第8話朝の時間

 「いよいよ、今日だ。」


 昨日の夜は、緊張でなかなか寝付けなかった。普段は布団に入り、気づくと寝ているのだが、昨日は布団に入っても白井さんのことを色々と考えてしまって寝れなかった。そして、6時に起きてしまった。休日は後2時間は寝ているはずなのだが、、、。でも、アドレナリンが出ているせいなのか全く眠くない。


「あ〜、緊張する。」


 僕の心臓はもうすでに破裂しそうな勢いで鼓動をしている。


 リビングに行くとお母さんが


 「おはよ〜、今日は随分と早いのね。せっかくの休みなんだからもう少し寝てればいいのに。今日はどこか出かけたらするんだっけ?」


 と少し驚いたように言った。


 「目が覚めちゃったから起きただけだよ。今日はテストが近いから、一日勉強する予定だよ。お母さんも仕事頑張ってきてよ。」


 白井さんとフードコートで勉強すると言うのは恥ずかしいため、そこは省略しておいた。


 僕のお母さんは、シフト制の仕事についているため、休みが不定期だ。だから、よく日曜日にも出勤したりする。


 「あっ!今日この間ネットで頼んだフライパン届くと思うから受け取っておいてよ。」


ふと、思い出したようにお母さんが言った。


 それはできないよ。だって、今日は一日、白井さんと外で勉強するのだから、、


「今日は、一日図書館に行くから受け取れないよ。お父さんに頼めばいいじゃん。」


「ん〜、あの人にねぇ。あの人よく忘れるから、、今日はいつもみたいに家で勉強できない?」


「図書館で調べたいものがあるからさぁ、、、」


「哲平には、頑張ってほしいから、わかったよ。お父さんに頼むことにするよ。」


 お母さんごめん。いつもなら、了承するのだが、今日はどうしてもダメなんだ。だって、今日は白井さんとデー、いや勉強するんだから。


「じゃあ、お母さんそろそろ行ってくるよ。朝ごはんそこに置いといたから食べてね。」


「ありがとう、いってらっしゃい」


 お母さんは、仕事の日はいつも朝が早い。7時には家を出てしまう。その間に、仕事の支度と僕たちの朝ごはんの準備をする。僕はそんなお母さんを尊敬している。


 ドキドキドキ、ドキドキドキ


「心臓が破裂しそうだ。てか、こんな状況で、勉強はできるのか。」


 白井さんは、なんの勉強をするのだろうか。白井さんからは、この間できなかった問題を教えてもらう予定だが、逆に僕が教えられるものはあるのだろうか。でも、教えるにしても、どんなふうに教えればいいのだろう。


「あーやばい、やばい」


 こんなイベント、今まで17年と8ヶ月生きてきて初めてだからどうしていいのかわからない。勉強よりも難しい。


 白井さんとの待ち合わせは10時だ。今は8時だから後2時間。


 「早い気もするが準備するか。」


 僕は、緊張と焦りから2時間も余裕を持って準備することにした。

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