第32話 妖精都市

本当に困りました。

このままだと、確実に野宿することになりそうです。

せめて、一晩だけでも安全な場所を見つけないと、

安心して眠ることもできませんから。

そう思いながら歩いていると、前方に何やら人影のようなものが見えてきました。

もしかして、誰かいるんでしょうか?

だとしたら、道を聞くこともできそうです。

よし、行ってみましょう。

近付いてみると、そこにいたのは人間の男性ではなく、エルフの女性でした。

年齢は20代後半といったところでしょうか。

髪は銀色で、瞳の色は碧色、肌の色も白く透き通っていて、

まるで雪のように真っ白です。服装は軽装で、

腰に長剣を携えていることから剣士であることが窺えます。

そんなことを考えているうちに、彼女がゆっくりと顔を上げてこちらを向いてきました。

目が合った瞬間、一瞬ドキッとしたけど、すぐに落ち着きを取り戻し、

改めて挨拶を交わしました。

その後、お互いに自己紹介を済ませた後、彼女が言うには、

この先にある村の出身らしく、今は仕事の関係で近くの都市に向かっている途中なんだとか。

それを聞いて、少し安心しました。

というのも、このまま一人きりで進むよりも、一緒について行ったほうが心強いと思ったからです。

それに、せっかく知り合えたのだから、もう少し話をしたかったということもあります。

ということで、同行させてもらうことにしました。

もちろん、快く受け入れてもらえました。

良かったぁ〜、断られたらどうしようかと思っちゃいました。

ホッと胸を撫で下ろしつつ、二人で並んで歩き始めました。

道中、色々な話を聞かせてもらいました。

例えば、好きな食べ物の話だったり、趣味の話だったり、他にもたくさんあります。

中でも特に興味深かったのは、小さい頃の夢について話してくれたときのことです。

私には、昔から叶えたい夢があるんですけど、なかなか実現できずにいたんです。

だから、彼女の話を聞いて、私も頑張ろうって思えました。

それにしても、どうしてみんな、あんなに早く夢を見つけられるのかなぁ……。

きっと、すごい才能の持ち主に違いないのです。

羨ましい限りです。

そんなこんなで、楽しくおしゃべりをしながら進んで行くと、

いつの間にか目的の町が見えてきました。

どうやら、思っていたよりも早く着いたようです。

これなら、予定通りの行動ができそうです。

ところで、これからどうしようかな?

とりあえず、この町のことを色々知りたいんだけど、どこに行けばいいのかな?

