サンタを信じる全ての人へ

勝利だギューちゃん

第1話

ハロウィンが終わった。


今年は、静かになると思っていたが・・・

どこぞの街は、若者がはしゃぐ。


でも、若気の至りとして、思い出となる。


で・・・


クリスマスフェアが、始まった。

どこの世界も、生きていくためには必死だ。


サンタのコスプレをした人が、街をうろつく。


最近では、女の子のミニスカサンタも、いるらしい。

女の子は、可愛さ優先らしい。


さてと・・・


僕もそろそろ始めるか。


ドアを開けて、庭に出る。

7頭のトナカイが、走り回っている。


ちなみに、全部メス。


「みんな、集まれ」

僕の掛け声に、トナカイが集まってくる。


そのうちの、一頭が僕に声をかける。

この子は、コメットという名前だ。


「ご主人様、今年はどこを回るんですが?」

「今年は、日本全土を回るよ」

「ご主人様ひとりでですか?」

「ああ」


仲間のサンタは、あの病気の影響で自粛している。

本来なら、僕も自粛するべきだ。


でも・・・


子供たちが、待っている。

その夢は、崩せない。


「では、あの子も呼びましょう」

「ルドルフか?」

「ええ。8頭ならもっと素早く配れます」


そうだ。

数は多い方がいい。


今年は、8頭で回ろう。


「カムヒア!ルドルフ」


空から、一頭のトナカイが来る。


「ご主人様、久しぶり。体がなまったよ」

この子を呼ぶのは、何年振りか?


「で、プレゼントのリクエストは、把握していますか?」

「もちろん。最近の子は。謙虚だな」


正直、少しは無理を言ってもらっていい。

昔の子は、贅沢だったが、懐かしく思う。


僕は、サンタクロース。

もう、100年やっている。


長く思えるが、この世界ではまだ、新人も同じ。


「ご主人様」

「どうした?ルドルフ」

「その小さいのは、何ですか?」

「これか?ゲームソフトだ」

「随分と小さいですね」


人間社会も、進化しているが、それが悲しくも思う。

今は、サンタの存在を信じていない子も多い。


でも、僕たちはここにいる。


時代は変わっても、子供たちの心には、受け継がれていく。


そして、聖なる夜が来る。


「ご主人様、参りましょう。」

今年は、8頭の引くそりにまたがり、付け髭をつける。


さあ。行こう。

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サンタを信じる全ての人へ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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