第15話上上下下左右左右ABAB

「姉上殿」


「はい?ご主人様」


「ゲームは一日一時間ですよね?」


「そうですよ。ご主人様」


「じゃああと二十分ありますね」


「正確には十九分ですわよ。ご主人様」


「では上上下下をやりましょう。コタツから出たくないので姉上殿お願いします」


「はい。あの『上上下下』ですね。分かりました。ご主人様」


 コタツから出た姉上殿がまた見えそうな姿勢でレトロゲームのソフトを変える。ふーふー。その間にコタツから右手を出してスマホを眺めるご主人様。


「ほうほう、なるほど、そうかそうか」


 棒読みのように独り言ちるご主人様。


「ご主人様。また見てますよね?書き込みますよ」


「え?見てないですよ!そんなあ。僕はスマホを見てたんですよ。ほらほら」


「そのスマホはピカピカで鏡のように映るじゃないですか。あの角度は私のを見る角度でしたよ」


「いやいや。誤解ですよ。ほらほら。画面にはニュースサイトが映ってるじゃないですか」


 無罪をアピールする。ご主人様。


「いや、ご主人様。先ほど、『カチャリ』と画面表示の音がしましたわ。それまで音がしなかったので画面は真っ黒で鏡替わりになりますよ。そしてあの角度は絶対に見てましたよね?」


「いえ、見てません」


「分かりましたわ。ご主人様。それでは協力プレイですわ」


 コタツで二人プレイを選ぶご主人様。


『上上下下左右左右ABAB』


 二人で一緒に口にする。そしてすべてのオプションが。裏技である。


「で、どうなんでしょうかね?今回の件は?」


「ああ、藤田雄二。五十二歳の件ですね。これは…。どうなんでしょうかね?でも『人ログ』の評価は絶対ですわよ。虚偽の書き込みはないとの報告は受けておりますわよ。ご主人様」


「あ」


 フルオプションなのにいきなり敵のミサイルや衝突を受けまくりバリアを失い、そのまま機体を爆発させてしまうご主人様が操る飛行機。


「へたっぴですね。ご主人様」


「まだ使えますからね。上上下下左右左右ABAB。よーし。で、僕の考え方なんですが」


 またまた敵の攻撃を受けまくるご主人様が操るバリアもついてるフルオプションの飛行機。

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