第10話 都市シニフィエ②

「鳥をつれたオステン人の男とオステン人の娘を連れた貴族の女、ソフィア・ヴァイスガーデンで間違いないわ、後をつけて宿を特定するわ後でその宿で落ち合いましょう…」




「ここが今日の宿かくぅわー!?」


「あら?ウェールスとスターリンの分の宿はないわよ?」


「そりゃないぜ、ソフィア〜俺たち仲間だろ?」


「お嬢様を気安くソフィアとお呼びしないでいただきません?さ、ルルさんはこちらに」


「おかしい。くぅわー」


ウェールスとスターリンは宿の前に取り残された。

するとアディーと男が立っていた。

男の方がしゃべり出す。


「で、こいつか。アーロンのバカが報告してきた魔法を使えるオステン人ってやつか、まずはコイツからだなアディー」


「ええ、そのはずよアルベルト」


「いくぜ、アイスジャベリン!」


氷の槍がウェールスめがけて飛んでいく。


「ボルシルド!!」


「ヒュー、本当に魔法が使えるってわけだ」


「アルベルト、ここは街中すぎるわ、街はずれの採石場に場所を移しましょう」


「なんだって、アディー?この魔法使い家の恥晒しが。低級魔法も使えない分際で」


「私は低級魔法は使えないけれどコーディニラス家よ、従いなさい」


「ちっ、しょうがねーな、おいオステン人、場所変えるぞ」


「いったいどうなってるんだアディー!?」


「ウェールスさん?あなたは血の掟に反している。そして、ヴァイスガーデンの娘はあのシュヴァルツ家を怒らせた。魔法協会を敵にまわしたそれだけよ」


「狙いはソフィアか…俺はそのついでかな」


「そんなところだ」


「わかった街の人を巻き込みたくない採石場まで移動しよう」



アルベルト、アディー・コーディニラス、ウェールスは採石場まで移動した。


「さぁ、これで思う存分戦えるなオステン人よ、仲間を呼んでもよかったんだぜ」


「ウェールス、二対一はまずいくぅわー」


「ふん、おれ一人で十分だね」


「へっ、余裕かましてくれてんじゃねぇか…」


「エレキガル!!」


「アイスシェルド」


ウェースの放ったするどい雷が氷の壁に打ち消される。

そこにすかさず…


「アイスグランセン!!」


氷の結晶がウェールスの足元からウェールスめがけて突き出してくる。


「ぐはっ」


ウェールはかなりのダメージを負った。


「へっ、てんで素人じゃねーか、本当にこんなのにビビって逃げたのかよ。アーロンは」


「アルベルトもう十分よ、捕まえて魔法協会につれていきましょう」


「そんなぬるいことしてられるか!アイスグランセン!!」


ウェールスは地面から生えた氷の大きな結晶に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「ウェールス大丈夫かくわっー」


「くっこんなとこでオレは終われない…」


「てめぇーはここで終わりだ…まぁ、オステン人にしちゃよくやったほうだ。魔法が使えるだけでそこらのやつとは違う。そうだろ?魔法の使えねぇやつはクズだと思うだろ?」


「ふざけるな!魔法を使えない人だってちゃんと教育させうければ誰でも使える!オレがその証拠だ!」


アディーは、ウェールスの発言にハッとしていた。

「何いってんだか、魔法が使えるのは血筋が大事なんだよ!!まぁ、名家に生まれてもろくに使えないやつもいるがなそこのアディーのようにな!」


「ウェールスといいましたよね…」


「どうしたアディー…」


「私、気になってましたの、どうして血筋が大事のはずの魔法使いにも魔法が苦手な人がいるのか。どうして魔法使いの家系でないはずのオステン人が魔法を使えるのか。多くの書物を読めば読むほど血筋が大事という魔法についての疑問が深まるばかりでした。あなたは何か知っているのですか?」


「あぁオレはある人に魔法を教わった。その人がいうには魔法は誰でも使える。そしてこの国の魔法についての掟は間違っていると…。だからオレはこの国に誰もが魔法を学べる学校をつくる!!それまでは死ねない…」


「けっ、何ふざけたこといってやがる。そんなこと今の魔法協会が許すわけねぇだろ!!」


「アルベルト黙っていなさい!!!」


「…おいなんだってんだよ」


「学校とは何なのです?ウェールス!」


「オレのいた世界には学校って場所があった。そこでは生きていくために必要な知識を分け隔てることなくみんなに教えていた。魔法だって別け隔てなく教えられる知識であっていいはずだ。」


「学校…」


「オレのいた世界?イカれた妄想野郎か、いうことは言ったかオステン人」


「待ちなさい!!アルベルト!!」


「んだよ、うるせいな」


「灰より生まれし炎の悪魔…」


「おい、それはコーディニラス家に伝わる高等詠唱魔法か?」


「憎むべき相手に怒りの炎の鉄槌を!!…」


「っておい、何こっちに向けてやがる、オステン人は向こうだぞ」


「イフリート・メテオ・ヴォルケーノ!!!!」


「アイス…」


呪文を唱え始めたアルベルトに複数の炎の塊が空から降りそそぐ。


「私は低級魔法は使えないけれど、我が家につたわる魔法はちゃんと継承しているのよ…」


呪文を唱えて魔力を使い果たしたアディーは地面に倒れ込む。


「アディーいったい…」


「私は、ウェールス、あなたの夢にかけたくなったわ…」


そう言い終えるとアディーは気を失った。


黒焦げになったアルベルトを残して、ウェールスはなんとか立ち上がり、アディーを背負いながら足を引きずってソフィアたちのいる宿へと向かった。

ソフィアの部屋をノックする。


「いったい誰かしら」


「う…ウェールスだ…」


「そう、今開けるわ」


ソフィアが扉を開けるとウェールスが部屋へ倒れ込む。


「きゃっ、一体どうしたっていうのその怪我、それにアディー?」


「敵に襲われたくゎー」


「いったいどういうことスターリン!?」


「それは…」


スターリンはことのあらすじをソフィアたちに聞かせるのだった。


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異世界転移したら魔法学校を創ることになりました。 生田戸肖+山田かける @kakeruyamada

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