第17話『はどそんさん!はどそんさん!』

 コタツから出ていつものように四つん這いの姿勢でカセットにふーふーする姉上殿。しかし、いつの間にかロングスカートに。


「あのお、姉上殿」


「はい?なんですか?ご主人様」


「いや、スカートが何故か長いような気がしますが」


「やっぱり見てたんじゃないですか。ご主人様。書き込みますよ」


「いや、そういう意味じゃないですよ。ただ、ちらっと目に入ったので。聞いてみただけです」


「そうなんですか?ご主人様」


「そうですよ。僕はそんな、ねえ」


「それより、あと七分ですよ。ご主人様。それに『ゆうていみやおうきむこう』は一人用じゃないですか。私はどうすればいいんですか?」


「ああ、つーこんで『はどそんさん!はどそんさん』と助けを呼んでください」


「はい。ご主人様。『はどそんさん!はどそんさん!』」


「あ、いいですねえ。援護がきましたね。それでどうなんでしょうかね?あの件は」


「『はどそんさん!はどそんさん!』。そうですね。『人ログ』は基本的に『匿名』です。もちろん『実名』での登録も可能です。選べますからね。そして『虚偽の書き込み』は一切禁止です。それをすると『人ログ』に書き込める権利、人を評価する権利を失いますからね。ご主人様。そして『匿名』だろうと『実名』だろうと書き込んだ数が多い方は信用を得ますからね。そうやって信用を積み重ねた方の評価や書き込みの影響力は強いですからね。『はどそんさん!はどそんさん!』」


「ですよねー。あ、いいですよ。そのまま援護をお願いします。姉上殿。それに後ろめたいものを持って評価する人は説得力もありません。例え『実名』でも信用のない方の評価は信じないでしょうし。あくまでも平均値を出しますからね。逆に『匿名』でも正しい評価を数多く書き込んでいる方は影響力を持ってますからね。やっぱり『プレミア会員』とか作らなくてよかったですね。それに運営である僕らは『人ログ』サイトに登録してもらう際に『本人確認』をしっかりしてますからね。『匿名』で利用している人も僕らには本名から個人情報まで提出してくれてますからね。あ」


「ゲームは一日一時間ですわよ。ご主人様」


 レトロゲームの電源を無情にも切った姉上殿のスカートは短くなっている。


「ひどいですよ。姉上殿」


「それはどっちの意味ですか?ご主人様」


 そう言いながらサービス精神でチラッとだけめくる姉上殿とコタツの上のミカンに手をさりげなーく伸ばすご主人様。

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