第6話明日の服装どうしよう

あ〜、昨日は色々あったなぁ。体育の持久走で気を失って、保健室で白井さんとお話しして、そして白井さんと勉強の約束ができてと毎日同じルーティンを繰り返している僕にとっては、これほど多くのイベントが発生するのは非常に珍しい。


 あ〜、昨日が金曜日でよかった。もし、今日も学校だったら、みんなにどう対応すればいいのやら。そして、白井さんとどう接すればいいのだろうかと頭を抱えていただろう。でも、今日が土曜日だから少しは頭の整理ができるし、週明けにはクラスメイトも僕が体育で倒れたことなど忘れていることだろう。


 しかし、別の問題がある。明日、白井さんと2人きりで勉強をすることになってしまったのだ。昨日、僕は白井さんに勉強を教えてくださいと言った。それは、何かわからないところがあったら、教えてほしいという意味合いで言ったつもりだったのだが、白井さんは、


「じゃあ、日曜日一緒に勉強しようよ」


って誘ってきた。勢いに任せて約束してしまったが、明日はどんな顔で白井さんに会えばいいのだろうか。普段白井さんとは全く喋らないのに、明日は2人きりで一緒に勉強する。いきなり2人きりってハードル高すぎるんじゃないか。


 「あ〜、どうすればいいんだ〜。」


 そういえば、女の子とお話ししたのはいつぶりだろう。僕の記憶では、小学生以来まともに喋ってこなかったような気がする。まず、女の子が僕に話しかけてくることはない。そして、僕の方からも緊張するため話しかけることはない。もう僕には、女の子に対する抗体はないのだ。女の子は別の生物だとも感じてしまう。


「やばい、、どうしよう。」


 僕はベットにダイブして、足をバタつかせた。


「あ〜〜!」


 普段、土日は学校が休みで、時間がたくさんあるため、思う存分勉強するのだが、白井さんのことばかり考えてしまって全く集中することができない。テスト前で勉強しなければいけないのに、、


 明日は、近くの商業施設のフードコートで勉強する予定だ。昨日、白井さんからラインが来て、決まった。今まで、図書館などの静かなところでしか勉強したことがなかったため、商業施設での勉強は新鮮だ。


「あっ!」


 明日の服装はどうしよう。図書館ならジャージとかでもいいと思ってたんだが、商業施設の場合どんな服を着てくれば良いのだろうか。女の子と2人きりなのに流石にジャージはまずい気がする。きっと白井さんのことだから、派手だけどお洒落な服装をしてくると思う。とは言っても、僕は服には興味がないためおしゃれな服はない。流石に、ジャージはまずい気がするし、変な服で行って、白井さんが


「一緒に居たくない」


って言ったらどうしよう。普段お金を使うことはないため、お小遣いが幾いくらか貯たまっているから、買いに行くべきか。でも、買ったらお母さんに気付かれるのが恥ずかしい。お母さんは、僕の服を全て把握している。そこに、お洒落な服が加わったら何か怪しまれるような気がする。


「ん〜どうしたものか、でも流石に変な服はまずいから買いに行くか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る