第13話 孤児院

その後も何度か蹴られましたが、それでも諦めずに暴れ続けていると、

ついに諦めてくれました。

私は兵士に引きずられながら連行されました。

それから、牢屋に入れられてしまいましたが、幸いにも食事は

出してくれたので飢え死にすることはなさそうです。

しかし、これからどうなるのか不安で仕方ありませんでした。

このままずっと閉じ込められたままなのかと思うと気が重くなりました。

そんな時でした。

突然扉が開き誰かが入ってきたのです。

その人物とはなんと王子様だったのです。

彼は私の前に来ると、頭を下げて謝罪の言葉を口にしました。

そして、こう言いました。

「これからは私が貴方の面倒を見ることにします」

最初は驚きましたが、彼の真剣な眼差しを見て本気だと悟りました。

なので私も素直に受け入れることにしました。

こうして私達は一緒に暮らすことになったのですが、最初のうちはお互い距離を置いていました。

しかし、時間が経つにつれて少しずつ打ち解けていきました。

そんなある日のこと、王子様が私にこう言ってきたのです。

「君の本当の名前を教えてくれないか?」

私は一瞬、戸惑いましたが正直に答えることにしました。

「はい、私の名前は皐月侑那と言います」

そうすると、彼は嬉しそうに微笑んでくれました。

その笑顔を見た時、私は胸がキュンとなるのを感じました。

それからというもの、私達は急速に仲良くなっていきました。

そして、ある日のこと、王子様が私にこう言ってきたのです。

「君の事をもっと知りたいんだ」

そう言って私の手を握りしめてきたのです。

その瞬間、私の顔は真っ赤になってしまいました。

でも、嫌ではありませんでしたしむしろ嬉しかったです。

その後、私達は一緒に遊ぶようになりました。

二人で色々な遊びを楽しんだりしているうちに、

いつの間にかお互いのことを信頼するようになっていました。

そんなある日の事でした。

いつものように遊んでいると突然彼が抱きついてきたのです。

突然のことに驚いて固まっていると耳元で囁かれたのです。

「好きだよ」

その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になってしまいました。

「私も好きだよ」

と私は答えるのが精一杯でした。

そして、その後私達は更に仲良くなっていきました。

ある日の事でした。

その日は、いつもより早く目覚めたので散歩をすることにしたのです。

でも、途中で道に迷ってしまい迷子になってしまいました。

不安になりつつも歩き続けていると、どこからか人の声が聞こえてきました。

私は必死になって声の方へ歩いて行き、やっとの事でたどり着きました。

そこには大きな屋敷が建っていたのですが、窓から中を覗いてみると沢山の子供たちがいるではありませんか!

しかも皆楽しそうで幸せそうです。

(ここは何処だろう?)

そう思って周りを見渡すといつの間にか知らない場所に来ていました。

どうやら無意識に足を進めてここまで来たようです。

それにしても本当にここはどこなのでしょうか?

そんなことを考えているうちに段々と眠くなってきちゃったみたいです。

目が覚めるとそこはベッドの上でした。

起き上がって周りを見ると見知らぬ風景が広がります。

あれ、私はどうしてこんな所にいるんだろうと思いながら、

ぼーっとしていると、ふと自分の姿が目に入りました。

そこで私は驚愕したのでした。

なんと、素肌になっていたのです。

そして、隣には同じく素肌の女の子が眠っています。

その子は、とても可愛くて、思わず見惚れてしまいそうになりました。

ですが、今はそれどころではありません。

何とかしなければと思った私は、彼女に声を掛けました。

しかし、何度声を掛けても起きる気配はありません。

それどころか、逆に抱きつかれてしまったのです。

どうすればいいのか分からず困っていると、

不意にドアが開く音が聞こえてきました。

慌てて振り向くと、そこに立っていたのは一人の女性でした。

彼女は、私と女の子を交互に見ると、にっこりと微笑みました。

私は恥ずかしくなって、思わず顔を逸らしてしまいました。

そうすると、女性は微笑みながら近寄ってきて、私に毛布を掛けてくれたのです。

そうして、一言だけ言い残して部屋を出て行ってしまいました。

去り際に、彼女が言った言葉を思い出し、私は顔が熱くなるのを感じました。

暫くの間、部屋で待っていると、再び女性が入ってきて、

私に服を手渡してくれました。

お礼を言って受け取ると、すぐに着替えを始めました。

そして、着替えている間に、私は、この場所について教えてもらいました。

ここは孤児院で、私は、この子達と一緒に暮らすことになりました。

名前は、リナというらしいです。

私は、今日からここで暮らしていくことになります。

そう思うとなんだかわくわくしてきました。

早速、他の子達と会ってみることにしたのですが、

その時、また新たな問題が発生しました。

それは、私の記憶が無いことです。

なので、自分が何者なのか分かりませんでした。

そのことを話すと、院長先生は悲しそうな表情を浮かべていましたが、

私を励ましてくれました。

その日以来、私の生活が始まりました。

最初は戸惑うこともありましたが、今ではすっかり慣れて楽しく過ごしています。

それに、この生活はとても楽しいものですし、

何よりもみんなと一緒というのが良いです。

だから、毎日幸せに暮らせています。

そんな日々を送る中で、ある出来事が起こります。

それは、みんなで遊んでいた時に起きたのです。

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