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 川から少し入ったところにある神社。浅草からはさほど離れていないけれど、位置的には川の反対側になる。

 一月もこの時期になると、休日でも参拝者はなくひっそりとしていた。

「浅草から少し離れるとこんなに静かなんだね」

「すごい人だったよね」

「スカイツリーも無理っぽい感じだね」

「まあね」

「いい天気なのに」カスミが少し残念そうに言う。

「平日に来ればいいのかな」

「そんなに変わらないんじゃない。観光地だし」

「でもやっぱり違うと思う。今日は歩くのも大変だった」

「一度は上がってみたいよね」カスミは空を見上げながら言った。

「ねえどう思うお姉ちゃんの話」

 二人はお参りを済ませて、入ってきた鳥居のほうに歩きはじめた。

「カスミはどうなの」

「たしかに新しい曲もできてるし」

「ライブハウスで歌ったことはあるの」

「ない、ストリートだけ」

「思いつかなかった」

「そんなことないよ。誘われたこともあったし」

「そうなんだ」

 風もなく穏やかな日だった。

「あったかいね」ヒロの腕をつかみ、体を寄せながらカスミが言う。

 ヒロとカスミは橋を渡って地下鉄の駅に向かった。

「池袋か。なつかしいね」

「何であの時、ヒロ君はあそこを歩いてたの」

「それがね、はっきり思いだせないんだ」

「特に目的もなくて、人ゴミに紛れていたかっただけなのかもしれない」

 地下鉄から山手線へ。カスミが小走りになっている。

「そんなに急がなくても。時間には間に合うから」

「あの子たち、ちゃんとしてたかな」

「サキはともかく、ケンタはしっかりしてるから」

「そうだよね」

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