第5話 皐月侑那⑤

そして、妖精達に何か指示を出しているようですが、その声は全く聞こえてきません。

しかし、何故か聞こえてくるような気がしますから不思議です。

どうやら妖精達は、その声に従うしかありませんから、言われた通りに動き出します。

一体どんな指示が出たのでしょう。

その内容を聞いていきましょうか。

まずは、一番近くにいた妖精さんから聞いてみましょう。

どうやら、これから行う作業について説明してくれているようですが、

残念ながら聞き取れませんでした。

一体どのような作業をするつもりなのでしょうか?

早速見に行ってみましょう。

そうすると、そこは厨房のようで、何やら料理を作っている最中のようです。

なるほど、この料理を侑那に食べさせるつもりなのでしょう。

一体どんな味がするのでしょうか?

早速一口食べてみることにしましょう。

そうすると、口の中でとろけるような味わいが広がっていきます。

それは、まさに極上の一品でした。

そんな侑那の様子を、妖精達は嬉しそうに見つめているのです。

どうやら、これで元気になったと思っているようですから、その勘違いをそのまま利用させてもらいましょう。

そんな訳で、侑那は、元気に過ごすことができましたから、これからもずっと幸せに暮らしていけることでしょう。

そして、妖精国にも新しい仲間が増えましたから、 ますます賑やかになりそうです。

「ねぇ、エリーズ、私達も行こうよ!」

「そうだね! じゃあ、行こっか」

二人は手を繋ぐと仲良く部屋を出ていくのでした。

そうすると、丁度玄関前に辿り着きます。

玄関のドアが開き、一人の女性が入って来たのです。

すると、それを見た二人が慌てて駆け寄り、挨拶を交わします。

女性は二人に挨拶をすると、今度は奥の部屋にいるもう一人の女性に声を掛けているようです。

その様子を見守っていると、女性は、そのまま部屋を出て行き、どこかへ行ってしまうのでした。

その様子を見ていた二人は、互いに顔を見合わせて首を傾げます。

一体どういう事なのかと考えていると、ふと、思い出したかのように声を上げるのでした。

「あ! そういえば、さっき話してた人は、奥さんだよ!」

「え? そうなの?」

驚いた表情で聞き返す侑那に対して、エリーズは頷きながら答えてくれるのでした。

どうやら、先程の女性は、侑那達の母親のようだという事が判明しましたが、

それにしても何故ここにやって来たのでしょうか?

侑那達は疑問を抱きつつも、母親に会いに行く事にしました。

部屋へ入ると、母親が椅子に腰掛けています。

しかし、何故か元気がない様子です。

気になって声を掛けてみますが、何も話してくれません。

そんな様子を見ていると、段々と不安になってきました。

もしかしたら、何かあったのかもしれないと思うと、居ても立ってもいられなくなり、母親に抱き着きます。

母親は驚きつつも、優しく頭を撫でてくれるのでした。

それから暫くして、ようやく落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりと話し始めます。

どうやら、最近体調が優れないらしく、医者に診てもらったところ、重い病気が発覚したそうです。

しかも、その病気は治らないと言われてしまったようです。

それを聞いた侑那達は心配になりますが、妖精女王様なら何とかしてくれるかもしれないと思ったので、

相談してみることにしました。

早速妖精女王様にお願いをすると、すぐに承諾してくれたので安心しました。

ただ、一つだけ条件があるようでした。

それは、妖精達全員で協力し合って薬を作る事が必要だという事です。

その為には時間が必要になりますから、しばらく待つように言われましたけど、それでも構わないと答えました。

「私達、頑張るね!」

「ありがとう、助かるわ」

妖精女王様は嬉しそうに微笑むと、早速準備に取り掛かりました。

まず最初に取り掛かったのは、薬の材料集めです。

妖精達がそれぞれ分担して集める事になりましたが、

どの材料を集めればいいのか分かりませんから、まずは情報を集める事にしました。

そうすると、一人の妖精が手を挙げながら話し掛けてきました。

どうやら何か知っているようですので聞いてみましょうか。

その情報によると、必要な材料は三つあり、一つ目は【ユニコーンの角】で

二つ目は【ドラゴンの血】そして三つ目が【フェニックスの涙】だそうです。

この三つの素材を集めるように言われたのですが、どこにあるのでしょうか。

とりあえず近くにある森へ行く事にしましたが、一体どこにあるのでしょうか。

「ねぇ、侑那ちゃん、ユニコーンの角ってどこにあるか知ってる?」

「うーん、分からないけど、とりあえず行ってみようよ」

二人は森の中へ入っていきましたが、なかなか見つかりません。

そうすると、突然目の前に現れたのは巨大なドラゴンでした。

どうやら怒っているようですから、逃げないと危険です。

しかし、何故か体が動きません。

どうしてでしょうか?

そんな時、妖精女王様がやってきてくれました。

そして、何やら呪文を唱え始めると、辺り一面光に包まれていきます。

その眩しさに思わず目を閉じましたが、次に目を開けた時にはもう何もありませんでした。

一体何が起こったのか分かりませんが、助かった事だけは確かのようです。

それからというもの、二人は様々な場所を巡りながら材料を集めていくのですが、

中々見つかりませんでした。

それでも諦めずに探し続ける二人ですが、ある日の事です。

「あれ? なんだろう?」

妖精さん達が何かを見つけました。

その方向に向かってみると、そこには何やら洞窟のような穴がありました。

「本当だ、何だろうね?」

エリーズは興味津々なのか、入りたそうにしていますが、危険かもしれないので、

そんな所に子供を一人で行かせるような事はできませんから、

ここは大人である私がしっかりと監督しなければいけません。

それに、そろそろ日が暮れる頃ですから、戻る時間を考えると、

ここでいつまでも悩んでいる訳にはいきません。

仕方がありませんから今日は諦めましょう。

(でも、絶対に見つけないと……)

侑那は必死になって材料を探し続けますが、一向に見つかりません。

どうすれば良いのか分からずに途方にくれていると、また一人の妖精さんが声を掛けてきました。

今度は何ですか? と尋ねると、何やらヒントを教えてくれるそうです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る