第9話出発
「よし!まずはシャワーから浴びよう」
普段学校に行く際は、シャワーなどあびず、必要最小限のことしかしないが今日は特別である。
お風呂場に行き、髪と身体を入念に洗った。シャンプーはお母さんが普段使っている少し高いやつをこっそり使った。なんか、髪の毛が柔らかくなったような気がする。あといい匂いだ。
僕は、髪と身体を拭いたあとリビングに戻り、昨日買った服を着てみた。
「なんか、僕じゃないみたい、少し派手かなぁ」
こんな服今まで着たことないため、違和感を感じる。普段はお洒落をしないためなんとも思わなかったが、こうやって印象の変わる新しい服を着るのは気分がいい。お洒落って楽しいんだなぁ。また、今度服買いにいこ。
でも、白井さんはこんな僕を見てどう思うのだろうか。根暗な僕の悪あがきとか思わなければいいなぁ、、。そもそも、、今日は勉強が目的なのに気合を入れすぎだと思われたらどうしよう。なんか、不安になってきた。
そして、白井さんはどんな服装で来るのだろうか。きっと白井さんのことだから派手な服装をしてきそうだ。もし、胸元が見える服装だったら勉強どころじゃない。でも、胸元が見える服装で着てほしいなぁ。白井さんは胸が大きいからなぁ。僕は、知らないうちに顔がにやけていた。
「へへへへ、」
何を考えているんだ、僕にはそんな余裕はないんだ。今日の第一の目的は、白井さんと勉強することだ。そして、この間分からなかった数学の問題を教えてもらうんだ。これは、遊びではない、ただの勉強だ。
「今日は、数学と英語を中心にやろう。白井さんは何をやるのかなぁ。」
鞄かばんに、問題集と参考書を詰めながらふと思った。白井さんが自主的に勉強する姿が想像できない。今日は何の勉強をするのだろうか。白井さんは何が得意で何が不得意なのだろう。勉強できないイメージが強すぎて、全く想像がつかない。未だに、白井さんが学年で一番頭がいいことに疑いがあるくらいだから。
時計を見ると、9時10分だ。余裕を持って準備したと思っていたが、意外と時間がない。僕の家から目的地まで自転車で20分。10分前には到着したい。そのためには9時30には家を出る必要がある。
「あと、20分しかない、やばい、、、」
僕は、準備が間に合ってないことに加えて、時間が近づいてきていることに焦りを感じた。
「やばい、やばい、もう少しだ。あ〜トイレに行きたい。」
昔から、緊張するとすぐお腹が痛くなる。僕はトイレに駆け込み用をたした。
自分の姿が気になり、何度も鏡の前に来てしまう。
「あれ?」
鏡の前に行き、何か物足りなさを感じる。何かが足りない。ん〜、、
「あっ!髪型だ。」
お洒落な人はよく髪型をセットしている。とは言ってもセットの仕方がわからない。でも、気づいてしまった以上、このまま白井さんに会うのは恥ずかしい。
「やってみるかぁ〜」
僕は昔動画で見たのを思い出しながら、お父さんのワックスを使い髪型をセットした。
「まぁ、こんなもんか。」
意外と上手く行った気がする。髪の毛も長かったから、ワックスを使い、髪をあげることによってさっぱりした。よし、これで準備完了だ。今は何時だ、、と思い時計を見るともう9時30だった。
「やばい、早く行かないと。」
僕は、急いで玄関を駆け出して目的地へと向かった。
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