あんたが嫌いだと言われた話。
なかなかいないですよね。嫌いな人に嫌いと言える人……っていう体験をしたので日記を書いてみます。
まあ今日ですね、仕事上がりにメシ行きませんか?と誘われた先に同期がおりました。こっちに赴任してきた歴的に同期なニイちゃん。
なーんかやたら絡んでくるな?と思っていたら、ずっとこの機会を狙ってたみたいです。
酔ってんなーとは気付いていたけど、論が破綻してる熱弁を振るってたんで思わず突っ込んだら絡んできました。
2時間くらいかなぁ……からみ酒。
彼と僕は立場が違くて、僕は本部の送り込み。彼は現地採用の方。同期ですけど部署は違く、あまり接点はありませんでした。一緒に仕事したこともない。僕としては、隣の部署にいる同期、くらいの認識です。好きでも嫌いでもないかな、みたいな。
そんな彼は、べろんべろんに酔いながら言いました。僕の肩をばんばん叩いて。
「あんたが嫌いだ、大嫌いです」
僕は苦笑して「そんなに付き合いもないのに?」と返すしかなく。「そういうところも嫌いだ」と言われ、とりあえず酒の力を借りて本音で話してるんだろーなー、と聞いてみることにしました。
あんまり書くと自慢みたいになるので嫌なのですが、最近の僕はまあ、めっちゃ目立っちゃってます。だからこそ。
「最近、引っ張りだこで忙しいでしょ。なのに、こういう誘いも断らない」
「お腹空いてる時に旨そうな寿司の画像を送られたら、来ないわけにはいかないですよ」
「スカしてて嫌いっす、マジで」
「他には?」
「とんでもない仕事してるくせに涼しい顔して」
なんか涙目になってきてるけど、大丈夫か?このニイちゃん…とか思いつつ、水を差し出すと飲んでくれるんで差し出しておく。
「マジで嫌いだけど、なのに技を盗みたい。だから嫌いでも近付きたくなる。ずりぃ」
なぜか話が流転して、経営の話、昇給の話なんかの愚痴になり。
「考え方が俺と近いんすよ、あんた。だから、ムカつくの。同属嫌悪ってやつですよ」
吐き捨てるように言って、しばらく泣いてる。男泣きってヤツだなぁ、と思って、僕はちびちびコーラを飲んだ。少なくともこの人との共通点は同業だということしか思いつかないが……まあいいや。
ぐずぐず泣きながら、同期が言う。
「社会人になって、勝てないって初めて痛感した相手の一人はあんただ。もう一人は俺の上司」
「光栄だね」
「こんだけ言われてても怒りすらしないし、凹んでも居ないんだろ?」
笑うしかないなぁ、と思いつつ答える。
「ああ。嫌われてるとわかった相手に嫌いと言われて凹むほどナイーブじゃないな」
なんて会話をさんざん聞かされて流した2時間だった。
ほんっとーーーに、僕のことを嫌ってるんだろうってのはよくわかった。ショックとかは全く無いんだけど、希有な体験をしたなぁ……。
にしても、それをこの人の上司は見てたわけだけど、よく止めねぇな?と思いました。
でもね。
この同期色々文句言ってるんだけど、行動に移してないんだよ。変えたいと言ってるのに。一年が終わるタイミングで、僕はこっちの偉い人に職務意見書を出した。改善点、根拠、改善したら経常利益が上がることをつらつらとまとめたのだけど、それが大幅に導入されて今に至る。それがまあ、面白くないんだろう。
だったら書けばいいじゃないか、と僕は伝えたけど、そんな形式は無駄じゃないかと怒り出した。
どうせ汲み取ってもらえないし、無駄だ、とさ。僕は立場が上だから通ったんだ、とかなんとか。
とりあえず……何もしないで吠えてんじゃねぇ。
と、ついつい言ってしまったけど、泣いてて聞いてなかったみたい。
職場を変えたいな、これ無駄だな、と感じたあれこれを、僕はほかの職員に「こう変えたいなぁと思うんですけど、いかがです?」って全員に根回ししてきた。その上で、意見書を出した。僕がかなり権力が強くなってるみたいなのが不愉快なんだそうだけれど。
わかってねぇなー、色々。
まあ、いろんな人がいるもんだが……
嫌いなやつに面と向かって嫌いと言える心意気は良いと思う。
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