もう恋愛なんてしないと決めていたのに美少女たちが構ってきます
気候カナタ
第1話 恋愛なんて.....
俺は自分の顔が嫌いだ。
ある人は
『このアイドルグループに応募してみて!?』
ある友達だった人は
『俺はお前みたいなイケメンと友達でうれしいよ!』
ある女子は
『一目惚れしました!付き合ってください!』
ある男性は
『キミ!芸能界に興味はないかい!?』
自分では言いたくないが俺は世間一般ではイケメンの部類に入る。
それもかなりのレベルの高さらしい。
今まで幾度となく芸能界に勧誘され、
幾度となく告白を受けてきた。
中学生の時は彼女というものに興味があった。
彼女という存在が出来ると何をして何が楽しいのか。
そんな疑問が湧いてきた。
ある時1人の女子に告白をされたことがある。
『加賀見くん!付き合ってほしい!』
ストレートだった。
『ごめんだけど俺のどこが好きになったのか聞いてもいい?』
『そ、その顔がすごくタイプで....』
また顔か。
でもあの頃はそこまで不快感を覚えることはなかった。
むしろ自分は人とは違うという優越感にさえ浸っていた。
だからだろう。
『いいよ。よろしく』
俺は彼女の問にこう返答した。
きっと彼女といると楽しいんだろう。
まだ、彼女のことはよく知らないがこれから知っていこう。
そう思っていた矢先のことだった。
『加賀見くん。ごめん。別れよう』
1週間後の出来事だった。
放課後呼び出された俺はこう告げられる。
『え、えーとどうして?』
俺は分からないなりに彼女を楽しませようとしていた。
放課後はいつも一緒に帰り、1回だけだけど遊びにだって行った。
なにがいけなかったんだ?
『ごめん。イメージと違ってて.....』
俺の質問に対して返ってきた返答はこれだった。
イメージと違ってて?
どういうことだ?
あー、そうか。
この人は俺のことを知ろうと、受け入れてくれようとしてくれなかったんだ。
結局、顔だったんだな。
そう自分の中で結論づけた。
それから1年たち、中学3年生。
また、同じ理由で告白された。
その頃、ちょうど飼っていた猫と生涯の別れをしてしまったせいか心が傷んでいた。
だから今度こそ俺のことを外見だけじゃなくて内面も好きになってくれるかもしれない。
そんな淡い希望を抱きながら付き合うこと3日目。
また同じ理由で別れを切り出された。
その時俺は気づいた。
きっと俺のことを内面で見てくれる人はもう現れないんだと。
そしていつからか俺は自分の顔に嫌悪感すら抱き始めた。
付き合う時は変に想像しがちだ。
この人はイケメンだ。
だから、きっとこんな性格でスポーツも万能で頭も良くて。
外見だけだから自分の理想の人間を想像することは簡単だ。
だって外の面しか見ていないんだから当然だ。
テレビではイケメン俳優がすごく性格もいい。
イケメンな人は歌がすごく上手い。
イケメンはすごくフレンドリーで話が面白い。
きっとみんなこんなイメージを持っている。
そしてその枠に入らなかった俺。
だから俺はフラれる。
勝手に俺の性格を予想され、勝手に俺のスペックを予想され。
それと少しでも違ったら理想と違う。
こういう性格だとは思ってなかった。
そんなことを平気でいう。
俺はもう恋愛というものが嫌になってしまった。
勝手に想像され、理想と違ったら失望され、一方的に突き放される。
『イケメンがなにを言ってるんだ』
こう思う人も世の中にはいるだろう。
でも、俺だって望んでこの顔になったわけでもない。
だからどうしようも出来ない。
俺は高校に入学してからも告白されるんだろう。
でも、それは俺の外見だけしか見てないからだ。
俺の心の内を、本当の俺を知ろうとしてくれる人は現れない。
そんな辛い思いをするくらいなら恋愛なんていらない。
始めからそんな感情を抱かなければいい。
俺は自分の辛いことから逃げることにする。
だから俺は決めた。
もう絶対に恋愛なんてしないと───────
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