第33話 少女との出会い

あそこに行けば、きっと新たな発見があるはずです。

そうと決まれば、善は急げと言いますし、早速出発しちゃいましょう。

街の中を散策しながら、あちこち見て回ることにしました。

しばらく歩いていると、ある場所に辿り着きました。

そこは、この街で最も有名と言っても過言ではない場所、妖精王廟です。

その名の通り、この街を治める妖精王が祀られている場所なのですが、

いつ来ても変わらない荘厳な雰囲気に包まれています。

ただ、一つ気になることがあります。

それは、入り口付近に立っている二人の女性の姿です。

一体、何をしているんでしょう?

気になりつつも、そのまま通り過ぎて行こうとすると、不意に声をかけられたので、足を止めました。

振り返ると、そこには二人の女性が立っていた。

二人とも、同じ服を着ており、姉妹のように見える。

よく見ると、髪の色も同じようだ。

顔はそっくりだが、どこか違う気がする。

なんとなくだけど、片方は気が強そうで、もう片方は大人しい感じがする。

どちらとも初対面だが、向こうは私のことを知っているようだった。

どうしてだろうと思っていると、彼女たちの方から説明してくれた。

なんでも、私が来るのを待っていたらしい。

その理由を聞きたかったのだが、それより前に質問されてしまった。

仕方がないので、質問に答えることにした。

といっても、それほど大したことではないのだが、一応答えることにする。

答えを聞いた後、二人は顔を見合わせて驚いていた。

一体、何がそんなにおかしいのだろう?

不思議に思っていると、今度は逆に質問された。

「あなたは、どうしてここに来たんですか?」

その口調からは、敵意のようなものは一切感じられない。

むしろ、興味津々といった様子に見える。

なので、正直に答えてみることにした。

そもそも、隠す必要もないこと。

「実は、私は旅人なんです。各地を旅しながら、様々な知識を吸収しているんですよ。

それで、ここへ来た理由ですが、単純に観光目的です。

この街には、多くの書物があると聞いていたものですから、是非読んでみたいと思いましてね」

そう答えると、彼女たちはさらに驚いたような表情を見せた。

一体、どういうことだろうか?

ますます意味が分からなくなってくる。

困惑していると、再び話しかけられた。

今度は、先ほどよりも丁寧な口調で話しかけてきた。

話を聞くところによると、どうやら彼女たちは、この街に住んでいるわけではないらしい。

それどころか、この世界の人間でもないのだという。

つまり、異世界人ということになる。

その事実を聞いて、驚きのあまり言葉を失ってしまった。

まさか、こんな形で出会うことになるとは、夢にも思っていなかったからだ。

しかし、冷静に考えてみれば、あり得ない話ではないのかもしれない。

なぜなら、この世界には、まだまだ未知の部分が数多く残されているのだから。

それに、目の前にいる二人からは、どことなく不思議な雰囲気を感じる。

もしかすると、普通の人間とは異なる存在なのかもしれない。

そう思った瞬間、自然と警戒心が生まれてきた。

しかし、同時に興味も湧いてきたのも事実である。

そこで、思い切って尋ねてみることにした。

彼女たちの正体について、詳しく教えてほしいと頼んだのだ。

最初は渋っていたものの、最終的には了承してくれた。

そして、ついに明かされた真実とは!?

