第19話 私は貴女が好き

「ねぇ、エリーズは私の事好き?」

私がそう言うと、彼女は一瞬だけ驚いた顔を見せましたが、すぐに微笑んでくれました。

そして私の頭を撫でながら答えてくれます。

その瞬間、胸の奥が温かくなるような感覚に陥り、

安心感を覚えることができましたのですけれども、それも束の間の出来事でしかなく、

すぐに絶望感に打ちひしがれてしまうことになりました。

なぜなら、彼女が言った一言によって目の前が真っ暗になった気がしたからです。

それを聞いた途端、目の前が涙で滲み始め、嗚咽を漏らしながらも必死になって

堪えようとするものの上手くいきませんでした。

そんな中、必死に絞り出した声で問いかけたところ、彼女からの返答は予想通りのものでしたが、

今の私にとってはとても残酷な仕打ちのように思えてなりません。

どうしてそんなこと言うのだろうと思いながら俯いていると、

ふいに抱き寄せられてしまい身動きが取れなくなってしまいました。

それによって余計に辛くなり、思わず泣いてしまったことで、

余計に困らせてしまったかもしれないと思うとさらに涙が溢れてくる始末でした。

しかし、そんな彼女の言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になりました。

まるで世界が静止してしまったかのように何も聞こえなくなり、

ただ呆然と立ち尽くすことしかできなくなってしまったのです。

やがて落ち着きを取り戻した後で恐る恐る尋ね返してみると意外な答えが返ってきました。

その言葉を聞いた途端、胸の鼓動が激しく脈打ち始めたのを感じました。

それに加え、嬉しさのあまり飛び跳ねそうになったほどです。

何故なら、彼女の言葉は私の望んでいたものと全く同じだったからなのです。

つまり、私と同じことを彼女も思っていてくれたということになります。

そう思った途端、嬉しさが込み上げてきて、顔が緩んでいくのを抑えることが出来なくなっていました。

その後もしばらくの間二人で抱きしめ合っていたと思います。

ですが、それだけでは満足できなかったのでしょう。

気づけば自分からキスをしていました。

初めは軽いものから始まり、次第に深いものに変わっていきます。

互いの舌を絡め合い唾液を交換しあうような激しい口づけを交わし続けていましたが、

それでも足りないとばかりに何度も求め続けました。

しばらくして息苦しくなって口を離す頃には、完全に息が上がってしまっていて、

酸素不足も相まって頭がクラクラしてきます。

けれど、それ以上に幸福感に包まれていたために気分は非常に高揚していました。

そのためか、身体の奥底から湧き出してくる衝動を抑えきれなくなっていた私は、彼女をベッドに押し倒していました。

「ちょ、ちょっと待ってください! まだ心の準備ができてないです!」

と言いながら抵抗しようとするエリーズに対し、私が取った行動はと言うと─────。

2時間ほど経って我に返った私は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしていました。

幸い、部屋には誰もいませんでしたので誰かに目撃されることは免れたようですが、

もし見られていたらと考えると顔から火が出る思いでした。

だって、いきなり襲い掛かっちゃったわけですから当然といえば当然です。

でも後悔は全くありませんでした。

むしろ、達成感さえ覚えるほどです。

それだけ、エリーズのことが好きだったということです。

とはいえ、冷静になって考えてみるとかなり大胆なことをしてしまった自覚はあるわけで、

今後は気をつけなければならないと思っています。

「ご、ごめんなさい、突然こんなことしてしまって」

と、私は慌てて謝罪の言葉を口にしたのですが、

それに対して彼女は優しい微笑みを浮かべながら首を横に振ってくれたのです。

それを見てホッとした反面、申し訳なく思う気持ちもあって複雑な心境ではありましたが、

とりあえず一件落着ということで良しとすることにしました。

それからしばらく沈黙が続いた後、どちらからともなく唇を重ね合わせていきました。

エリーズもそれに応えてくれて、何度も何度も繰り返しました。

その内に、段々と気分が高まってきて我慢できなくなった私は彼女を抱き締めると、

そのままベッドへ倒れ込んでしまいました。

その後、私たちはお互いの身体を求め合うように激しく絡み合っていったのです。

行為が終わった後、疲れ切って動けなくなってしまった私を優しく抱きしめてくれるエリーズが愛おしかったです。

だから私も彼女の背中に手を回してギュッと力を込めて抱きしめ返したんです。

そうしたら、もっと強く抱きしめられてしまいました。

ちょっと苦しかったですけど嬉しかったですし、何より幸せだと感じました。

その後は、一緒にお風呂に入ったり食事をしたりしながら楽しい時間を過ごして、

気がついたら眠ってしまっていたようです。

目が覚めると目の前には大好きな人の寝顔があって、すごく幸せな気分になりました。

それから数日後、今度は私からエリーズを求めてみました。

そうすると、快く受け入れてくれたので遠慮なくやらせてもらうことにしたのです。

最初はぎこちない感じでしたが、回数を重ねるごとに少しずつ慣れていって最終的には普通に出来るようになっていました。

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