第53話2800いいね!
ここでNPBが最初に動いた。『人ログ』運営へ「これは『誹謗中傷』ではないか?選手も低評価を見ていい気はしない。本当のファンなら、そして野球ファンならそういうことは止めて欲しい。監督もコーチも選手も人である。そして誰もが一生懸命頑張っているが結果は全チーム平等になるはずはありません。いい時もあれば悪い時もあります。ご意見があるなら球場で直接言ってくだされば。各球団のホームページにもご意見を送信する窓口も設けています」と意見書を送った。そして『人ログ』運営はそれをそのまま自社ホームページに掲載した。ネットやSNSはさらに炎上した。
「ふざけるな!アマチュアと違ってお前らはプロやろが!球場で応援してもらって、ファンがチケットやグッズ、球場でいろいろお金を落としてお前らの給料が出てるんやろが!それで応援はしてください。批判は止めてください。だとおおおおおおおおおおおおおお?甘えんじゃねええええええええええ!ボケがあああああああ!」
そうなのである。『金銭が発生している』。そこが今回のジャッジとなったところ。『報酬を受け取っている』イコール『プロ』イコール『じゃあ評価してもいいだろ?ラーメン屋も同じで金を払ってラーメンを食わせるだろ?イコールプロだろ?それと同じだろ?どこが違うの?』となる。正論である。NPBの意見は即却下され、これまで以上に『人ログ』に評価を書き込む『熱心な野球ファン』たち。どんなに『過程』が素晴らしかろうがプロは『結果』がすべてである。プロ野球の『結果』とは試合に勝つことであり、ピッチャーなら相手チームの打者を抑えること、野手ならよく打ち、守備も無難にこなし、活躍してチームに勝利をもたらすこと。それでも好不調の波があるのが野球である。何年も三割以上の打率を残し、ホームランも三十本以上打とうが打たないと書きこまれる。
『今は好調時と比較してボール球に手を出し過ぎ。明らかにボールを追いかけている。開くのが早いから変化球に突っ込む』(1500いいね!)
『こいつのエラーで流れが変わったのは明らか。あのエラーがなかったら普通に勝てた試合。守備範囲が狭すぎる。その辺の高校生の方が上手いし守備範囲が広い』(2800いいね!)
こういった意見をファンはバンバンネットに書き込む。SNSで発信する。ちなみに『守備範囲』とはどれだけ打球に対して足を使って体を運べるかのことである。足をたいして使わずにダイビングキャッチを試みればそれっぽく見えるがそれでもどれだけ足を使って体を運べるか。そしてその足を運ぶためにいろんな要素が存在する。スタートであり、スピードであり、捕球姿勢である。野球とは試合時間と比べてボールが動いている時間は極端に短い。そして野球ファンの大半は試合をテレビやパソコンで見る。スマホで見る。テキストで見る。速報で見る。球場でもビール片手にSNS用に撮影用にとスマホ片手に。球場の雰囲気でボールが動いていない時はSNSをチェックしたり撮影をしたり「お姉ちゃん生ビールね」と言ったり。そして球場の雰囲気が、ボールが動くことを教えてくれる。その時に『だけ』多くのファンは注目する。
カキ―ン!
セカンドが飛びつくも打球はライトへゴロで抜けていくライト前ヒット!
「守備範囲が狭すぎる!この下手くそが!代われボケえ!」
正しい。そのセカンドを守る選手のお給料もファンが出しているのだから。
そしてたまーにスター選手がスキャンダルを暴露されるとさらに大変なこととなる。
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