第45話クソが!この税金泥棒のクソマッポが!

(おいおい。あの警察官どこに行ったの?)


 そう思っていると所轄の警察署が電話に出る。


「はい。〇〇警察署受付です」


「あ、すいません。先ほど110番通報をしたものですが。現場に来ていただいたお巡りさんからこちらへお電話するように言われまして。『生活安全係』に電話を取り次いでいただけますでしょうか?」


「少々お待ちください」


 そして流れる平和っぽいメロディー。


「お電話代わりました。どうされました?」


「いえ、先ほど110番通報をしたのですが。現場に来てくれたお巡りさんがすぐに『生活安全係』に電話をするようにとおっしゃってましたので」


「少々お待ちください」


 そしてまたまた平和っぽいメロディー。


「お電話代わりました」


 同じことをまた繰り返す夫人の長男。さすがに怒る。が、電話で感情的になっても仕方ないと分かっている。


「すいません。『生活安全係』に電話を繋いでください」


 すると『刑事課』の刑事が電話に出る。さすがに夫人の長男も言う。


「すいません。そちらに『生活安全係』って存在しないのですか?」


「いえ。それなら係のものに『アポ』を取ってきていただきたいのですが」


「え?『アポ』ですか?」


「ええ。それに平日の昼間でないと担当もいませんので。遅い時間や土日祝日は対応できかねますんで。いったん電話を切ってもらって『アポ』をとってもらえませんか?」


 さすがに呆れる夫人の長男。そして目の前から消えていた現場に来ていた警察官も戻ってくる。その警察官に電話でのやり取りを説明する。


「まったく。『本署』の連中は…」


 現場のお巡りさんでさえも呆れているのでやはり自分が呆れるのも間違っていないのであろうと察する夫人の長男。


「それで今回の件はどうなるんでしょうか?」


「ええ。こちらで上司に報告しておきます。必ず『生活安全係』に電話をしてください。『生活安全係』は『生活安全課』の中の部署の一つで、十五年前ぐらいにすべての警察署に設けられた部署ですので。地域でのトラブルなんかの解決を『お手伝い』する役割をしてますので。それじゃあ私は交番を空けて来てますんで。一人しかいないんですよ。急いで戻らないといけませんので。それじゃあ失礼します」


「あ…」


 110番通報をしてやってきた警察官がそのまま『事件』を解決もせずに『これで終わり』との見解を示し、帰っていく。


(クソが!この税金泥棒のクソマッポが!)


 夫人の長男もさすがに心の中でブチ切れる。暴言を吐く。そして相手側の弁護士に対し五千文字を超えるメールを送る夫人の長男。これも『司法に詳しい』知人から教わった知識で理論武装してのメールであった。それに対し相手側弁護士からの返答はこうだった。


『塚原様


 お忙しい中、ご丁寧なご連絡ありがとうございます。依頼者の意向を確認します。よろしければ塀の部分の修理の見積もりを開示いただけますでしょうか?よろしくお願いします。



 服部』


 夫人の長男は最初のメールにアパートを建てた業者が出した塀の修理の見積書をベイタルの営業北原が取りに来て原本はそちらにあると明記してあった。


(クソが!弁護士のくせにアホなのか?ログを読めばすぐに分かることだろうが!塀の見積書は向こうが原本を持っていると書いてあるだろうが!このクソ馬鹿弁護士が!)


 イライラする夫人の長男。イライラはさらに加速する。

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