09 ENDmarker2. 左側の幻想

 夢の通り、空が落ちた。

 ニュースとかでは、光の乱反射による蜃気楼と言っている。予知夢と明晰夢の、ちょうど間のような幻想。そしてそれは、わずかな感覚だけを残して、彼とともに消えていった。

 起き上がって。着替える。

 いつもの制服。いつもの鞄。

 いつもの通学路。歩く。

 左隣。


 彼は、いない。


 いつもの、台詞も。


 聞こえない。

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