第39話 私と妖精㊴
なんて情けないのだろう、 このままでは、いけないと思い、急いで戻ろうとする私。
その時、フェリーズが呼び止めてきた。
振り返ってみると、彼女は、寂しそうな表情を浮かべながら、こちらを見つめていた。
ごめんなさい、そんな顔しないで。
大丈夫、貴方とは、これからも友達。
その言葉を聞いた途端、彼女の顔に、笑顔が戻った。
ああ、良かった、これでもう大丈夫だ。
改めて決意を固め、前を向く。
今度こそ、絶対に忘れないよ、大事な親友の事だけは結局、
今回は、自分の力だけではどうにもならなかったので、応援を頼むことにした。
場所は、以前に、別の事件の際に知り合った、 とある妖精の元。
事情を説明すると、快く引き受けてくれた。
早速、準備を整え、現場に急行してくれることになったので、
その間に、こちらも、出来ることをしようと思う。
まずは、情報収集、これは、探偵の基本中の基本だ。
というわけで、早速、聞き込みを開始することにした。
とはいえ、誰に話を聞けばいいのかわからない、
どうしたものか、と考えていると、 ちょうど良いところに、見知った顔を見かけた。
あれは、確か、以前、事件を解決する際に、協力してもらったことのある人物だ。
よし、この人に聞いてみよう、そう思い、話しかけることにした。
そうすると、向こうも、こちらのことを覚えてくれていたらしく、笑顔で迎えてくれた。
そして、事情を話すと、親身になって聞いてくれた上で、丁寧にアドバイスをしてくれた。
やはり、持つべきものは友である、そう思いながら、お礼を言い、その場を後にした。
その後、教えてもらった情報を元に、調査を開始した結果、
意外なほどあっさりと、犯人を特定することができた。
というのも、被害者の一人が、かつて、
自分がいじめていた相手だということが判明したからだ。
しかも、今回の事件の発端となった、あのイジメ行為が原因だというのだから驚きである。
しかも、加害者側が、まさか、逆恨みをしていたなんて、思いもしなかった。
確かに、当時は、色々と酷いことをしてしまったかもしれないが、
だからといって、ここまでするほど、恨まれていたとは思わなかった。
正直、ショックを隠しきれない、 それにしても、何故、そんなことをしたのか、
理解ができない、もしかして、何か理由があるのかもしれない、
そう思って、本人に直接聞いてみることにした。
話を聞き終わると、なんとも言えない気持ちになったので、
まさか、そこまで根深い問題を抱えていたとは思わなかったからだ。
だが、同時に、納得できる部分もあったから、
たしかに、言われてみれば、思い当たる節もある、というか、ありすぎるくらいだ、
もしかしたら、自分は、とんでもないことをしてしまったのではないだろうか、
そう思うと、怖くなってきた。
今すぐ、謝りたい気分だ、いや、謝るべきなのかもしれない。
だが、今さら謝ったところで、許してもらえるかどうか、
わからない、それに、謝って済むような問題ではない。
だからこそ、余計に悩むことになる、どうすればいいのか、
もはや、わからなくなってきた。
そんな中、ふと思った、あの時、もしも、ちゃんと謝罪できていたら、
結果は変わっていたのではないか、もっと違う未来があったのではないか、
そう考えると、胸が苦しくなった。
後悔しても、もう遅い、わかってはいるが、考えずにはいられなかった。
それからというもの、悩み続けた、どうしたらいいのか、
何が正しいのか、あるいは、このまま何もなかったかのように振る舞うべきなのか、
考えれば考えるほど、泥沼にハマっていくので、思考が堂々巡りを繰り返す。
出口のない迷路の中に迷い込んでしまったかのような感覚に陥るので、
まるで、出口のないトンネルの中を彷徨っているような気分です。
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