第16話『当たり』『ハズレ』

「まずこれは『匿名』と『本名』の大きな差が出たと思うんですよね。あ、危ない」


「そうですわね。ちなみにそこは安全地帯ありますからね。ご主人様」


「そうなんですか?まあ、ああいうお店の書き込みは便所の書き込みと似ているといいますか。あ、昔の公衆便所です。『これはすごくお得な情報だ!みんなも共有しようよ!』的なことはまず書かないし、秘密にしておくと思うんですよね。あ、ここが安全地帯ですね」


「おおー、流石です。ご主人様。それで書き込みの件ですが。ああいうお店の口コミサイトも多数ありますが『金銭』の発生する『やらせ』の書き込みも多いのが現実ですわ。口コミサイト運営企業も『いい書き込み』や『高評価』を一件につき『〇千円』が現実ですね。あ」


 安全地帯から何故か動き爆発してしまうご主人様が操る飛行機。


「すいません。動いたらどうなるんだろうと…。興味の方が勝ってしまいました…。それに今回の件は氷山の一角ですからね。ああいうお店は『ハズレ』があるから『当たり』もあるのがいいんじゃないでしょうか?」


「あら。お詳しいですね。ご主人様。『ハズレ』とはどういう意味ですか?『当たり』とはどういう意味ですか?」


「え?いや…。人の書き込みはあてにならないので実際に自分で利用した方が分かるのではないかと…。アイスクリームも途中まで食べないと棒の当たりやハズレは見えないじゃないですか?」


「ご主人様。当たると無料でもう一回なんですか?」


「そうですね。今風に言うと『知らんけど』ですね」


「そう来ましたかですわね。ご主人様」


「でも『人ログ』の評価は正しいですよ。職業に貴賤はありません。ああいうお店で働いていることを内緒にしていることは別に『悪いこと』ではありませんからね。それを『晒す』意味での評価は『人ログ』規約にて違反としてますので」


「そうですね。その辺は最初の段階でかなり綿密に決めておりますので。あらら。ご主人様の飛行機が全滅しましたね。どうします?リセットしますか?」


「姉上殿。あとゲームは何分出来ますか?」


「あと八分でございます。ご主人様」


「じゃあ、最後にあれやりましょう。『ゆうていみやおうきむこう』のやつです」


「えー。あれは残り八分では無理があると思いますよ。ご主人様」


「大丈夫ですよ。コタツから出たくないので姉上殿お願いします」

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