第7話初めて服を買う


 僕は、貯ためておいたお小遣いを握りしめて、家の近くにある服屋に向かった。そこは、全国的にも展開している服屋で僕でも知っているほどである。


 「いらっしゃいませ。」


 店内に入ると、そこには多くのお客さんがいた。今日は、土曜日であるため賑わっているのだろう。


 一人で洋服を買うなんて初めてだ。いつもは、お母さんが僕の体型に合った服を買ってきていたため、服屋に行くのも久しぶりである。


「やばい、よくわからない、、」


「あれ?ここはレディースの服だ。メンズはどこだ?」


 僕のような服屋素人にとっては、店内が迷路のようだ。そもそも、お洒落な服ってなんだ。服屋に来たわいいけれども、どれがお洒落なのか全くわからない。


「この服似合うかなぁ〜」


「ん〜、亜美あみはこっちがいいよ〜!」


「それもいいと思ったんだけどねぇ。値段がねぇ」


隣でカップルと思われる男女が服を選んでいる。羨ましい。羨ましすぎるぞそこのカップル。僕は生まれてこの方彼女が出来たことがないのに。そもそも女子とも喋れないのに。


「クスクスクス。」


「ん?」


あれ?もしかして笑われた?いや気のせいかなぁ。


あたりを見渡すとみんなお洒落な気がする。やはり、服屋に来る人はお洒落に興味がある人が多いのか。それに比べて僕は、穴の空いたジャージを着ている。流石に、服屋で穴の空いたジャージはまずかったかな。なんか恥ずかしくなってきた。服装で恥ずかしいと思ったのは初めてだ。


 「あ!ここがメンズ売り場か。」


 やっとの思いで、メンズ売り場を見つけることができたのだが、どれが僕に似合うのか全くわからない。恥ずかしいのも承知でお母さんと来ればよかったかな。


 ん〜どれにしよう。服って結構いい値段するんだなぁ。今まで自分で買ったことなかったため気づかなかった。


 もうすでに同じところを何周しただろうか。優柔不断の性格とファッションに疎うといのが重なって全く決められない。どうしたものか。もう諦めるか。


「お客様、どのような服をお探しでしょうか。」


「え?僕?」


「はい、」


 穴あきジャージの人が同じところをぐるぐる周っていて怪しいと思い、話しかけたのだろう。


 ん〜どのような服って、それがわかれば苦労してないのだが、、


「ん〜、えっと、えっと」


「こちらのマネキンが来ている服はいかがでしょうか。これは、今若者の間でトレンドとなっておりまして、非常に人気がありますよ。」


 あっ!そうか!お洒落な服は流行はやりの服を着ればいいんだ。


「そちらのマネキンの服のセット下さい!」

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