第40話 私①

この状況を脱するために、誰かに相談したいところですが、

残念ながら、知り合いと呼べる人は、ほとんどいません。

そもそも、こんな状況に陥っていること自体、誰にも知られたくないですし、

何よりも、今の自分の姿を見られたくないという気持ちの方が強いです。

なので、誰かに頼ることはできません。

とはいえ、このまま一人で抱え込むわけにもいかない、

なので、どうにかして、解決する方法を見つけなければなりません。

そのため、まずは、原因を探ることから始めようと思います。

そのために、まず最初に、当時の状況を詳しく思い出してみました。

当時、自分は、何を考えていたのか、どんな気持ちでいたのか、

それらを、一つ一つ思い返していくうちに、徐々に記憶が蘇ってきました。

それと同時に、当時の感情が、鮮明に蘇ってきたのです。

あの時は、怒りや悲しみといった感情に支配されていて、

自分でも、よくわからない状態になっていたことを思い出しました。

今思えば、もう少し冷静に対処していれば、

あんな事態にはならなかったはずなのに、と後悔しています。

ですが、今更、後悔したところで、何も変わりません。

過去の出来事を変えることはできないのですから、

これから、どうすべきかを考えるしかありません。

そこで、まずは、自分自身を見つめ直すことから始めることにしました。

自分が、今、何を考え、何を望んでいるのか、

それを知ることから始めようと思いました。

その上で、今後、どのように行動していくべきかを考えていくつもりです。

ただ、その前にまずは、自分自身を知ることから始めましょう。

その為には、やはり過去の記憶を呼び覚まさなければならない、

当時の状況を再現する必要がある。

そのために、まずは、当時の記憶をもう一度詳細に思い出してみることから始めた。

まず最初に、自分が、どのような人間だったのか、

それを改めて、確認するところから始めた。

その結果、わかったことは、自分は、非常に内向的な性格であり、

他人と接することが苦手だったということ、

さらに、自分に自信がなく、常に周りの目を気にしながら、

生きてきたということ、そういった事実が次々と明らかになっていった。

それらを踏まえた上で、次に、現在の自分について考えてみる。

現在、自分は、どのような状況にあるのか、

それを認識した上で、今後、どのように行動していくべきか、

それを決めるべきだと考えたからだ。

まず、今の自分の状態を確認するために、鏡の前に立った。

そこに映っていたのは、自分の姿、見慣れたはずの姿、

それなのに、なぜか別人のように見えてしまう。

その理由は、おそらく今の自分の姿が、本来の自分とかけ離れているせいだろう。

つまり、今の自分は、本当の自分ではない、

偽者だということを意味している。

そのことに気づかされた瞬間、激しい恐怖に襲われた。

もし、このままずっと、偽りの姿を演じ続けなければならないとしたら、

それは、あまりにも辛いことだ、耐えられない、 何よりそんな状態で、

これから先、生きていくことなどできない、

ならば、一刻も早く元の自分に戻る必要がある。

そのために必要なことは、ただ一つ、過去の自分を取り戻すことだ。

手段を模索しなければならない、

そこで、まず過去の自分を知ることから始めることにした。

具体的には、当時の日記を読み返すことから始めることにした。

そうすれば、何かしらの情報が得られるかもしれない、そう思ったからだ。

早速、机に向かい、引き出しの中から、一冊のノートを取り出した。

表紙には、幼い字で名前が書かれている。

間違いなく、自分のものだ、中身を確認してみると、

そこには、拙い文章ながらも、一生懸命に書かれた、当時の気持ちが綴られていた。

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