08 ENDmarker. 繋がる流星

「起きたか」


「起きた」


「どんな夢だか、訊いてもいいか?」


「空が落ちてくる夢。こんな感じで。そして、星が降ってきて」


 流れ星。


「君がいた。そして、わらって。いなくなる」


「そこまで見えてるんなら、まあ、いいか」


 彼が。上を、指す。


「あそこにあるのは、なんというか、向こう側の世界だ。向こう側では、左が右で、右が左なんだ」


「蜃気楼?」


「そう。蜃気楼。俺は、向こう側の人間だから。そろそろ、お迎えが来たってわけだ」


 星が。流れる。


 蜃気楼の街と。自分のいる街を、繋げるように。


「俺は、いなくなるけど。おまえは、ちゃんと生きろよ」


「いやだ」


「しぬわけじゃねえんだ。蜃気楼の向こう側にいる。きっと、蜃気楼の向こう側には。左右逆のおまえがいる。そいつと仲良くするよ、俺は」


「だめだ。君がいてくれないと」


 自分は。


「ひとりぼっちか?」


「そうだ。ひとりぼっちだから。行くな」


「こまったなあ」


 手を。


 伸ばす。


「大丈夫だ。何が大丈夫かは俺自身わかんねえけどな。とにかく、大丈夫だ。ちゃんと飯を食えよ。朝になったら起きろ。学校は、つらかったら行かなくていい。夢を見すぎるな」


「行くな。いかないで」


「じゃあな」


 空が。


 落ちて。


 ひとり。


 自分だけが。


 残された。

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