それを知った時、私は愕然とした。

何故なら、自分が想像していたものとは全く違っていたからだ。

まさか、こんなことになっているとは思わなかった。

これでは、何のためにここまで来たのか分からないじゃないか。

落胆しつつも、その場を後にした。

その後も、色々と調べて回ったが、結局収穫はなかった。

仕方なく、諦めて帰ろうとしたその時、ふと視界の端に何かが映った気がした。

気になってそちらを見てみると、そこには見覚えのある建物があった。

あれは、確か図書館だ。

昔、一度だけ入ったことがある場所だ。

懐かしい気持ちになりながら、再び足を運ぶことにした。

中に入ると、たくさんの本が並んでいるのが見えた。

どれもこれも、見たことがないものばかりである。

興味を惹かれるものばかりだったが、残念ながら時間がないため、ゆっくりと見ている余裕はない。

それでも、できる限り多くの情報を得ようと、必死になってメモを取った。

一通り調べ終わった後、外へ出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。

これ以上の長居はできないと判断し、帰路につくことにした。

帰り際、もう一度振り返ってみたが、やはり何も見えなかった。

気のせいだったのかと思い、諦めかけたその時、急に視界が明るくなった。

驚いて上を見上げると、そこには巨大な木が生えていた。

いや、正確には、木の枝の上に誰かが立っていたのだ。

その人物は、こちらをじっと見つめていたが、やがてゆっくりと降りてきた。

地面に降り立った後も、しばらくの間、無言のまま立ち尽くしていたが、やがて口を開いた。

その声は、どこか聞き覚えがあるものだった。

そこで、やっと思い出した。

彼女は、以前出会った妖精の少女だったのだ。

「久しぶりね、元気にしてた?」

笑顔で問いかけてくる彼女に、こちらも笑顔で答えた。

そうすると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。

その表情を見て、なぜかホッとした気持ちになった。

それから、しばらくの間、彼女と話をした。

と言っても、ほとんど一方的に話を聞かされるだけだったが、それでも楽しかった。

気がつけば、時間が経つのを忘れてしまっていたほどだ。

やがて、別れの時が訪れた。

名残惜しかったが、いつまでもここにいるわけにはいかない。

後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にした。

そして、再び歩き出した。

今度は、どこへ向かおうかと考えていると、不意に声をかけられた。

振り向くと、そこには一人の少女が佇んでいた。

年の頃は、10歳くらいだろうか。

とても可愛らしい容姿をしている。

彼女は、こちらを見つめたまま動かない。

何か用でもあるのだろうか?

不思議に思いながら、こちらから話しかけてみた。

そうすると、少女は黙ったまま首を横に振った。

どうやら、そういうわけではないらしい。

では、一体何の用があるというのか?

疑問に思っていると、突然手を握られた。

「お願い、私と一緒に来て!」

そう言いながら、強引に引っ張ってくる少女。

一体何が起きているのかわからず、混乱してしまう。

だが、不思議と悪い気はしなかった。

むしろ、どこか懐かしさを覚えるような、そんな感覚さえ覚えていた。

気がつくと、いつの間にか森の中にいた。

ここはどこなのか、どうやって来たのか、全く覚えていない。

ただ一つ言えることは、この場所にいる間だけは、不安を感じずにいられるということだ。

ずっと、ここにいたいと思えるほどに居心地が良い。

そんなことを考えながら、ぼんやりと空を眺めていると、不意に声をかけられた。

見ると、目の前にいたのは、先ほどの少女だった。

彼女は、相変わらず無表情のままだったが、心なしか嬉しそうな顔をしているように見えた。

なぜ、そう思うのか自分でもわからない。

もしかしたら、ただの勘違いかもしれない。

だけど、それでも構わないと思った。

今この瞬間、この場所にいることが何よりも大切なことなのだから。

そう思うと、自然と笑みが溢れてきた。

そして、彼女に向かって手を差し伸べる。

そうすると、彼女もそれに応えるように手を差し出してきた。

互いの手が触れ合った瞬間、全身に電流が流れたかのような衝撃を感じた。

それと同時に、頭の中に様々な記憶が流れ込んでくるのを感じた。

まるで、走馬灯のように、次々と浮かんでくる光景の数々。

それは、どれも懐かしく感じられるものばかりだった。

ああ、そうか、そうだったんだな。

その瞬間、全てを理解したような気がした。

自分が何者なのか、何をすべきなのか、それがはっきりとわかったのだ。

だから、迷うことなく行動に移した。

まず最初に、目の前にいる少女に対して、自分の気持ちを伝えることにした。

ありがとう、君のおかげで、大切なことを思い出すことができた。

本当に感謝している。

もし、君がいなければ、今頃どうなっていたかわからない。

本当にありがとう、大好きだよ。

その言葉を聞いた途端、少女の目から涙が溢れ出した。

そして、こちらに向かって抱きついてきたかと思うと、大声で泣き始めてしまった。

そんな彼女の頭を優しく撫でながら、何度も繰り返し囁いた。

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