そうだ、誰かに聞いてみようっと。

近くを歩いていた人に声をかけてみることにしました。

「すみません、ちょっといいですか?」

そうすると、親切そうなお姉さんが笑顔で応えてくれました。

よかった、優しそうな人で安心しました。

それで、まずはどこから回ればいいかなって思って聞いてみたら、親切丁寧に教えてくれました。

ありがとうございます、助かりました。

おかげで、効率よく情報収集することができました。

では、早速出発しましょう。

目指す場所は、さっき教えてもらった武器屋です。

あそこなら、色んな装備があるから、自分に合うものを探しやすいんじゃないかと思ったんです。

あとは、どんな商品があるのか見てみたいっていうのもあるかも。

えへへ、楽しみだなぁ。

わくわくしながら、足取り軽やかに向かっていると、あっという間に到着しました。

さっそく中に入ってみると、思った通りたくさんの人がいて賑わっています。

店内を見回してみると、意外と品揃えが良いみたいで、目移りしてしまいます。

あ、これなんか可愛いかも。

手に取って見てみると、思ったより重厚感があって、しっかりしてるのが分かります。

試しに持ってみた感じ、悪くない感触だったので、買おうと思います。

お値段の方もお手頃価格だし、ちょうど良い買い物ができたかもしれません。

よし、次に行きましょう。

あ、その前に忘れちゃいけないことがあるんだった。

忘れてた、先にご飯にしよう。

もうお昼時だし、お腹ペコペコだもん。

どこかにお店ないかなぁ〜、探してみようっと。

お、ありました、食堂がありました。

メニュー表を見ると、どれも美味しそうなものばかりで迷っちゃいます。

迷った末に選んだのは、野菜炒め定食にしてみました。

しばらくして、料理が運ばれてくると、早速食べてみることにしました。

一口食べると、口の中に広がる旨味がたまらない美味しさで、どんどん箸が進みます。

やっぱり、美味しい食事は最高です。

満足いくまで食べた後は、お会計をして店を出ました。

「ふぅ、美味しかったー」

ごちそうさまでした。

お腹いっぱいになったことだし、そろそろ次の目的地に向かいましょう。

今度は、道具屋さんに行ってみたいと思います。

さっきの武器屋さんでも良さそうだったんですが、ちょっと気になったことがあるんです。

えっと、どこにあるんだろう、あっ、ここかな?

中に入ると、棚一面にいろんなアイテムが置かれていました。

種類も豊富で、目移りしてしまいます。

その中でも、一際目立つものがあったんです。

それが、これなんです。

一見すると、ただの棒にしか見えないんですけど、実は凄い力を秘めてるんですよ、これ。

その名も、魔操杖っていうもので、持ち主の魔力を流すことで自在に操ることができます。

ただし、かなりの魔力を消耗するため、長時間の使用は難しいみたいですが、

うまく使えば強力な武器になると思います。

私がこの杖を選んだ理由は、やはり自分の能力を最大限に活かせるという点です。

それと、もう一つ理由があるんです。

それは、使い手の想像力次第で、いろいろな形に変形させることができるということなんです。

例えば、杖の先っちょ部分が刃物になったかと思えば、今度は柄の部分が伸びてきて、

槍になったりするといった感じです。

これって、なんだか面白そうだなと思って、つい欲しくなっちゃいました。

でも、いきなり高いものは買えないので、安めのやつから買っていこうと思います。

えーっと、なになに、魔法の小刀だって。

へー、普通の短剣とは違って、軽い力で切れるんだ。

刃こぼれもしないし、手入れもほとんどいらないなんて、良いこと尽くしじゃない。

よし、これに決めた。

というわけで、購入決定です。

後は、代金を支払うだけになりました。

お会計を終えて、店の外に出ると、思わずガッツポーズをしちゃいました。

やったー、欲しかったものが買えたよ、嬉しいなー。

さて、次はどこへ行こうかな。

そういえば、まだ宿を取っていなかったことを思い出したので、急いで探しに行くことにしました。

幸い、すぐ近くにあったので、すぐに見つけることができました。

料金を確認すると、結構安かったので、ここに泊まろうと思います。

手続きを済ませた後、部屋に案内されました。

部屋の中に入ると、広々とした空間が広がっていました。

ベッドもふかふかで気持ち良いですし、窓から見える景色も綺麗です。

いい部屋だなって思いました。

しばらく、のんびりしていたいところだけど、そうも言ってられないのです。

よし、準備が出来次第、出発しよう。

目指す場所は、この森の中心に位置する妖精都市、"妖都グランゼフィール"です。

ここには、私の知り合いがたくさん住んでいますし、

それに、いろいろと貴重な文献や資料が残されている施設もあって、

一度訪れてみたいなと思ってたんです。

そんなわけで、今からワクワクしています。

楽しみですねー、早く着かないかなー。

おっと、いけない。

大事なことを忘れてました、ちゃんと必要な物は揃えておかないといけないのです。

えーと、何が必要なんだろう、うーん、わかんないや。

まあ、なんとかなるでしょう。

とりあえず、適当に必要なものを持っていけば大丈夫だと思うし、多分問題ないはず。

では、レッツゴー!

ふう、ようやく着いたみたいです。

長かった道のりのせいで、すっかり疲れ果ててしまったけれど、

なんとか無事に辿り着けて良かったです。

それにしても、ここに来るのは何年ぶりでしょうか。

昔はよく来ていたけれど、最近は全然来ていなかったですから。

久しぶりに来ることができて、本当に嬉しいです。

さて、感傷に浸るのはこれくらいにして、さっそく観光を始めることにしましょうか。

どこに行こうかしら、やっぱりまずはこの街の象徴である、妖精大聖堂を見に行くべきです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る