第2話 憂鬱な入学式
今日は高校の入学式。
朝っぱらから憂鬱な気分で家を出る。
これからの通学路となるであろう道を歩いていると周りから騒がしい声がする。
その声はどうも俺に向いているらしい。
でも、俺はそんな声を無視する。
俺は黄色い歓声なんて好きじゃない。
少しイライラしながら歩く速度を上げていると後ろから背中を叩かれる。
「おはよう。アンタ、朝から不機嫌オーラ出しすぎ」
「あぁ、美香か。おはよう」
俺の背中を叩いたのは
綺麗な黒い髪をまとめたポニーテールにモデルといわれても疑わないほどの容姿。
出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる体。
そんなスーパー美人女子。
こいつとは中学からの付き合いで俺が血縁関係のない人の中で唯一心を許している親友だ。
ちなみに俺の悩みのことなんかも知っている。
「
「分かってる。そういう美香も大丈夫なのか?」
「私はアンタほどメンタル弱くないから大丈夫」
「そっか」
美香も中学の頃は俺と同じような悩みを持っていた。
だから仲良くなったのかもしれないが。
最近はある程度吹っ切れたらしい。
「ほら、さっさと行くよ。遅刻するなんて嫌だから」
「はいはい」
2人並んで高校を目指す。
他愛もない会話をしながら歩くこと10分ほどで到着した。
そしてそのままクラス表へと向かう。
クラス表が載せられている掲示板の周りはすごい人だかりだったが俺と美香が近づくと人が俺たちに道を開け始める。
簡単に説明するとモーゼの海を割った時みたいな感じだ。
『あの人ちょーかっこよくない!?』
『あの人めちゃくちゃ美人じゃね!?』
『2人付き合ってんのかな?』
そんな声が聞こえてくるがどうでもいい。
無視に徹する。
俺のクラスは1年2組。
それから2組の欄で美香の名前を必死に探すが見つからなかった。
「あちゃ〜。私、1組だわ。響也2組でしょ?」
「あ、あぁ。そうみたいだ」
「じゃあ1年は離れ離れね。1人でもちゃんとやっていきなさいよ?」
「・・・・時々会いに行っていい?」
「えぇー。アンタとつるんでると女子達から顰癪買いそうだから嫌なんだけど。ただでさえあーだこーだ言われるだろうに」
「いや、その。ごめん」
「まぁ、いいよ。どうせ友達とかもそう簡単に作れないでしょーし。でも、程々にしてよ?」
「弁当は?」
「まぁ、一緒に食べてあげる。暇だったら」
「ありがとう」
どうも俺は美香に依存している節があるな。
できればこの癖治したいんだが。
そう簡単に治りそうな気配はない。
最低でも高校卒業までは続きそうだ。
1組と2組は教室が隣だから一緒に教室の近くまで向かう。
「それじゃあ、私1組だからここで」
「うん。じゃあまた後で」
「はいはい。また帰りね」
美香は1組の教室へと入っていった。
俺も入らないといけない。
あんまり入りたくない。
誰もいなければ入るのは簡単なんだが、入った時の目線が嫌だ。
こんなことならもっと早く家を出てくるべきだった。
でも、入らないことにはなにも始まらない。
入るか....
意を決して扉を開けるといろんな視線が突き刺さる。
熱っぽい視線。
妬むような視線。
羨ましがるような視線。
俺はあまり目立たないように自分の席へとさっさと座る。
少し吐き気まで催してくる。
ダメだな、俺は。
気配を消そうと頑張っていると
足音がしてくる。
3人か?多分3人だ。
やっぱり3人だった。
全員、金髪やら茶髪やらとにかく派手だ。
ネイルしてたりピアス開けてたり。
いわゆるギャルだな。
「ねぇねぇ、キミ名前なんて言うの?」
3人のうちの1人の金髪ギャルが聞いてくる。
ここで無視なんてしたら多分イジメやらなんやらに発展するかもしれない。
それはめんどうなので素直に答えておく。
「加賀見 響也。1年間よろしくね」
「う、うんよろしく!でさ、ウチと連絡先交換しない?」
はい、来たよ。
連絡先交換しない?
俺はこの言葉が大っ嫌いだ。
正確には初めて会ってすぐの
連絡先交換しない?が。
初対面早々のこれは俺のことを顔でしか見てない証拠だ。
残念だろうが断らせてもらう。
まぁ、付き合ってくうちに交換したりするかもしれないけど....。
「ごめん。今日、携帯家に忘れちゃったんだ」
「えぇー。まじー?なら今度交換しよっ。ねっ?」
「ま、まぁ機会があれば」
会話が終わるとギャル達は引き返し、談笑を始めた。
それから少しすると先生が入ってきて入学式会場の体育館へと向かった。
入学式はどうしてこんなにも面白くないんだろうか。
校長先生の話は長いし。
次は首席の挨拶らしい。
あ、首席は美香か。
なら見る必要があるな。うん。
名前を呼ばれた美香は返事をして壇上へと上がり挨拶を済ませ、降りる。
さすが文武両道のスーパー美人。
頭が上がらない。
それから教室に向かって軽く自己紹介が始まる。
ぼーっとしていると気がつけば俺の番だ。
「おい、加賀見。次はお前だぞ」
ジャージ姿の女教師が急かしてくる。
てか、あの先生あの顔にジャージが似合ってない。
「加賀見 響也です。1年間よろしくお願いします」
拍手喝采。
ただ自己紹介をしただけなのに。
そして数人の男子から寄越される恐い目線。
女教師。
名前は
とにかくその先生は満足したような表情でホームルームを進めていった。
ホームルームが終わると俺は速攻で1組へと向かう。
ゆっくりしてるとカラオケに誘われたり、数人の男子からは校舎裏に呼び出されそうで恐かったからだ。
美香と下校するのはいつものことだが安心する。
「美香。帰ろー」
「はーい。じゃあまたね」
美香が女友達に挨拶をして教室から出てきた。
「なんか悪いな。友達とか」
「いいよ。どうせあっちは顔だけだろうし。私もアンタといた方が変な気を遣わなくて済むし」
「そう言って貰えるとありがたい」
そして俺たちは帰路に着いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
後半急ぎすぎてすいません。
眠くて眠くて。
今度はしっかり書くのでごめんなさい
◇◇◇◇◇◇◇◇
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