第2話 皐月侑那②

泣いている侑那は一人で寂しい思いをしているのですが

いつもなら父親と母親が慰めたりしてくれるのですけど、

今はいないのです。


「お父さんとお母さんに会いたいよ、会いたいよ~」

「どうしてこんな所にあたしはいるの? いつになったら

現実世界に帰れるのかな」

そんな侑那は泣きながら一人でとぼとぼと歩いているのです。


そんな侑那の前にさっきの可愛らしい妖精が来ると

「何だ、泣いているの?」

「泣いているよ、寂しいもんっ、ぐすんっ」

「私とお友達になる?」

「お友達……」

「どうかな?」

「なってもいいよ」

「私の名前はエリーズって言うのね、宜しくね」

「あたしの名前は侑那だよ」

「侑那って言うんだね、宜しくね」

侑那と妖精エリーズはお友達になるのです。


「ねえ、エリーズ、この妖精の国ってどんな所なの?」

「ん~、そうだね、まあ、子供にとっては良い国だけど、

あんまり長居しているとこの国から出れなくなるよ」

「そうなんだ」

「でも、さっきは戻れないって言ってたよね」

「それね、見つかると私もあぶなくなるから

本当の事が言えなかったの」

「そうなんだね」

「どうすればこの妖精の国から出れるの?」

「教えたいけど、今は我慢してね」

「う、うん」

とりあえず妖精の国フェリーアから出れるという情報を得た事で

侑那は安心しているとホッと胸を撫で下ろしているのですが

疲れたのか、その場で瞼を閉じて眠っているのでした。


「侑那? 侑那寝ているのね」

「どうしようかな、私一人じゃ運べないし、どうしよう」

「このままだと危険なヤツらに見つかると侑那は妖精の国から

出れなくなるし、本当にどうしよう」

妖精エリーズは本当に困っているようですから

一体どうするのでしょう。

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