第18話嘘つき少女
飯田美恵子。十七歳。女子高生。彼女は家が貧しかった。昔からバトミントンが好きだった。でも中学まで続けていた部活も高校ではやらなかった。家計が苦しいから。部活をするにもお金がかかるから。お母さんは働きながら彼女に言った。
「子供がお金のことを心配するんじゃないの。行きたいなら大学だって行かせるし、本当は部活やりたいんでしょ?」
彼女は答える。
「えー、別に。飽きたから。それにバイトすればお金貰えるし。家に少しは入れてるけどほとんどは自分のお小遣いにしてるし。今どきの女子高生はお金大変なんだから。付き合いとかあるしね」
嘘である。彼女はアルバイトで得た賃金をすべて家に入れていた。金額にして月に六万ほどである。
「少しってあんた。月に六万て何をしてるの?まさかいかがわしいところで働いてるんと違うんやろな?」
「違うからー。もっと娘を信用してよー。もおー」
彼女は時給900円のファミレスで働いている。ちなみに学校ではアルバイトを禁止されている。彼女は本心ではバトミントンを続けたかった。でも父親を早くに亡くし、弟や妹の面倒も見なければいけない立場でもあった。
「私は飽きっぽいしー。学校も楽しんでるから。それに勉強は嫌いだからね。大学には行きたくないっていうか、いけるところないもん」
嘘である。彼女は勉強もしたかったし、大学にも行きたい。でも笑って嘘をつく。
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