第37話 私と妖精②
妖精たちに、人間と同じように自由を勝ち取ることに成功した。
もちろん、妖精によっては、人間に友好的でない者もいたようだが、
大半は、人間に歩み寄る姿勢を見せてくれた。
その中でも、特に活躍してくれたのは、先程の戦いに参加してくれたリーダー格の妖精たちであった。
彼女らの働きがなければ、恐らく、今頃、この場所は無かったに違いない。
だからこそ、感謝の気持ちを込めて、頭を優しく撫でてあげたら、
くすぐったそうな顔をしていたが、それでも嫌がってはいなかったように見えた。
むしろ、もっと撫でて欲しそうにしていたので、
リクエストに応えてあげれば、とても喜んでくれたようだ。
そんなやり取りを見ていた他の妖精たちも、羨ましそうに見ていたので、
そちらにも同じようにしてあげたら、凄く喜んでいたようだった。
その後は、みんなで仲良く、楽しいひと時を過ごしたのだった。
妖精たちの処遇についてだが、当初は、どこか安全な場所へ預けようと考えていたのだが、
みんな、ここを気に入ってしまったらしく、離れようとしない為、
仕方なく、引き続き、ここで暮らすことになった。
その代わり、定期的に様子を見に行くように心がけることにした。
それからというもの、妖精たちとの生活が始まったわけだが、
最初の頃は、なかなか苦労が多かったように思う。
例えば、食事の問題である。
妖精たちは、基本的に、人間の食べ物を食べることができない。
そのため、用意するにしても、専用のものを用意する必要があった。
幸い、ここには、そういった食材が大量に保管されていたので、
それらを活用することで、なんとか対応することができた。
また、お風呂に関しても、最初は大変だった。
何せ、水浴びすらしたことが無い子がほとんどだったので、
最初は、石鹸の存在すら知らなかったくらいである。
その為、最初のうちは、何度も、体を洗ったり、お湯に浸かったりする練習をする必要があった。
だが、それも、慣れてくれば、自分から進んで入るようになっていった。
最近では、湯船に浸かって、気持ちよさそうに歌を歌う姿なども見せてくれるようになった。
さらに、衣服についても、同じように苦労した記憶がある。
何しろ、今まで、まともに服を着るという習慣が無かったため、
どう着せればいいのか、全く分からなかったからだ。
その為、試行錯誤を繰り返し、なんとか着られるようになった頃には、 すっかり、冬服の時期になっていた。
ちなみに、最近のお気に入りは、モコモコのセーターを着て、手袋を付けることである。
その他にも、様々な問題に直面したが、その度に、みんなで力を合わせて乗り越えてきた。
これからも、どんなことが起こるか分からないが、
きっと、みんなで力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。
妖精たちと過ごす日々はとても充実しており、本当に幸せだと感じます。
もし、この世界に神様がいるとしたら、きっと、私たちを見守ってくれていることでしょう。
だから、これからも、ずっと、みんなと一緒に生きていきたいと思います。
それが、今の私の夢であり、目標です。
でも、ひとつだけ、どうしても叶えられない願いがあります。
それは、いつか、必ず別れの時が来るということです。
その時は、きっと、辛い思いをすることになるでしょう。
だけど、それでも、決して忘れません。
この思い出があれば、どんなに辛くても、頑張れる気がするからです。
ありがとう、妖精さん、これからも、よろしくね!
とある街の片隅に建つ小さな孤児院、そこに、一人の少女が暮らしていた。
名前は、リリアナという。
彼女は、生まれつき体が弱く、幼い頃から病気がちだったため、
両親からは見放され、この施設に預けられることになった。
それ以来、ずっとここで暮らしてきたのだ。
そんなある日、いつものように、外で遊んでいると、突然、空から何かが降ってきた。
よく見ると、それは、手のひらサイズの小さな生き物だった。
背中には、蝶のような羽が生えており、お尻からは、先の尖った尻尾のようなものが伸びている。
そんな不思議な生き物が、目の前に現れたのだ。
驚いて、その場で固まっていると、その生き物の方から話しかけてきた。
なんでも、相手は、妖精と呼ばれる存在らしい。
妖精というのは、自然界に存在する、魔力を持った生命体のことで、
普段は、目に見えない姿で存在しているそうだ。
ところが、ごく稀に、実体を持って現れることもあるらしく、
その場合、人の姿に近い形になることが多いのだという。
ちなみに、目の前にいる妖精の姿は、まだ幼い子供のようである。
年齢は、十歳前後といったところだろうか、
身長は、リリアナよりも少し低いくらいで、全体的に、ぽっちゃりとした体型をしている。
髪は、銀色で、長さは肩にかかる程度、前髪は、眉の上で切り揃えられており、
後ろ髪は、首辺りまで伸びていた。
瞳は、青色で、パッチリと大きく、クリクリとしている。
顔立ちは、整っており、可愛らしい印象を受ける。
服装は、緑色のワンピースを着用しており、頭には、花冠のようなものを被っていた。
また、背中には、トンボのような透明な羽が生えており、時折、パタパタと動かしている。
全体的に、明るく元気なイメージを感じさせる容姿をしていた。
そんな彼女の名前は、フィリアというらしい。
彼女は、この施設に住んでいるわけではなく、
たまたま近くを通りかかり、興味本位で立ち寄っただけだという。
そこで、偶然、リリアナの姿を見つけたことで、つい声をかけてしまったというわけだ。
彼女は、しばらくの間、リリアナと話した後、満足した様子で帰っていった。
その際、お土産として、木の実や果物などを分けてくれたので、ありがたく頂戴しておいた。
また、機会があれば、遊びに来ると言っていたので、楽しみが増えた気分だった。
それからというもの、フィリアとの交流が始まった。
といっても、いつも彼女が一方的に会いに来るだけなのだが、それでも、リリアナは嬉しかった。
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