第6話 自慢の兄
「センパーイ聞いて下さい!」
「うわっ!真那美(まなみ)ちゃん!」
店に入って来ては雄真に駆け寄る一人の女の子。
≪真那美ちゃん?先輩、後輩関係?≫
≪しかも中学年≫
≪まあ、年齢差は少しだろうけど≫
「真那美ちゃん、今はちょっと話は後で聞くし」
と、雄真。
「えーーっ! 今、聞いて下さい!」
「えっ!? 今!?」
「あのー…ごめんなさい。今は他のお客様の御迷惑……」
「誰ですかぁ~?あなた!」
「店員です!」
「店員!?先輩、先輩!こんな女いました?」
「彼女は……」
「あーーっ!私、差し置いて彼女つくったんですかぁっ!?彼女でしょう!?ねえ、ねえ、ねえ!」
バシャ
私は彼女に水をぶっかけた。
「きゃあっ!」
「ごめんなさぁ~い。手が滑っちゃったぁ~」
「…か…佳音……」と、雄真。
「私は雄真の彼女じゃありませんっ!ただの居候だから誤解しないでっ!ほらっ!話は奥で聞いてあげなよ!」
二人は奥に行った。
ある日の事だった。
「佳音さんっ!絶対に先輩とらないで下さいよ!」
私に水を掛けられた女の子。
開藤 真那美(かいとう まなみ)ちゃん。14歳。
真那美ちゃんは、雄真の事は好きとかそういうのではなく、お兄ちゃんみたいな感じで慕っているらしい。
「いやいや、私は別に興味ないから」
「そんな事言っておいて実は好きなんじゃないんですか?」
「私が好きなのは、アイツが作るオムライス!」
「えっ!?オムライスですか!?」
「そう!私、小さい時から母親の作るオムライスが本当に大好きで……雄真が作ったオムライスが
亡くなった母親の味にとても似てるんだ」
「へぇー…佳音さん…オムライス馬鹿ですか?」
「アハハ……だとしたら?つーか、馬鹿は余計だから!」
「えーー、馬鹿は馬鹿ですよ」
「真那美ちゃんっ!」
クスクス笑う真那美ちゃん。
時々、ムカつく事あるけど憎めないのだ。
お互い茶化して馬鹿しあって、からかう感じで良い友達になっている。
妹みたいな感じだ。
「佳音、いる?」
「あっ!荘兄、いらっしゃい!どうしたの?」
「近くまで来たから寄ってみた」
「そうなんだ!あっ!座って!何にする?」
「コーヒーで」
「種類幾つかあるけど?」
「そうだなぁ~じゃあ、これにしようかな?」
「OKー!」
「佳音さんのお兄さんですか?」
「そうだよ」と、荘兄。
「カッコイイですね!」
「えっ?」
「良いなぁ~、お兄さん。私、一人っ子なんで羨ましいです。しかもカッコイイし自慢じゃないですか?佳音さん、佳音さん」
「何?」
「良いですね!」
「えっ?」
「お兄さんカッコイイから自慢じゃないですか?」
「うーん…どうかな?」
「いや、絶対そうですって!」
「でも自分の兄をべた褒めする妹も引くよ。兄貴に溺愛も気持ち悪くない?」
「俺もそんな妹に溺愛したくないよ」
「だけど、自慢出来る容姿ですよ。だって見て下さいよ」
「えっ?」
「余り大きい声では言えないんですけど、かなり、お兄さんに視線集中してるじゃないですか?」
それとなく辺りを見渡すと、確かにカウンターにいる荘兄を見てはコソコソ話をしてる若い女の人達がいる。
だけど、雄真にも視線が集中しているのは身受けられ日々感じている。
つまり、二人はカッコイイレベルだという事だろうか?
私達は色々と話をしていた。
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