妖精の国フェリーア
一ノ瀬 彩音
第1話 皐月侑那①
「お父さんとお母さん、あたしの前で喧嘩しないでっ!!」
「うわぁぁ~~ん」
「お前のせいで侑那が泣いただろ」
「何を言っているのよ、貴方が大声を出すからじゃない」
「もういい加減にしてよ、お父さんとお母さんなんて大嫌いっ!!」
侑那はリビングから飛び出して玄関に行くと玄関で靴を履いて
玄関ドアを開けて外へ出て行ってしまうのです。
「侑那……」
「侑那が……」
「お前が全部悪いんだよっ!!」
「どうして私のせいにするんですかっ!!」
「何故わからないんだ」
「貴方こそ、わかってないじゃない」
父親と母親のせいで侑那は何処かへ行ってしまったのですが、
侑那は何処へ行ってしまったのか?
皐月家では父親と母親、そして、娘との三人暮らしです。
三人で暮らしている場所は都内某所の一軒家なのですが、
父親は高給取りのサラリーマンで母親はパートで働いているのです。
父親のお名前は
娘のお名前が
侑那は家から飛び出しているのですから、
家出とも言うのでしょう。
「美紀、侑那はどうするんだよ」
「敏夫さん、どうしましょう」
「警察に連絡しますか?」
「いやっ、今はしなくていい」
「そうですか」
「まず侑那が行きそうな場所を探そうじゃないか」
「そうしましょう」
敏夫と美紀は家から出ると侑那の事を探しに行くのでした。
そして、肝心の侑那は駅前にいるのですが、
きっと一人では心細いでしょう。
「お父さんとお母さんの馬鹿、どうして仲良く出来ないの、ぐすんっ」
「人が多くて怖いよ」
侑那は半べそをかきながら、一人で歩いているのですけど、
このままだと危ないし、どうにかしたい所ですけど、
侑那は一人で歩いているのです。
そんな侑那は駅前から離れると疲れているので近くには公園があるのですから、
休む為に公園へ向かって歩いているのです。
公園へ到着すると侑那は木製のベンチがあるので
ベンチに腰を下ろしてじっと座っているのです。
いつの間にか、侑那は泣き止んでいるのですが、
決して父親と母親の事は許していないのです。
「お父さんとお母さんが探しに来ても許さないからっ!!」
「それにしてもお腹が空いたな~」
侑那のお腹からグゥ~と鳴るとお腹が空いている証拠です。
時計台を見ると夕刻17時を過ぎているので
侑那はグゥ~とまた鳴るお腹を押さえると
「お腹空いたよぅ~~~」
っと涙を流すのです。
しかし、侑那は当然の事ながら、子供なので
お金がないのですけど、一体どうするのでしょう。
「お腹が空きすぎて眠くなってきた、ふわぁぁ~~」
欠伸している侑那はベンチで横になると瞼を閉じて
眠ってしまうのでした。
それからしばらくして侑那が目を覚ますと公園に居た筈なのに、
何故か見慣れない光景が見えているのです。
「ここは何処なの?」
「確か公園に居たよね……」
その時でした。
空から可愛らしい妖精が侑那の前に現れるのです。
「こんにちわ、妖精の国フェリーアへようこそ」
「妖精の国?」
「うん、妖精の国だよ」
「何で私が妖精の国にいるの?」
「それはね、君がね、お父さんとお母さんの事が大嫌いだからね」
「確かに大嫌いだけど、それはちゃんと仲直りしてくれれば」
「そうは言ってもね、大人は子供の事を何とも思ってないの」
「そうなの?」
「そうだよ」
「でも、あたしは……」
「深く考えないで、この妖精の国フェリーアに居れば、
君も幸せになれるから」
侑那はこの可愛らしい子が言っている事もわかるけど、
それでも現実世界に戻って父親と母親に会いたいです。
「どうすれば現実世界に戻れるの?」
「もう戻れないよ」
「ど、どうしてよ」
「現実世界には戻れません、諦めてね」
「嫌っ、嫌っ、お父さんとお母さんに会いたい」
「残念でした~、もう会えません~」
「ぐすんっ、うわぁぁぁ~~ん」
侑那は父親と母親に会えないとわかると泣き出してしまったのです。
「泣かないで、ここで幸せになろうよ」
「…………」
「まあいっか、どうせこの妖精の国から出れないしね」
可愛らしい妖精は侑那の事を置いてけぼりにして
何処かへと飛んで行ってしまうのでした。
「どうしよう、ここから出れないとお父さんとお母さんにも会えないし、
どうすればいいのかな、侑那にはわからないよ」
「妖精の国フェリーアって言ってたけど、周りにケーキや沢山のお菓子、
後はオレンジジュースなどもあるよ」
「食べ物や飲み物があっても現実世界に帰れないとお父さんとお母さんに
会えないよ、うわぁぁぁ~~ん」
とうとう侑那は泣き出してしまっていまして、
本当に侑那はどうなってしまうのでしょう。
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