収縮
人を殴ることばかり考えている。思い切り殴るのだ。顔面をな。
容赦などという言葉を使う気がない。振りかぶるのは大きくだ、よく見える、相手の顔がひしゃげるのがな……時間が減速していく……「目」がこちらを見ているぞ……?……しかも両目だ、あの目を知っているか?私は知っている。だがここであえて聞いてみよう、お前たちにな、お前たちはそもそも、「殴る」ことを知っているのか?殴ったことあるか?ないのか?それともこう聞いたほうがよいだろうか、「お前に手首の先はついているのか」……と。いや、それともこう聞くほうがよいだろうか……蛞蝓を舐めたことがあるのかと。私は蛞蝓をよく観察した……そして気づいたのだ、蛞蝓には心臓がない!私は驚くほどの冷静さに導かれて蛞蝓を口に含んだ、そして心臓は確かに無かった、いや、心臓には綺麗な穴が空いていて、その中から血液がするすると音もなく流れ出していたのだ……これを私は「夕暮れ」と呼んだ……季節は夏だった……全身を隙間なく覆う衣服の下で、爬虫類の皮膚が冷たい呼吸を始めていた……。
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