り、私の顔をのぞき込むようにすると、両頬を優しく包み込むようにすると顔をあげさせた。
「話して欲しい……無理には聞こうと思わないけど…だけど……お前……すっげー深い傷負ってる気がしてならないんだよ。荘史さんもお前も……」
「……雄真……聞いたら逃げ出したくなるよ……」
「えっ?」
「それでも聞く?」
「……佳音の傷が癒える訳じゃないかもしれないけど…」
「私の母親が亡くなる前は…家族みんな仲良くて本当幸せな家庭だったんだ……家の家庭はテーブル囲んでコミュケーション大切にしていて家族みんなが揃ってご飯食べてた……だけど……」
母親が倒れる時に一瞬だけ遡る。
「ママ!」
「私達が学校から帰ったら、ママが倒れてて荘兄が救急車呼んで、だけど……既に遅かったみたいで、病院に運ばれてからすぐに息引き取って……」
「その後、父親一人で私達兄妹を育ててたけど1年位しか続かなくて、父親はお酒に溺れて酒乱になってしまって……」
「酒乱!?つまり……それって……」
「暴力が絶えなくて……施設に預けられるも私達の学校帰りに待ち伏せされて家に連れて帰ってた」
「………………」
「私が小学3、4年で、荘兄は、中学生1、2年位だったかな……?その後、父親は、再婚して暴力はなくなったけど……私達兄妹に更なる試練が待ち受けてた……」
「……何だよ……試練って……」
「再婚相手からの……陰湿なイジメ。それは私への仕打ちだった……荘兄は……体の関係を求められてたんだと思う……再婚相手とキスしてる所、何度も見せられてて……私を守る為に、荘兄は性的な虐待(暴力)受けていた……」
「……マジかよ……」
「……でもね……あの女の人は……荘兄と関係持ちたかっただけなんじゃないかな?私へのイジメは関係なくされてたから。荘兄は、知らなかったから」
「………………」
「私へのイジメも酷いかもしれないけど、一番荘兄が辛かったんじゃないかな?だって、父親の再婚相手なのに、荘兄、関係求められてたし……」
「………………」
「私が高校入って、父親が亡くなって、私は荘兄に正直に再婚相手の事を話して家を出るって言って家を出てきた」
「……そうか……」
「それが……私達兄妹の……16年間の……日々……」
スッと両頬を優しく包み込むようにする。
ドキン
「……だけど……今、話した事が全てでなくて言い表せない位……沢山ありすぎて…二人は…大きい傷負っているんだろうな……」
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