第24話 私の大切な事

その後、二人で色々な話をしながら過ごしました。

例えば学園での出来事や好きな食べ物の話などです。

中でも印象に残ったのはやはり家族について話した時のことです。

その時、彼女は少しだけ寂しそうな表情を浮かべていましたが、

すぐに笑顔を見せたので安心しました。

その後も楽しく会話をしていると、突然彼女が立ち上がって走り出してしまったのです。

何事かと思って追いかけると、その先には公園のベンチに腰掛けている女の子の姿がありました。

どうやら友達に会いに来たようです。

その子の名前はアリスちゃんというらしく、年齢は10歳だそうです。

私と同い年です。

そんなことを思いながら見ていると、向こうもこちらに気づいたようで、駆け寄ってきました。

話を聞くと、一人で遊んでいたところを見つけたとのことでした。

なので、私は彼女に挨拶することにしました。

そうして暫くの間三人で遊んでいるうちに日が暮れてきたので帰ることになりました。

別れ際にまた遊ぼうねと言うと、二人とも笑顔で頷いてくれました。

帰り道ではエリーズが拗ねてしまったのですが、

頭を撫でてあげたら機嫌を直してくれたみたいで良かったです。

家に帰り着く頃にはすっかり元気になっていましたし、

何より嬉しかったのは、寝る前に彼女が甘えてきてくれたことです。

普段はあまりこういうことはしない子なんですが、今日は特別みたいです。

可愛いです。

そう思いながら抱きしめてあげると、嬉しそうな顔をしていました。

やっぱりこの子は世界一可愛い存在だと思います。

翌日になると、いつも通りの生活が始まります。

「おはよう、エリーズ」

私が挨拶すると、彼女は笑顔で応えてくれました。

その表情はとても可愛らしく、見ているだけで癒されます。

朝食を食べ終えると、身支度を整えた後で公園に向かいました。

そこではアリスちゃんとエリーズが仲良く遊んでいましたが、

途中で私に気付くと駆け寄ってきて、一緒に遊びたいと言ってきたのです。

なので私は快く承諾しました。

それからしばらくの間三人で遊んでいるうちにお昼時になったので家に帰ることにしました。

家に着くと昼食の準備をするためにキッチンへ向かいます。

今日は何を作ろうかと考えていると、後ろから声をかけられました。

振り向くとそこにはエプロン姿の彼女が立っています。

どうやら手伝ってくれるようです。

嬉しく思いながらもお礼を言ってから二人で料理を始めました。

出来上がった料理をテーブルに並べていると、

ちょうど良いタイミングで二人がやってきましたので一緒に食べることにします。

食事中は他愛もない話をしながら楽しく過ごしましたが、

ふとした瞬間に彼女が寂しそうな表情を浮かべていることに気づきました。

どうしたのかと尋ねると彼女は俯きながら答えてくれます。

「あのね、きょうはいっしょにねてもいい?」

と聞かれました。

もちろん断る理由などありませんので、快く承諾してあげました。

そうすると彼女は嬉しそうに笑ってくれましたが、

その様子を見ていたエリーズが少し不満げな表情を浮かべていることに気づきます。

どうやら自分だけ仲間外れにされているように感じたようです。

そこで私は彼女にも一緒に寝ようと提案しました。

彼女も喜んで受け入れてくれたので、三人で仲良く眠ることにしました。

「おやすみ、エリーズ、アリスちゃん」

私が言うと、二人も笑顔で応えてくれました。

こうして私達の一日は終わりを迎えるのです。

「エリーズ、好きだよ、愛してる」

と囁きかけて彼女の額にそっと口付けます。

そうすると彼女はくすぐったそうにしながらも

幸せそうに微笑んでくれて、私も幸せな気分になります。

そう思いながら私は目を瞑りましたが、中々寝付くことができません。

やはりこの子のことが心配なのだと改めて実感しましたし、

今後のことなどについて色々と考え込んでしまいます。

しかし、いくら考えても答えは出ませんでしたし、今日は早めに寝ることにします。

「おやすみ、エリーズ……また明日ね……」

そう言い残して眠りにつくのですが、今夜は中々眠れずにいました。

そんな私の様子を見たアリスちゃんが心配そうに声を掛けて来ました。

「どうかしたんですか?」

と言うので素直に今の状況を伝えると、

彼女は驚いたように目を見開きつつも真剣に話を聞いてくれました。

そして最後にはこう言いました。

「大丈夫ですよ! きっといい方向に進むはずですから安心してくださいね!」

その言葉を聞いただけで元気が出てきましたし、不思議と安心できた気がします。

ですが今はただ、この幸せを噛み締めていたいと思い、このまま眠ることにしました。

「エリーズ、好きだよ、愛してる」

私のこの想いは変わることはありません。

いつまでもこの子を愛し続け、守っていきたいと思うのです。

だから今はただ、この時間を大切に過ごしましょう。

そして翌朝、目が覚めると隣にはまだ彼女が眠っていました。

その寝顔はとても可愛らしくて見ているだけで癒されます。

しかし、いつまでもこうしている場合ではありませんので彼女を優しく揺り起こしました。

そうすると彼女は眠たそうな目を擦りながら起き上がろうとしますが、

途中で力尽きてしまい再びベッドに倒れ込みます。

そんな様子に苦笑しながら私は彼女に声をかけます。

そうすると彼女は笑顔で応えてくれるのですがやはりまだ眠たいようです。

そこで私はある提案をすることにしました。

それは今日一日ずっと一緒に過ごすというものです。

最初は戸惑っていた彼女も次第に乗り気になり始めていましたので、

早速出かける準備を始めました。

まずは朝食を食べ終えてから公園に向かうことにしましたが、

道中で何度も転びそうになる彼女を支えつつ目的地へと到着しました。

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妖精の国フェリーア 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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