第17話 勇気を振り絞って

「おはよう、侑那!」

その元気な声を聞くだけで幸せになります。

それからというもの、彼女が起こしに来てくれるようになりました。

その時間はとても楽しいもので、早起きが苦手だった私の生活にも変化が起き始めていました。

エリーズと共に過ごせる時間が何よりも大切なものに感じられました。

(でも、本当にこれでいいのだろうか)

心の中で葛藤が生まれていました。

このままでは良くないとわかっているもののどうすれば良いのか分からず悩んでいましたが、

ある日、私は覚悟を決めて行動に移すことにしました。

「エリーズ、話があるんだけど良いかしら」

そうすると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべていましたが、

少しだけ困惑しているように見えました。

(私が何を話そうとしているのか分かっているのかもしれない)

そんなことを考えながらも思い切って全てを打ち明けることにしました。

自分が抱えている悩みや不安を全てぶつけることで、

彼女に対する想いを理解してもらえると信じて……。

しかし、その結果は予想外のものでした。

彼女は驚いた様子を見せた後、笑みを浮かべてこう言いました。

「うん、知ってるよ!」

そう言うと、彼女の方から私の手を取ってくれました。

その瞬間、嬉しさのあまり泣きそうになってしまいましたが、なんとか堪えることに成功しました。

(ありがとう、エリーズ!)

彼女が私に味方してくれたことが何よりも嬉しかったのです。

その後、私達の関係はより一層深まり、より一層絆が強まったような気がしたのです。

それが何よりも幸せであり、励みにもなるということが分かりましたので、

これからどんなことがあっても、この幸せを守り続けようと心に誓ったのです。

そして、私達は幸せな毎日を過ごしていました。

しかし、そんなある日のこと、突然事件が起きました。

私がエリーズを連れて公園に出かけることになったのです。

一緒にお弁当を食べたり、遊具で遊んだりしているとあっという間に時間が過ぎてしまい、

帰る時間になったのですが、まだ遊び足りなかった私たちは寄り道をしながら帰っていました。

その時に立ち寄った路地裏で何者かに襲われたのです。

油断していたとはいえ、私は抵抗できずに連れて行かれてしまいました。

そこへ助けに来てくれたのがエリーズでした。

彼女は凄まじい強さを見せながらも私に危害を加えるようなことは一切せず、男どもを追い払いつつ私を助けてくれました。

その際、彼女が必死になって叫んでいる姿を見て、胸が締め付けられるような思いになりました。

怖かったことや痛かったことよりも何よりも彼女の怒りを感じてしまいました。

それが嬉しかったのです。

彼女に頼るばかりではなく、私も彼女のことを守らなければならないと強く思ったのです。

それからというもの、エリーズと共に行動することが多くなりました。

彼女を守ることが使命だという気がしてならなかったのです。

それからというもの、私とエリーズは今まで以上に強い絆で結ばれていきました。

今では何でも話せる関係になり、お互いに隠し事はない状態です。

もちろん、このことは家族にも伝えておらず、秘密にしているつもりではありますが、

いつバレるのか気が気ではありません。

特に母親が不安げな顔をして見つめることがあるので、その度にドキドキしてしまいます。

しかし、私は必死に演技をし、誤魔化しています。

今のところ不審がられずに済んでいるのもエリーズがいてくれたおかげだと思っています。

なぜなら、彼女は私を助けてくれました。

彼女の力強さ、優しさ、そして勇気に対する憧れのような感情を抱くようになり、

それに答えるかのように成長していく自分を認めることが出来たことが嬉しいのです。

今はまだ彼女には勝てないと思いますけど、必ず追いついてみせるという目標ができました。

そして、彼女という存在がいなくならないように、彼女に私を見守っていてもらいたいという気持ちが強くあります。

もし私が一人前になるまで彼女が支えてくれるなら、私も全力で応えたいと思いますし、

最後まで添い遂げようと思っています。

そのためにはどんな努力だって惜しまない覚悟を持っています。

それが今の正直な気持ちです。

この気持ちは嘘偽りのないものであり、自分に素直に従うことができた結果なのです。

それだけではありません。

新たな感情が芽生え、私の心を満たしてくれるようになったのです。

これこそが私の成長であり、最も大切にすべきものだと確信しているからです。

これからもっと変わっていくかもしれない未来の姿に想いを

馳せながら今を生きている私はとても幸せだと思いますし、心から感謝しています。

この人生を諦めることなく取り組んでいこうと思っています。

今一度気合いを入れ直し、前に進み続けたいと思います。

「ずっと一緒にいたいね、エリーズ」

私はそう言って彼女を抱き寄せると、優しく抱きしめてくれました。

それだけで心が安らいでくるのです。

彼女は私の宝物です。

誰にも渡すつもりはありませんし、もし離れるようなことがあればきっと後悔してしまうでしょう。

だから私は自分の全てをかけてでも彼女を守り続けるつもりでいます。

エリーズと共に過ごす未来はどんなことがあっても輝きに満ちていることでしょう。

そんな未来を想像してニヤけてしまっている私に対して彼女が笑い掛けてくると、

一気に現実へと引き戻される気がしてきますが、それはそれで心地よい刺激となって

心身の緊張を解きほぐしてくれるような感覚が得られるのでした。

ですから、嫌な思いは何一つありませんし、むしろ喜びに包まれているような気がしていました。

しかし、このままではいけないと感じた私は勇気を振り絞って行動に移すことにしたのです。

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