第4話 訪問者

それから1ヶ月が過ぎ ――――



「ねえねえ、門の前にカッコイイ人いるよ」

「彼女待ちかな?」

「マジカッコイイんだけど?」

「背高ーい」


女子生徒が囁いている。




そして ――――




「佳音」



私の名前を呼ぶ声に振り向く。


視線の先には―――




「げっ!荘兄っ!?探すなって言ったじゃんか!」


「別に探してるつもりないよー。学校、通っていたんだね。それだけ確認したかったから」


「高校は卒業したいんで!それじゃ!」




グイッと腕を掴まれた。



「何よ!」

「家に帰ってきたら?」

「いーやー! 誰があんな家に帰るかっつーの!私の居場所なんてないし!悪いけど帰って!2度と来んなっ!」




私は走り去った。




「佳音っ!」



そんな私の後をついて来てる事など知るよしもなく。




「へぇー…ここが今、佳音のいる所かぁ~」




そこへ ――――




「あのー、家に何か用ですか?」

「いいえ。妹の事、宜しくお願いします」

「えっ?妹?」

「それじゃ!あっ!ここに来た事は内緒で」

「はあ…」




荘兄は、車を走らせ帰って行くのだった。




「男の子と同居かぁ~。というより佳音が居候って感じかな?店してるみたいだし……だけど…あの店…初めて来た感じじゃないんだよねー…」




数日後 ――――




「いらっしゃいませー」



「……………」



「荘兄ぃっ!?ちょっと!何しにきたの!?つーか、何で知ってんのさ!?連れ戻しに来たなら私、帰んないから!」


「誰も連れ戻しに来た訳じゃないから」





そこへ ――――



「ただいまー。なあ、姉貴、表の車……」



帰宅する雄真。



「じゃあ、何しに来たの?兄貴の顔すら見たくないんですけど!とっとと、あのネコかぶり女の所に帰れ!」


「佳音、その事だけど」

「聞きたくないっ!」

「姉貴……もしかしてアイツの家族?」

「その様ねー。お兄さんみたいよ」



≪やっぱり……≫



私達の車を見つめながら会話する姉弟。



「お兄さんの事……相当な事あったな…亀裂半端ねーな」


「カッコイイわね?お兄さん」

「えっ!?そっちかよ?」

「あら?だってもう随分と恋してないから~トキメいちゃうの当たり前でしょう?」


「…バーカ…」




「ともかく聞いて」

「いーやーっ!帰れ!帰れ!」



私は追い返すのだった。



「全く!」




そして兄は渋々帰って行くのだった。









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