第34話公務員を☆で評価だ!!

 日本には特別な職業が存在する。『公務員』である。その数は多い。しかししょせん『人』である。真面目に困っている人を何とかしてあげたいと一生懸命仕事をする人もいれば定時で安定した給与、賞与にあぐらをかき『てきとー』な仕事をしている人がいるのも事実。


 ある生まれて一歳ぐらいのちいさな、未来ある、今はか弱い小さな命の灯が消されるという悲しい事件が起こった。それは『虐待』と言う名の鬼畜の所業であった。近隣住民は何度も所轄の警察署に通報した。それでも警察官は動かなかった。警察官がしっかりと動いていれば。そんな悲劇は起こらなかった。それも『氷山の一角』。


「クソが!」


「警察なんかろくでもない」


「あいつらは何もせん」


 高齢者までもがそう言った。


 『人ログ』はとうとう公務員をも『星』で評価するようになった。


佐藤浩 年齢不詳 男性。☆1(1件)


(〇〇区役所の○○課の職員。おしゃべりばっかりしてこちらは延々と待たされること一時間。その挙句、『こちらは担当部署ではありませんので。受付に戻って聞いてください』と無責任かついい加減な仕事。こっちはアポまで取って足を運んでます。もっと真面目に仕事してください)


 この『公務員』を評価することは一気にブレイクした。なにしろ公務員の仕事ぶりに怒りを持っている国民は本当に多いから。『お役所仕事』との言葉があるぐらいだから。



 ある高齢者がいた。その高齢者は夫に先立たれてしまった夫人である。若い頃から二人でひたすら頑張って汗水垂らして、寝る魔も惜しんで働き続け。この夫婦は一代にして財を築き上げた。都内に一軒のアパートを建てた。四階建てで部屋数は十。一階から三階までは各フロア三部屋。そして最上階には自分たちが住んだ。子供たちはすでにそれぞれ独立し、社会に出て働いている。この夫婦は年金と家賃収入で生活していた。もちろん税金は月々ものすごい金額を今でも支払っている。ちなみに公務員の給料は税金から支給されるが公務員も税金を支払っている。額の大小はあるけれど。そして夫人を残し先だった夫。残された夫人は何とか子供たちに遺産を相続させようとお金を貯めていた。コツコツと。そのため五%の『管理費』まで切り詰めたのでアパートは基本的に自分で管理していた。夫人も先だった夫同様、かなりのやり手ではあったが今は八十歳を超える高齢者であった。今の時代についていけないところもあった。顧問契約している弁護士や税理士も『高額』な報酬で『適当』な仕事をした。なにせ『八十』を超える高齢者なのだから。弁護士も税理士も『人』である。


「あのばあさんは分かんないでしょ」


「仕事の電話?折り返すって言っといて。ほっとけばいいんだよ」


 そんな感じだった。そしてある日、夫人に大きな『悪意』が襲いかかる。

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