~BEFORE 王位継承(プリスティン)~

(チェレス姉さん……)

(あの呼び方を、思わずしてしまった。だが……)

(姉さんが刺されて、そしてあのクソ野郎が言っていたことを聞いた後……)

(アレは、本当に俺だったのか?)

(怒ってた。)

(狂ってた。)

(だが、冷静だった。)

(アイツを殺さないと思った。)

(同時にやり方も考えていた。)

(そして攻撃の避け方も想像していた。)

(だが、あの力は、正しく……俺のものではなかった。)

(アイツが言っていた。俺の脳内に直接飛ばしてた。)

(狂え、私を恨め、私を憎め。そして、私を殺せ。)

(その声を聞いたときは驚いた。だが、それだけじゃなかった。)

(俺は知っている。アイツはただ、アイツのやり方で世界平和を求めている。)

(昔に見たアイツの目は、それだけを考えているように、澄んだ目だった。)

(……俺は、一体、何のために戦うべきだろうか。)

(アイツを殺すことはあくまで途中目標であり、本当に大事なのは、そのあとのこと。)

(殺したらどうなるのだろうか。ただ、クリアのような狂信者たちが俺たちの敵に回るだけだろう。)

(だが、アイツを殺さないと……俺らの怒りは、どこへ向けるべきだろうか。)

(それに、アイツはおそらく……俺たちだけでなく、他の国のやつらも敵に回すでしょう。)

(もしかしたら、俺らが行かなくても、他の国の連中が勝手にアイツを討伐する部隊を結成するでしょう。)

(ならば、やることは……けれど、マジで殺したら……)

(このまま、お互いを憎み合い、戦い合えば……)

(もう、マジでどうすればいいのだ!!)


(終わり)

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