第49話ばあああああああああああああか!正義は勝つ!
そして事態は好転することとなる。相手側の解体工事業者ベイタルの弁護士である服部から『泣き』のメールが夫人の長男のもとに届いた。
「塚原様
ご返信が遅くなりまして大変失礼しました。ベイタルとしては塀については解決済みとの認識でありました。そのため先のようなご回答となりました。ただお互いに納得ができないまま中途半端な状態で放置するわけにはまいりません。歩み寄って円満解決したい気持ちはこちらも同じです。そこで塚原様と金銭的折り合いがつくのであれば円満解決を目指したいと考えております。そこで不躾なお願いなのですが、塚原様の方ではどのぐらいの金額をイメージされていらっしゃるかご教示願いただけますでしょうか?問題となっている塀について解決済みとの立場に立っている関係でこちらから金額をご提示することは困難であることをご理解くださると幸いです。今回の件につきましてはベイタルにおいて、真摯に検討したいと思います。
何卒よろしくお願いします。
服部」
(おせえよ!!!ざまあああああ!バーカ!バーカ!このクソ弁護士が『泣き』を入れてきたぞ!ばあああああああああああああか!最初から『クソ馬鹿』と思ってたけどホントにバカだったねえ。正義は勝つ!いえーーーーーーーーい!許すわけねえじゃん。上乗せで取れるだけぶんどってやるぜ!俺は勝ったのだあ!弁護士に勝った!やるじゃーん!いえーーーーーーーーい!)
夫人の長男は心の中でそう思った。
「うん。ここからは『金銭』の交渉になるよ。素人がやるのは危険なことだね。ここは弁護士に依頼するのがベストだと思う。この件は弁護士同士で話し合って『示談』になる。法廷にまでいくことはない。ただ、いろいろと『証明』することは宿題として残ってるけどそれは比較的簡単に用意できると思う。弁護士に丸投げしないでしっかりと『問題解決』にむけてこちら側の弁護士先生に協力する姿勢を見せることも大事だと思う」
『司法に詳しい』夫人の長男の知人からのアドバイスに従う夫人の長男。その知人からの紹介で素晴らしい弁護士先生とも出会えた。着手金も安い。成功報酬も良心的な価格。
「塚原様としてはどれぐらいの金額を希望されますか?」
「はい。建物を建てた業者さんが出してくれた見積もりの金額でいいと思います。ただ…、言葉は悪くなりますが。こちらとしては『取れるだけ取って欲しい』になります」
「承知しました。それではこちらから話し合いに必要なものをいくつかご用意願います」
夫人の長男の話を聞いた後、わざわざ事務所のエレベーターの前まで見送りに来てくれ、エレベーターのドアが閉まるまで頭を下げてくれる弁護士先生。
(素晴らしい先生だなあ。これでこの件はもう解決するだろう。お母さんに報告だ。それにしても…)
夫人の長男はとても複雑な心境になった。公務員とはなんだろう。警察とはなんだろう。結局あいつらは何もしないじゃないか。誰も責任を取らないじゃないか。今回は『司法に詳しい』あいつがいたから泣き寝入りしなくてすんだけど…。この国の多くの人は、『泣き寝入り』している人は本当に多いんじゃないか?警察が動かないから防げたはずの犯罪や悲しいことも実際に起こっているのが現実じゃあないのか?
そして夫人の長男は『人ログ』に書き込むことを考えた。
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