第20話 kissの味

このように、私は毎日というわけではありませんが、

時間を見つけては彼女と愛し合う日々を送り続けており、段々と深く濃厚なものになってきています。

「キスしてよ」

「んっ……ちゅっ、れろっ。ぷはっ」

と、エリーズが唇を重ねてきてくれた時のことです。

いきなり舌を入れられてきてびっくりしましたが、私はそれを受け入れて絡ませていったのです。

お互いの唾液を交換し合い、口内までも舐め尽くされ、歯も一本一本丁寧に舌で刺激されてゆき、

その全てが心地良かったです。

それからしばらくの間キスを堪能してからようやく解放されました。

「キスしてくれて、ありがとう、エリーズ」

「こちらこそ、とっても気持ちよかったよ」

私は精一杯の愛情を込めて伝えたつもりです。

それが伝わったのか、彼女は嬉しそうな笑みを浮かべてくれました。

それがとても可愛らしく見えたものですから、思わず抱きしめてしまいました。

そして今度は私の方からキスをしてあげました。

そうすると、彼女も嬉しそうに応えてくれたのです。

そのまましばらくの間イチャイチャしていて、どちらも動けなくなっちゃってましたけど、

それもまた幸せを感じられて嬉しかったです。

その日以来、私達は毎日欠かさずキスするようになりましたが、

いつしかそれが日課になっていました。

朝起きると共におはようの挨拶と共に軽くキスをし、

寝る前にはおやすみのキスを始めとして至る所でキスをするようになりました。

私自身、彼女との関係が深くなればなるほどどんどん歯止めがきかなくなっていき、

ある時は凄く愛し合う行為もするようになってしまったんです。

そんなある日、私とエリーズは街へ来ているのです。

「ねぇ、どこ行く?」

「とりあえず、どっか、ゆっくりできるお店入って休憩しよ、エリーズ」

私たちが2人で楽しくお喋りしていると、1人の女性が視界に入ったんです。

すると彼女はある言葉を口にしたのです。

その内容というのがとても衝撃的なものだったのを覚えています。

一瞬意味が分からず戸惑いましたが、すぐに理解できました。

つまり、彼女は私達の関係を指して言ってきた訳です。

その事にショックを受けつつも、冷静を装って否定をしようとしたのですが、

上手くいかず相手に見られてることに動揺を隠せませんでした。

だからと言って逃げてしまっては問題解決にならないと考え、必死で隠し通すことにしました。

ですが、そんな努力も虚しく一瞬でバレてしまいました。

その後も街中で度々そんな出来事がありながらも楽しんで過ごしていた私たちは、夜まで遊ぶことにしたんです。

「エリーズ、あれ買ってあげるよ」

「まじ!?  やったぁ」

私は彼女の笑顔を見てとても心が癒やされました。

だって、大好きな人と過ごせる幸せは何者にも代え難いですから。

そうして楽しんでいると、突然彼女がある提案をしてくれました。

「ねぇ、一緒にサーカス行かない?」

突然の事だったので少し驚きましたが、彼女が行きたいというのならばと思い、同意しました。

その後、私たちは早速向かう事にしました。

観客席から見るサーカスは、やはり迫力があって凄いものでした。

しかしながら、それ以上に魅了されたのは、演者たちが魔法の技を見せるときでした。

空中を舞う火の輪であったり、怪物の口から飛び出す火の玉だったり、

多くの人達がその仕掛けに魅せられたことだと思います。

その中でも一番感動したのが、大きなボールを操るピエロのショーでした。

彼は身軽な動きと見事なパフォーマンスを披露してくれました。

それを見て私たちは何度も拍手を送っていました。

そんな楽しい時間もあっという間に終わりを迎え、帰路に着いた時のことです。

既に暗くなっていましたが、まだ名残惜しくてお話をするつもりで近くの公園に立ち寄りました。

ベンチに座って二人で話し合っているうちに段々と寂しさが募ってきた為、

最後にキスをしようと私から申し出たのです。

そうすると彼女も嬉しそうな表情を浮かべてくれ、私を受け入れてくれました。

最初は軽く触れ合うだけのキスでしたが、それでは物足りなくなっていた私は、

すぐに深いものへと変えていきます。

しばらくそうしているうちに彼女も興奮し始め、舌を入れてきてくれましたので、

更にヒートアップしていきました。

そのまま延々と続けていたかったのですが、流石に周りの人たちが気になってきましたのでやめました。

「じゃあ、また明日ね」

彼女を抱き締めてそう言って立ち去ろうとすると、 背後から呼び止められたのですが、

突然私を後ろから抱きしめてきたのです。

それがいきなりだったものだから私は驚いてしまい、身動きが取れなくなってしまいました。

しかし、それと同時に新たな嬉しさも生まれたのを実感しました。

だって大好きな人とこうして抱き合っていられるんですから最高の気分です。

その後しばらくの間抱きしめ続けられた私は、しばらくして落ち着きを取り戻すと彼女にそっと尋ねてみたんです。

そうすると、思いも寄らぬことを言ってきたので戸惑いを隠せませんでしたが、

それでも、彼女は本気だということだけは感じ取ることが出来たので素直に受け入れました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る