第4話 皐月侑那④
まずは、妖精の泉にお祈りをする事から始めました。
侑那は手を合わせてお祈りをしていると、本当に叶うのだろうかと不安になってきてしまいます。
本当に願いが叶うのか半信半疑になりながらも、 今度は、妖精の泉にお願いをしてみる事にするのです。
しかし、妖精の泉に願ったところで、一体どうなるのか想像すら出来ません。
侑那は、妖精の泉に、どうか願いが叶いますようにと願ってみました。
さて、肝心の効果はどうなのかと言うと、どうやら、妖精の泉に願いをした時に、
一瞬目の前が真っ暗になったかと思うと、直ぐに元の明るさに戻るので、不思議な気分になっています。
それでも、これで効果があったかどうか確かめたいと思い、もう一度願いを唱えてみますが、
何度唱えても効果がないので、少しガッカリしている様子です。
そこで、エリーズがやってきて、 何やら呪文を唱え始めると、急に辺りが暗くなりますから、
驚いた侑那はパニックに陥ってしまい、大泣きしながら騒いでしまうのでした。
どうやら、エリーズの魔法で周りを暗くしたようですが、それにしても、
何故こんな魔法を使ったのでしょうか?
もしかしたら、妖精の魔法とは、こういうものなのかもしれないです。
そんな魔法を使われてしまったら、普通だったら、驚いて泣いてしまいますが、
今回は、何故か全然泣かないどころか、笑っているのです。
きっと、今まで怖い思いをしてきた事が原因かもしれませんから、
今回こそは、泣かないようにしようと心に誓ったのでしょう。
でも、今回の呪文は少し難しかったらしく、エリーズの方が失敗してしまったようで、辺りに光が戻ります。
それで、無事に成功したと思ったのか、嬉しそうに笑う二人を見ていると、
こちらも思わず笑顔になってしまいますから、本当に不思議な力を持っている妖精なのです。
そんな妖精達が、向かった先は一体どこなのでしょうか?
それは、意外な場所だったようです。
そう、ここは、フェリーアで暮らしている妖精たちが住んでいる家だったのです。
そこには、妖精が沢山住んでいますから、きっと楽しい生活が待っているはずですから、
毎日楽しく暮らして欲しいです。
ちなみに、妖精達は皆同じ姿をしていますが、性別はあるようですから、
女性なのか、男性なのか気になるところですが、ここでは、敢えて伏せておきますが、
そのうち分かると思いますので、楽しみに待っていて下さい。
さあ、いよいよフェリーアでの生活も残すところ僅かとなりましたが、
このまま終わってしまうのも何だか寂しい感じがしますので、もう少し続けてみましょうか。
そんな事を考えていますと、妖精達に囲まれている侑那がいましたから、
どうやら、どうやら人気者になっているようです。
一体、どうしたらそんなにも人気になれるのか分かりませんが、
きっと、侑那の性格が優しいから、妖精達も侑那の事を気に入ってくれたのかもしれません。
「ねえ、侑那ちゃん」
誰かが話し掛けてきたので振り返ってみると、そこに立っていたのは、なんと妖精女王様ではありませんか!
(え? どうして?)
驚いている様子ですが、そんな侑那の事を気にせず話を続けていくようです。
「侑那ちゃんは、この世界をどう思う?」
(どう思うと言われても、ただ、困っていますとしか言えない)
そんな事を思っていると、妖精女王様は微笑みながら答えてくれます。
「でもね、私は、この世界が好きだわ」
(え?)
その言葉に驚いていると、妖精女王様が更に話を続けます。
「だって、色んな人や妖精達と出会えるでしょ」
「確かにそうだけど……」
妖精女王様の話を聞きながら返事をすると、
また、話を続けてきたのです。
「それにね、私はこの世界を守りたいのよ」
そう言って、突然歌い始めたのです。
そんな歌声を耳にした瞬間、周りの景色が変わっていきます。
それは、まるで幻術を見ているかのような光景でした。
目の前に広がる光景を見た途端、突然涙が溢れ出してきました。
何故なら、そこには、昔の光景が映し出されているからです。
その光景の中には、両親の姿がありました。
勿論、お父さんやお母さんだけでなく、お祖父さんやお祖母さんも一緒にいるのです。
しかも、その後ろには、祖父母の家まで見えてきますから、驚きを隠せません。
これは、きっと、妖精女王様が見せて下さった、 思い出の風景なのかもしれませんが、
私には、そんな出来事が起こった記憶はありません。
だから、余計に涙が出てしまうのです。
やがて、その風景が終わると、再び妖精女王様の声が聞こえました。
妖精女王様は、とても優しく微笑んでいます。
侑那は、その微笑みを見て、 涙が止まらなくなり、遂に泣き出してしまいましたのです。
そんな侑那の事を慰めようと、妖精女王様は、そっと頭を撫でてくれるのでした。
それから、暫く経って、ようやく落ち着いたのか、妖精女王様にお礼を言うと、
妖精女王様は、にっこりと笑ってくれるのでした。
そんな、二人の様子を見ていたのか、他の妖精達も集まってきて、
侑那の周りに集まってくると、皆で侑那に抱き着いてきたのです。
そんな状況に、侑那は、戸惑いながらも、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
そして、改めて思うのです。
(やっぱり、妖精の国に来て良かった)と……。
それから数日後の事です。
侑那は、今自分が何をしているのかさえ分からなくなってしまいました。
そんな侑那の姿を見た妖精達が、心配そうに声を掛けますが、反応がありません。
しかし、その時、妖精女王がやってきて、侑那の様子を見ると、すぐに異変に気がついたようです。
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