第14話 ここで暮す私

いきなり後ろから押された私は、転んでしまいました。

見上げると、そこには三人の子供が立っていて、

にやにや笑いながら私を見下ろしていたのです。

よく見ると、三人とも男の子のようでした。

どうしてこんな事をするのだろうと思っていると、そのうちの一人が話しかけてきました。

「お前みたいなやつはここにいちゃいけないんだよ!」

と言いながら蹴りつけてくるので、私は痛みに耐えながら立ち上がると、逃げるように走り出しました。

そうすると、残りの二人も追いかけてきたので、必死で逃げ回りました。

しかし、あっという間に追いつかれてしまい、囲まれてしまいました。

もう逃げられないと思い覚悟を決めた時でした。

そこへ、救世主が現れたのです。

その方は、子供達の腕を掴むと私から引き離し、叱りつけました。

叱られた子供達は、泣き出してしまっていましたが、しばらくすると大人しくなりました。

その様子を見届けた後、私の方を向くと優しい笑顔を浮かべながら頭を撫でてくれたのです。

「大丈夫だったかい?」

と声を掛けられたので、私は頷くと、その人は安心したように笑ってくれました。

「良かった」

そう呟くと、今度は子供達の方に向き直り、言い聞かせるように話を始めました。

その内容は、私に対する謝罪の言葉や今後このような事が起こらないように

するための注意事項などが含まれていました。

そして最後に、もう一度私に謝るよう促しました。

そうすると、三人揃って頭を下げてくれましたので、私もそれに応えて頭を下げました。

その後、私達は仲良く遊ぶことができました。

その日の夜のことです。

私は眠れずにいましたが、そこへ一人の女の子がやってきました。

彼女はリナという名前の子で、年齢は私と同じ位だと思います。

彼女は私の隣に腰掛けると話しかけてきました。

「ねえ、あなたってどこから来たの?」

と聞かれましたが、私には答えることができません。

なので黙って俯いていると、彼女が続けて言いました。

「もしよかったら教えてくれないかな? あなたのこともっと知りたいんだ!」

「私は、どこから来たんだろう? 何も覚えていないんです」

と答えました。

そうすると、彼女は驚いた表情を浮かべましたが、すぐに笑顔に戻り、こう言いました。

「じゃあさ、私達と一緒にここで暮らさない?」

私は、その提案に驚きつつも喜んで受け入れました。

それからというもの、毎日がとても楽しくなりました。

リナや他の子供達とも仲良くなり、一緒に遊ぶようになったのです。

そんなある日のこと、私が一人で遊んでいると突然後ろから抱きつかれてしまいました。

驚いて振り向くとそこにいたのはリナでした。

彼女は微笑みながら私に尋ねてきました。

「ねえ、あなたは好きな人とかいないの?」

と聞かれましたが、私には答えることができませんので黙って俯いていると彼女が続けて言いました。

「ねぇ、あなたって妖精エリーズって知ってる?」

「知っているけど、どんな妖精かは思い出せないの」

「そっか、じゃあ私が教えてあげるね。妖精エリーズは、花や木々に宿っていると言われているの」

「へぇー、そうなんだね」

私は興味津々で聞き入っていました。

そうすると、彼女は更に続けて言いました。

「そして、その妖精には特別な力があるんだよ!」

と嬉しそうに話す彼女を見ていると、私もなんだか嬉しくなってきました。

「その能力って何なの?」

私は興味本位で尋ねてみたのですが、彼女はその問いに答えずに、

私の手を握ったまま走っていくので、私も一緒に着いて行きました。

そうすると、辿り着いた先は近くの公園でした。

そこには沢山の妖精さんが集まっていて、私達を見るなり歓迎してくれているように感じました。

私は、彼女達の前で自己紹介をしたのですが、驚くことに彼女も自己紹介をしてくれたのです。

その後、彼女と話をするうちに、少しずつですが打ち解けていくことができて、

とても幸せな気分になりました。

それからというもの、私達は毎日一緒に過ごすようになりました。

そして、ある日のこと、彼女が真剣な表情で私に尋ねてきたのです。

「あなたにプレゼントがあるんだけど受け取ってくれるかな?」

と聞かれましたので、私は喜んで受け取ることにしました。

その後、早速中身を開けてみると、なんと、そこには首飾りが入っていました。

その首飾りは、綺麗に輝いていて、とても美しいものでした。

そして、これが付いている間は、悪いことが起こらないと言われましたので、

早速付けてみることにしました。

そうすると、不思議と気持ちが落ち着いていきましたので、とても安心しました。

その夜、私は早く寝ることにして布団に入りました。

次の日の朝、私は目覚めましたが、昨日とは違って体調は悪くありませんでした。

むしろ、とても調子が良い気がします。

そして、一緒に遊ぶ中で、妖精たちはいつでも私を助けてくれたので、

感謝の気持ちでいっぱいになりました。

そんな日々を過ごしていると、ある事が起こりました。

それは、妖精達に慕われている私に対して嫉妬する友達が現れたのです。

彼女は、リナのことをいじめるようになります。

私も一緒にリナを助けたのですが、どうしても止めることはできませんでした。

そんな日が続き、とうとう我慢できなくなったのか、私の目から涙が流れ始めました。

それを見ていたリナが私にこう言ったのです。

「大丈夫、私を信じて! 私が絶対に守ってあげるから」

と言ってくれました。

私は感動して泣いてしまいました。

それを見たリナは優しく微笑んでくれたのです。

それからというもの、私はより一層、リナに寄り添っていくことにしたのです。

しかし、その時から妖精の姿は一切見ることができなくなってしまいました。

代わりに男性の姿が見えるようになりました。

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