溶接

スプーンの反射に視線を託す、何が見えるか、何も見えない、自分の顔のあろうところに目と鼻と口と少しの耳がある……舐めると鉄の味がする、なんだこれは、鉄か?それはもうスプーンではなくなってしまった……指から力が抜けていく……落ちない。なぜか?人差し指に繋がれてしまった、継ぎ目は気味が悪いからあまり見ないでおいたほうがよい、せめて直角に繋いでくれればよかったのに、せめて直角に繋いでくれればよかったのに、ああ後悔を未来にとっておけない、今指を動かすとしたら不味いだろか?慎重さとはこのためを言う、しかし……よくないぞここでフォークに目を移すのは、皿の両脇はどちらもスプーン……ナイフは?ナイフは?それは前の客が全部飲み込んでしまったのだ、よくない客だ……。

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