配置

石を袖に滑らせた。袖の中に「隠して」おいた。こぼれれば音が鳴る……それはまずい、そっと歩くのだ。誰も気づかないように歩くのだ。その「誰」にはおまえ自身も含まれているから……つまりお前は眠っている間に歩く、歩いていることに気付いていない、歩くように思っている……起きたときの違和感、履いている靴が違う……?……いや、どうしてそもそも「靴を履いて」いる……?そこで太陽が輝く、あるいは「輝かせる」のだ……そうしてお前は目を太陽に向けるだろう、目を太陽から逸らすだろう、おまえは太陽を「行き来する」……もう、それしかなくなった……。「月」は隠しておかなければいけない、石を思い出すだろう?太陽と月の間に石を投げると、一回の瞬きが写真となって、天球のすべてが私の胸に滑り込み(水平に)、かすかに見えた星たちが「滲み」だす……あまり綺麗ではない……足が落ち着かない、後ろが気になる、鍵束はどこに捨てただろうか?


以上がすべての配置の理由だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る